D130とアンプのこと(続×七・音量のこと)
アメリカでは1941年にテレビ放送が始っている。
アメリカでのテレビの価格がどの程度だったのか知りはしないけれど、
やはりこの時代のモノとしては非常に高価だったであろうと思う。
テレビはその後急速に普及していくけれど、この時代、
各家庭に一台あったとは思えない。
それにテレビ放送の内容も、いまとはずいぶん違っていたであろう。
24時間放送ということもなかったはず。
ランシングが生きていた1949年までは、テレビはアメリカでもそういうモノだったとしたら、
家庭の静けさは、テレビがひとり一台といっていいぐらい普及している時代とではずいぶん違ってくる。
それから日本では多くのところでBGMが流れていることが多い。
1940年代のアメリカでは、どうだったのだろうか。
LPも登場していない、テープ録音器もまだない時代では、
長時間を音楽を流しっ放しにしておくのは面倒なことである。
街中でBGMが流れていることはなかったのではなかろうか。
こんなことを考えていると、ランシングが生きていたころには、
いまの時代のような騒々しさはなかったようにおもえてくる。
すくなくともスピーカーから出てくる音による騒々しさはなかったはず。
そういう時代において、SPを音源として音楽を聴くときに、
音量が大きかったとは想像しにくい。
D130であっても、意外にも控え目な音量で音楽を鳴らしていたのではないか──、
そうおもえてならない。