Archive for category テーマ

Date: 6月 8th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その19)

ダイナコにはSCA35と同時代に、PAS3XとPAT5というコントロールアンプがあった。
パネルフェイスはどちらも同じで、PAS3Xが真空管、PAT5がトランジスター式だった。

どちらのコントロールアンプも、基本的なパネルのデザインはSCA35と同じと言える。

どちらのコントロールアンプもSCA35とほぼ同寸法で、専用のウッドケースが用意されていた。

PAS3Xをウッドケースに収めたのも、実際に見たことはない。
このことは実機を見て確かめたいところだが、もう五十年ほど昔のアンプだから、そういう機会は訪れないだろう。

なので写真での比較でしかないなのだが、SCA35にはウッドケースが必需品と感じるのに、
PAS3Xには、そういうことは感じない。

基本的なデザインは同じでも、ツマミの数はPAS3Xの方が多い。
SCA35だとウッドケース無しだと、ちょっとスカスカな印象があるが、
PAS3Xには同じことを感じたことはない。

SCA35は、何か、額縁を求める絵やポスターのような存在のようにも感じる。
ウッドケースという額縁があって完成するフロントパネル。
私にとってのSCA35は、そういう存在であり、そこに魅力を感じているのだと思っている。

Date: 6月 7th, 2025
Cate: ステレオサウンド

ステレオサウンド 235号

ステレオサウンド 235号をKindle Unlimitedで読み終って、一つ気にかかることがある。

傅 信幸氏の登場が、かなり少ないことだ。

Date: 6月 7th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その18)

昨夜の投稿を読まれた方の中には、
ダイナコ SCA35と検索された方もおられよう。

ずいぶん昔のアンプである。
1977年で、62,300円のプリメインアンプで、
外形寸法はW34×H10.8×D26.7cm、重量は8.5kg。
使用真空管は12AX7(二本)、7199(二本)、6BQ5(四本)という構成。
出力は17.5W+17.5Wと、決して本格的なプリメインアンプではなかった。

同時代の、ほぼ同価格の国産アンプにはサンスイのAU607があった。

SCA35を検索して、その写真を見た人は、こんなデザインなのか……、期待はずれだ、と思われたかもしれない。

ダイナコの製品はローコスト機であった。キットも用意されていた。SCA35も、その例に漏れず、お金のかかった作りではない。

おそらく市販のツマミを買ってきてフロントパネルに配置した、それだけのデザインと言えそうな出来だ。

高級感があるわけではない。
そんなプリメインアンプなのだが、専用のウッドケースDW2(7,500円)に収めた姿は、なかなかいい。

私はどちらかというとウッドケースは好まない。
そんな私でもQUADの33とFM3を専用のウッドケースに収めたのと、
このSCA35は例外といえ、SCA35に関してはウッドケース込みでのデザインで受け止めている。

とはいえ実際にDW2に収まったSCA35は、写真でしか知らない。
SCA35は、一時期使っていた。シーメンスのコアキシャルを鳴らしていた。
DW2無しだった。

Date: 6月 6th, 2025
Cate: 真空管アンプ

真空管アンプの存在(KT88プッシュプルとタンノイ・その17)

その16)にコメントをもらっていた。

そのコメントの最後に《宮崎さんの思う真空管プリメインアンプのベスト・デザインを、ぜひ教えてください。また、その理由についてもお聞かせいただけると嬉しい限りです!》とある。

真空管プリメインアンプのベストデザイン、これがけっこう難しい。
あれこれ、いろんなプリメインアンプの顔を思い浮かべていたのだが、
これこそベストデザインというアンプはない──、
それがいまのところの結論となる。

ベターデザインならば、いくつかある。
その中で、いま手元に置きたいモノというふうに考えてみた。

私が初めて聴いた真空管プリメインアンプは、ラックスのLX38。
熊本のオーディオ店に瀬川先生が来られた時に聴いている。この時、私のリクエストで、スペンドールのBCIIとピカリングのXUV/4500Qとの組合せで、もう一度鳴らしてもらった。
この時のことは別項で書いているので詳細は省くが、瀬川先生から「玄人の組合せ」とお褒めの言葉をいただいた。

だからLX38には思い入れがある。そのデザインもベターデザインとは思っているけど、
ベターデザインと感じているモノの中から、一つだけ選ぶとなるとは、LX38ではない。

ベターデザインの感じているモノの中から一つだけ、ということが、
いわば準ベストデザインとなるのではないか──と考えると、
選ぶのはダイナコのSCA35である。

Date: 6月 5th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜

7月のaudio wednesdayは、第一水曜日ではなく第二水曜日の9日になる。

まだテーマは決めていないけれど、9日の天候(気温)次第では、やりたいことがある。

なので、いま二つのプランを持っている。今月下旬には、はっきりする。

Date: 6月 5th, 2025
Cate: ロマン

オーディオのロマン(その17)

