サイズ考(その55)
トランス固有の音を嫌う人がいるのはわかっているし、
私自身も、トランスであれば全てのものがいいと思っているわけではない。
すぐれたトランスを適切に使えば、という前提で書いているし、
けれど、残念なことにすぐれたトランスは、そう多くはない。
いわゆるトランス臭い音は、トランス本体がすぐれたものであっても、
シールドケースの処理が不適切であれば、そのよさが失われるだけでなく、
むしろトランスの悪さを目立たせてしまうことにもなる。
使っていないトランスが手元にあって、それがシールドケースが被さっているものであれば、
面倒な作業ではあるが、そのシールドケースを取りさって音を聴いてみればわかる。
シールドの難しさ、シールドがどれだけ音を変えていくのか、がはっきりと聴きとれる。
なにもトランスにシールドケースは不要といいたいわけではない。
ただすぐれたトランスが少ない以上に、すぐれたシールドを施したモノは、さらに少ないのではなかろうか。
あくまでもウワサではあるが、1980年代に作られていたアメリカのTRIADのHSシリーズの中身は、
日本のタムラ製だった、ときいている。
ただシールド(ケーシング)だけはTRIAD社で行なっていたらしい。
そして、トランス臭い音を生みだすもうひとつの原因は、巻線の直流抵抗にあるように思う。