Archive for 3月, 2022

Date: 3月 3rd, 2022
Cate: 五味康祐, 再生音

再生音に存在しないもの(その2)

4月3日まで、東京都美術館で「フェルメールと17世紀オランダ絵画展」をやっている。
ヨハネス・フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」が公開されている。

修復作業によって、誰かによって消されていた、
壁に描かれていたキューピッドの絵があらわれた「窓辺で手紙を読む女」である。

コロナ禍ということもあって入場時間を予約しなければならない。
そのおかげで比較的空いていた。
平日の午前中ということもあってだろう。

すべての絵を見終ると、そこには今回の展示に関連したグッズの販売コーナーがある。
そのなかに、3Dプリントで複製したフェルメールの絵があった。

オランダでの3Dデータを元にした複製画である。
オリジナルの絵にある凹凸も再現されている。

この複製画には触れる。
触って感じるのは、フェルメールは重ね塗りをやらなかったのか、である。

私は絵に関しては素人なのだが、
重ね塗りをしているのであれば、3Dデータで複製した絵にも、
同じように表面の凹凸が再現されるはずである。

今回触った複製画には、オリジナルにあるひび割れの感触が感じられる。
そこまでの複製画なのだから、重ね塗りの凹凸も複製しているはずである。

Date: 3月 3rd, 2022
Cate: オーディオ評論

B&W 800シリーズとオーディオ評論家(その16)

今日発売のステレオサウンド 222号の特集は、
「現代最先端スピーカー B&W 801D4大研究」である。

三部構成で、小野寺弘滋、櫻井 卓、三浦孝仁、和田博巳の四氏による座談会、
櫻井 卓氏をのぞく三氏による鳴らしこみテスト、
開発担当者へのインタヴューとなっている。

Kindle Unlimitedで読めるようになったら読むつもりなので、
また読んでいない。

座談会の内容がどんなのだかは、全く知らない。
それでも絶賛の嵐なのだろう、という予想はつく。

優秀なスピーカーシステムなのだろうから、
絶賛されるのはわからないわけではない。それはそれでいい。

私が知りたいのは、この座談会で、誰かが購入すると発言したのだろうか、である。
どうなのだろうか。

誰も購入しないままなのか。
そうだとしたら、座談会の司会は、その理由を訊いたのか。

Date: 3月 2nd, 2022
Cate: 映画

ようこそ映画音響の世界へ

Netflixで昨日から配信が始まった「ようこそ映画音響の世界へ」。
タイトルそのままの内容だから内容についてはばっさり省略するが、
音、音響に関心がある人ならば、ぜひ見てほしい。

Date: 3月 2nd, 2022
Cate: ディスク/ブック

Freude

3月4日に、金子三勇士の「Freude(フロイデ)」が発売になる。
発売されていないのだから、まだ聴いていない。

でもウワサは聞いていて、ものすごくいい録音らしい。

ピアノの録音といえば、
菅野先生のところで聴いたプレトニョフのシューマンは、ほんとうにすごかった。

それまでの優秀録音のピアノの音とは一線を画していた。
けれど、プレトニョフのシューマンを聴いた人の多くがそう認めていたわけでもなかった。

私の自分のシステムでのみ聴いていたら、
誰かのシステムでしか聴いていなかったら、
これほどすごい録音とは感じなかったはずだ。

菅野先生のところで聴いて、その凄さを認識できたといっていい。

「Freude」が、そのへんどうなのかは、いまのところわからない。
プレトニョフのシューマンと同じ方向での素晴らしさだったら、
意外にも高い評価は得られない可能性もあろう。

TIDALでも聴けるようになるのだろうか。
MQAで聴けるのだろうか。

Date: 3月 2nd, 2022
Cate: 録音

録音は未来/recoding = studio product(その6)

無線と実験のレギュラー筆者の一人である金田明彦氏。
金田式DCアンプで知られる人だから、説明の必要はないだろう。

金田明彦氏は、1970年代の終りごろからだったか、
録音機のDCアンプ化に積極的に取り組まれていた。

オープンリールデッキ、カセットデッキ内の録音アンプ、再生アンプをDCアンプ化、
それだけにとどまらずマイクロフォンも手がけられるようになった。

たしかショップスのマイクロフォンユニットを使い、
マイクロフォンアンプのDC化である。

録音機のDC化の最初のころは、ミキサーも発表されていたと記憶しているが、
DCマイクロフォン以降は、マイクロフォンの性能が著しく向上したということで、
ワンポイント録音のみになっていった。

高校生のころ、金田明彦氏のこれらの記事を読みながら、
いったいどんな録音が可能なのか、その音を一度聴いてみたい、と思っていた。
無線と実験は、金田明彦氏の録音をLPにして発売しないのか、とも思っていた。

と同時に、録音する演奏は、どうしても限られてしまう。
このことが気になっていた。

録音器材のDCアンプ化によって、
金田明彦氏のいうようなほんとうに凄い録音が可能になったとしても、
そこで録られた演奏が、さほど聴きたいものでなければ、
もっといえば録音はよくても演奏が拙ければ──、
そんなことも思っていた。

聴きたいのは、素晴らしい演奏である。
その素晴らしい演奏が、いい音で聴けるのならば、さらに素晴らしいことなのだが、
どんなに素晴らしくいい音で録音されたとしても、
演奏そのものが、その音の良さに追いついていなければ、
聴いていて、どう感じるだろうか。

最初は、その音の良さに驚くはずだ。
でも二回目以降は、もしかすると一回目の途中からでも、
演奏の拙さのほうが気になってくるかもしれない。

Date: 3月 1st, 2022
Cate: 書く
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audio identity (designing)を終りにする理由

2023年1月29日で、audio identity (designing)は終りにして、
また新しいブログを始めるのならば、
audio identity (designing)のまま続ければ、いいのではないか──。

そう思われるのはわかっている。
でも、audio identity (designing)を終りにするのは、
audio identity (designing)がオーディオのブログだから、である。

ここにきて、オーディオのブログがほんとうにやりたかったことなのか、
そう思うようになってきた。

ほんとうにつくりたかったのは、
オーディオのようなブログであり、
もっといえばオーディオそのもののブログである。

世の中に、さまざまなオーディオ雑誌があったし、いまもある。
けれど、それは、どれもオーディオの雑誌でしかない。
そのなかで、どれが面白いとか、面白くないとか、
昔と比べてどうとか、そういうことでしかない。

オーディオの雑誌が目指すべきところは、
オーディオのような雑誌、オーディオそのものといえる雑誌だ、
と私は考えるようになってきた。

五味先生、岩崎先生、瀬川先生が、
あと十年か二十年、活躍されていれば、
ステレオサウンドは、オーディオのような雑誌に近づけたかもしれない。

オーディオのようなブログに挑戦したくなった。
それがaudio identity (designing)を終りにする理由である。

終りにしたから、
新しいブログにしたからといって、
オーディオのようなブログにできるかどうかはなんともいえない。

でも、気持を切り替えるためにも、
オーディオのブログであるaudio identity (designing)は終りにする。