昨晩のaudio wednesdayは、
フランコ・セルブリンのKtêmaを、野口晴哉記念音楽室(野口晴哉氏リスニングルーム)で鳴らした。

私が、野口晴哉氏のこと、そのリスニングルームを初めて知ったのは、
以前も書いているように、1976年12月に発売された「世界のオーディオ」だった。

その一ヵ月ほど前に、私は「五味オーディオ教室」に出逢っていた。
オーディオの知識が、そんなにあったわけではない。
野口晴哉氏がどういう人なのかも、当時、中学二年生の私は全く知らなかった。
最初は、野口晴哉をのぐちせいや、と思っていたくらいだ。
晴哉(はるちか)なのを知ったのは、けっこう経ってからだった。

何の知識もなく、野口晴哉氏リスニングルームの写真を見て、すごい、と思っていた。

その空間で、Ktêmaを鳴らしたことも、私にとっては、オーディオのロマンの一つであった。

Date: 6月 4th, 2025
Cate: audio wednesday

カルロス・クライバーのシューベルト

今日は、audio wednesdayだった。
野口晴哉氏のリスニングルームで鳴らすフランコ・セルブリンのKtêma。

いろんな曲を聴いた。
どの曲が、印象深く心に響いたかは、人によって違うはず。

私にとっては、カルロス・クライバーとウィーン・フィルハーモニーによるシューベルトの「未完成」が、そうだった。

こんなに美しい響きなのかと陶然となって、聴き惚れていた。
今日は、この曲だけで、もう充分だ、と思うほどに、美しいのは、この部屋のおかげなのだろう。

陶然となりながら思い出していたのは、数ヵ月前に読んだ内田光子のインタビュー記事だった。

「神の存在は信じないけれど、シューベルトを演奏してる時は、もしかしたらいるのかもしれないと思ってしまいます」

そんなことを語っていたと記憶している。

Date: 6月 3rd, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十七夜(FRANCO SERBLIN Ktêmaと野口晴哉記念音楽室・いよいよ明日)

明日(6月4日)のaudio wednesdayでは、これまで四回鳴らしてきているフランコ・セルブリンのKtêmaを、
これまでの空間ではなく、故・野口晴哉氏のリスニングルーム(野口晴哉記念音楽室)で鳴らす。

どういう音(響き)で鳴ってくれるのか、
なんとなく予想できると言えばできなくもないが、
それでも音は実際に鳴ってきたのが、全てで、
それがたまたま予想の範囲、もしくは延長線上にあるのか、
そうでないところで鳴ってくれるのか、
私自身、とても楽しみにしている。

今回もリクエストを受けつける。

Speaker System: FRANCO SERBLIN Ktêma + ELAC 4PI PLUS.2

Control Amplifier: EINSTEIN The Tube II

Power Amplifier: Viola Forte

CD Transport: Accuphase DP100

D/A Converter: Meridian ULTRA DAC

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2,500円いただく。ワンドリンク付き。
大学生以下は無料。

Date: 6月 2nd, 2025
Cate: ジャーナリズム, ステレオサウンド

編集者の悪意とは(その28)

この項を書き始めた時から、同時に考えているのは、編集者の善意である。

誌面から感じられるものなのだろうか。

Date: 6月 2nd, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十八夜

今月のaudio wednesdayは、これまで通り第一水曜日ですが、
7月のaudio wednesdayは諸般の事情により、第二水曜日の7月9日に行います。

Date: 6月 1st, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十七夜(FRANCO SERBLIN Ktêmaと野口晴哉記念音楽室)

すでに告知している通り、6月4日のaudio wednesdayは、
野口晴哉記念音楽室で、フランコ・セルブリンのKtêmaを鳴らすわけだが、
私は、このことを贅沢なことと受け止めているし、貴重な経験へとつながっていくことだとも思っている。

私だけがそう思っているのかもしれない。
またKtêmaを鳴らすのか、ただ部屋が変るだけだろう、
そんな捉え方もできるし、そう思う人もいるのはわかっている。

同じオーディオという趣味をやっていても、それこそ価値観は、まるで違ったりする。
感性だけでなく、価値観が違う。

それが当たり前であって、感性も価値観も同じ人と出会えるのは、そうそうない。

とにかく今回、Ktêmaを、野口晴哉氏のリスニングルームだった空間で鳴らす。

Date: 5月 31st, 2025
Cate: JBL, デザイン

JBL フラッグシップモデルの不在(その4)

