Archive for 10月, 2022

Date: 10月 5th, 2022
Cate: アンチテーゼ, 平面バッフル

アンチテーゼとしての「音」(平面バッフル・その11)

いまの私にとっての、平面バッフルは、
アルテックの604-8Gを取りつけて鳴らす、ということである。

604-8G以外にも平面バッフルで鳴らしてみたいと思うユニットは、いくつかある。
でも、それらのユニットを所有していないし、
どれもすでに製造中止になってけっこう経つモノばかりだから、
ある程度のコンディションのモノとなると、みつける手間も、費用もそこそこにかかる。

604-8Gは手元にあるのだから、てっとりばやく、平面バッフルに取りつければ、
その音を聴ける。

その8)で、audio wednesdayが終ったこともあって、
よけいにアルテックの音が聴きたいのかもしれない、
そんなことを書いてしまったが、
喫茶茶会記のアルテックのユニット構成はA7に近いものであって、
604-8Gとは、同じアルテックということでひとくくりにはできない面、
というか領域があるように感じている。

もちろん同じアルテックのスピーカーだけに、共通する特質はある。
それでも604というユニットは近距離で聴かれることを前提としている。

A7のように中ホール、小ホールで大勢に音を届けるスピーカーというわけではない。
一人で聴くスピーカーといってもよい。

そんなことを書きながらも、
以前、audio wednesdayでかけたラドカ・トネフの“FAIRYTALES”の音のことをおもい出してもいた。

しっとりとみずみずしい音で、ラドカ・トネフが鳴ってくれた。
一人のための歌、という感じで鳴ってくれた。

そういうこともあるからこそ、
よけいに604-8Gはさらに、その感じが濃厚になってくれるのではないか。
そう期待してしまう、と同時に、そのためには──、と考えることも出てくる。

Date: 10月 4th, 2022
Cate: 菅野沖彦

Sugano 90(その2)

菅野先生生誕90年だから、たぶん無理なのはわかっていても、
つい期待したくなるのが、菅野先生録音のルドルフ・フィルクシュニーの再発である。

1983年に、菅野先生にとって初のデジタル録音で、
フィルクシュニーの来日にあわせて石橋メモリアルホールで収録されている。

レーベルは、オーディオ・ラボではなく、スガノ・ディスクだった。
マイクロフォンには三研製が使われた。
レコーダーは、ソニーのBVU200Bである。

Uマチックの器材だ。
マスターテープがきちんと保管されていたとしても、
きちんとした再生は器材の関係でかなり難しい。

それでもマスターテープが残っていて、
器材の条件が揃えば、MQAで再発してほしい、と思う。

Date: 10月 4th, 2022
Cate: 真空管アンプ

五極管シングルアンプ製作は初心者向きなのか(50CA10単段アンプ・その14)

50CA10の単段シングルアンプを自作するにあたって、
小さなところではあるが、無視というか、妥協したくないのがソケットである。

50CA10はコンパクトロン管で、12ピンである。
いまでも12ピンのソケットは新品で入手できるけれど、
積極的に使いたいと思わせないモノばかり。

個人的に真空管のソケットは、
マイカ・フェルド・フェノリックで作られているのがいい。

真空管のソケットの色を気にするなんて、といわれそうだが、
黒とか白とかのソケットだと、それがメーカー製のアンプならば、
それほど気にならなくても、自分で作るとなると違ってくる。

ソケットをどうするか。
そんなことをなんとなく思っていたら、ヤフオク!で、
12ピンのソケットが出品されていた。

アメリカ製である。
しかもおもっていたよりも安価で出品されていて、
誰も入札していなくて、即決価格が設定されていたから、すぐさま落札。

今日、そのソケットが届いていた。
ゆっくりではあるが、確実に進んでいる。

Date: 10月 4th, 2022
Cate: アクセサリー

仮想アース(こういう方法も……・その7)

オーディオアクセサリー 186号には、仮想アース関連の記事も載っている。
光城精工の製品、Crystal Epシリーズが取り上げられている。

光城精工のサイト、オーディオアクセサリーの記事を読めばわかるように、
Crystal Epの内部は電解コンデンサーである。

具体的にどうやっているのかというと、
コンデンサーの両極をショートさせているはずだ。

分解して中を確かめたわけではないが、間違いないはずだ。
コンデンサーの両極をショートさせてオーディオ機器に接続するという手法は、
Crystal Epが最初ではない。

製品としては最初だろうが、手法としては前からある。
なので、Crystal Epに興味、関心がある人は、簡単に試すことができる。

電解コンデンサーを買ってきて、やってみればいいだけのことだ。
作業にかかる時間はわずか。
部品さえあればすぐに試せる。

両極をショートするので、コンデンサーの耐圧は低くても問題ない。

それで効果を確認できたら、さらにあれこれ試してみればいい。
コンデンサーの容量によっても効果は変化するし、
コンデンサーの種類、銘柄によっても変化する。

簡単な実験である。
だからといって光城精工のCrystal Epシリーズを買う必要がないとは思わない。

両極をショートさせた電解コンデンサーをアース端子に接続するのは、
あくまでも実験の範疇である。

アース端子に電解コンデンサーがぶら下がっている。
これが許せない、という人は、ケースをどうにかするしかない。

けっこう悩むところだ。
Crystal Epの中身が電解コンデンサーだとわかると、
いわゆる原価厨と蔑まされている人たちは、すぐに高い、と批判するだろうが、
そう思う人は、ケースを含めて自作してみればいい。

Date: 10月 3rd, 2022
Cate: ジャーナリズム

オーディオにおけるジャーナリズム(リーダーとマネージャー、それに組織・その5)