その3)で指摘していることは、何もJBLだけのことではない。
マッキントッシュのスピーカーシステム、ML1 Mk IIは、
もっとひどいというかあからさまというか、
とにかく品がない。

このことはML1 Mk IIが発表になった時に書こうと思っていたが、
近年のマッキントッシュのデザインのひどさについて、続けて書いていただけに、
今回は書かずにおこう、とやめていた。

けれどJBLの新しいSummitシリーズを見て、共通するひどさを感じたから、結局、こうやって書いている。

ML1 Mk IIは専用スタンドのベースに、“McIntosh ML1”と大きく入っている。
サランネット下部中央には、“Mc”とある。

スタンドにまで入れることはないだろう、とここまででも思うのに、
サランネットを取ると、トゥイーター、スコーカーをマウントしているサブバッフルにも、“McIntosh”と入れている。

ここまでしつこくしなくても思う。けれど、また先がある。
この“McIntosh”のロゴは、サランネットを装着していても、透けて見える。

このことについて、オーディオ評論家は、何か言っているのだろうか。

Date: 5月 30th, 2025
Cate: 「本」

オーディオの「本」(近所の書店にて・その14)

以前書いているように、私が育った熊本の田舎町でも、書店の数は多かった、と言っていいだろう。
徒歩十分ぐらい以内に五店舗あった。さらに五、六分歩けば二店舗あったし、貸本屋もあった。

そんな田舎も、書店の数は減っている。東京でも減っているのだから、仕方ないのだろうが、
それでも実家から一番近い書店は、まだ現在だった。

もともとは文具店だった。なのでいまでも、店名に文具店とつく。

今回帰省して、ここの書店は他と違っていたことに、いまさらなのだが気づいた。

この店には書棚があまりない。壁面にあるくらいで、雑誌は全て大きな平台に置かれている。
測ったわけではないので正確とは言えないが、幅は2mくらい、奥行きは4mほどは、最低でもある。
この平台の上に雑誌が置かれる。

店舗も個人商店だから、大きいわけではなく、この平台がかなりの面積を占めていた。

子供のころは、一番近いと行くことで、頻繁に買いに行っていた。父や母に頼まれた本を買いに行ったりしていたので、
こういう置き方が当たり前のこととして受け止めていた。

この書店では、だから平積み、面陳列、棚差しといった扱いの違いはない。
ここで扱っている全ての雑誌が平積みである。

でも、ここにはオーディオの雑誌はなかった。
この店がオーディオ雑誌を扱っていたら、オーディオへの関心をもっと早くに持つことになったかも──、
そんなことを今回の帰省で思っていた。

Date: 5月 29th, 2025
Cate: ケーブル

結線というテーマ(その19)

6月4日のaudio wednesdayでは、この項で書いている同軸スピーカーケーブルの逆接続を、
スーパートゥイーターのエラック、4PI PLUS.2で、その音の違いを聴いてもらおうと予定している。

4PI PLUS.2への接続による音の変化は、小さくない。
スピーカーケーブルが変れば、もちろん変るし、接続の仕方によっても変ってくる。

5月の会では、それまでとは違うスピーカーケーブルを使っていた。長さの関係でパワーアンプから、というわけにはいかず、
フランコ・セルブリンのKtêmaのスピーカー端子から接いでいた。

今回もたぶんそうなると思う。その上で同軸スピーカーケーブルの正接続、逆接続の音を聴いてもらう。

Date: 5月 28th, 2025
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) –第十七夜(FRANCO SERBLIN Ktêmaと野口晴哉記念音楽室)

これまでは、その月のaudio wednesdayが終ると、翌日には次回の告知をしていた。
5月の会を終えても6月の会の告知をしなかったのは、父の容態があったからだった。
なんとなくだが、6月は中止もしくは延期になる可能性が高い、と感じていた。

父の葬儀も終え東京に戻って来ているので、6月4日にaudio wednesdayを行う。

今回は、野口晴哉記念音楽室でフランコ・セルブリンのKtêmaを鳴らす。

これまで鳴らしてきた空間も、天井が高く十分に広かったが、
野口晴哉記念音楽室は、さらに広く天井も高い。

空間の大きさだけでなく、オーディオ機器の設置も変ってくる。
野口晴哉記念音楽室には、オーディオ機器の設置に最適と言いたくなるところがある。
CDトランスポート、D/Aコンバーター、コントロールアンプ、パワーアンプまでが置ける。
代わりに電源周りがやや不利になるけれど、それでもこれまで四回鳴らしてきたKtêmaの鳴り方が、どう変化するのか。

実を言うと5月の会の時、野口晴哉記念音楽室で鳴らすことも考えたが、
エアコンのない、この空間だとまだ寒く感じた。
6月4日だと、そういうことはないだろう。