ずっと以前は、それこそステレオサウンドを記事だけでなく、
広告まで熱心に読んでいた。

いまは──、というと、読んでいるといえばそうなのだが、
眺めている、といったほうか近い、そんな読み方である。

そんな読み方であっても、気になるところが目につくのはどうしてだろうか。

224号でも、あった。
136ページ、特集記事である。
パラダイムのPERSONA Bのページである。

写真の下に、簡単な説明文がある。
そこに《1980年代前半に設立されたカナダのスピーカーメーカー》とある。

352ページ、傅信幸氏によるFOUNDER 70LCRの紹介記事がある。
傅信幸氏の文章の冒頭、
《パラダイム(Paradigm)はカナダ・オンタリオ州で1982年に創業した》とある。

1982年は1980年代前半だから、136ページの説明文は間違っているわけではない。
けれど、傅信幸氏が1982年と書かれているのだから、
136ページの説明文も、1982年に設立された、とすべきだ、と誰も思わなかったのか。

ステレオサウンドの編集部の全員、照らし合せることをしないのか。

編集者ではなく、編集捨になりつつある……

Date: 10月 2nd, 2022
Cate: German Physiks, オーディオ評論, 新製品

ジャーマン・フィジックス HRS130(とオーディオ雑誌・その3)

facebookでGerman Physiks(ジャーマン・フィジックス)をフォローしている。
9月17日のGerman Physiksの投稿は、
オーディオアクセサリー 186号で取り上げられたことについて、であった。

そこに石原俊氏の文章が、英訳されて一部引用されていた。
そして、最後にはこうある。

Our thanks to Mr. Ishihara and the Audio Accessory editorial staff and Mr. Iori of Taktstock, our Japanese distributor, for arranging the review.

これを読んでいたから、オーディオアクセサリーのHRS130の記事が楽しみだった。
オーディオアクセサリー 186号が発売になって、
一ヵ月足らずでのGerman Physiksの、この投稿である。

ステレオサウンド 224号が発売になって、一ヵ月。
そろそろGerman Physiksの投稿で、
ステレオサウンドのこと、山之内正氏のことが取り上げられるのか。

Our thanks to Mr. Yamanouchi and the Stereo Sound editorial staff and Mr. Iori of Taktstock, our Japanese distributor, for arranging the review.
という投稿がなされるのだろうか。

Date: 10月 1st, 2022
Cate: German Physiks, オーディオ評論, 新製品

ジャーマン・フィジックス HRS130(とオーディオ雑誌・その2)

オーディオアクセサリーの石原俊氏の文章、
ステレオサウンドの山之内正氏の文章、
この二つのHRS130についての文章を読んだ後に、
ステレオサウンド編集長の染谷一氏の編集後記を読むと、あれこれ妄想してしまう。

染谷編集長は、試聴記について書かれている。
そこには、
《自分の好みをただ押し付けただけの感想の羅列を試聴記として読まされると、いったい何の目的を持って誰のために書かれた文章なのかと理解に苦しむ》
とある。

そして最後には、
《プロ意識が欠けたまま書かれた試聴記には何の価値もないと思う。自戒の念を強く込めて。》
と結ばれている。

最初、読んだ時、どういう心境の変化なのだろう──、と思った。
それにしても、ただ試聴記とあるだけで、
この試聴記が、どの試聴記を指しているのかは、ひどく曖昧というか、
どうとでも読めるような書き方だ。

インターネットにあふれている個人の試聴記なのか、
それともステレオサウンド以外のオーディオ雑誌の試聴記なのか、
《自戒の念を強く込めて》とあるのだから、
ステレオサウンドの試聴記も含めてのことなのか。

オーディオアクセサリー 186号の発売日と、
この編集後記が書かれたであろう時期とを考えると、
オーディオアクセサリーを読んでの編集後記ではない、と思われる。

にしても、HRS130についての石原俊氏の文章と山之内正氏の文章を読むと、
こういうことを書きたくなるのかもしれない──、というのは私の妄想でしかない。

Date: 10月 1st, 2022
Cate: German Physiks, オーディオ評論, 新製品

ジャーマン・フィジックス HRS130(とオーディオ雑誌・その1)

おそらく今日からなのだろうが、
ステレオサウンド 224号がKindle Unlimitedで読めるようになった。

224号は、少し楽しみにしていた記事がある。
おそらく224号で取り上げられているであろう、
ジャーマン・フィジックスのHRS130の新製品紹介の記事である。

8月発売のオーディオアクセサリー 186号でもHRS130は取り上げられている。
9月発売のステレオサウンド 224号でも取り上げられていて、
オーディオアクセサリーでは石原俊氏、ステレオサウンドでは山之内正氏、
オーディオアクセサリーはカラーで6ページ、ステレオサウンドはモノクロ2ページである。

カラーであるとかモノクロであるとか、
6ページなのか2ページなのかよりも、そこに書かれている内容である。
内容が薄ければカラー6ページであっても、モノクロ2ページの記事に劣ることだってある。

けれど、HRS130に関しては、オーディオアクセサリーの4ページである。
ステレオサウンドの山之内正氏の文章よりも、
書き手(石原俊氏)の熱っぽさが伝わってくるからだ。

石原俊氏は以前はステレオサウンドに書かれていた。
いつのころからか、さっぱり書かれなくなっていた。
そしていつのまにかオーディオアクセサリーに登場されるようになった。

山之内正氏はオーディオアクセサリーに書かれていた、いまも書かれている。
二年ほど前からステレオサウンドに登場されるようになった。
いまではメイン執筆者の一人である。

その二人がHRS130の記事を書いている。
私は、石原俊氏の文章(オーディオアクセサリーの記事)を読んでほしい、と思っている。