Archive for category ブランド/オーディオ機器

Date: 12月 29th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

タンノイがやって来た(2020年12月29日)

6月にヤフオク!で落札したタンノイ・コーネッタ。
7月からのaudio wednesdayは、このコーネッタを鳴らしてきた。

半年、喫茶茶会記に置いたままだった。
今日、ようやく引き取ってきた。

狭い部屋にコーネッタ。
スピーカーがこれだけならば、まだいいが、
他にもスピーカーがいくつかあるので、
このブログも縮こまって書いている。

今日のところはとりあえず搬入しただけ、でしかない。
正月休みは、部屋の片づけ、レイアウト変更で過ぎ去ってしまいそう。

Date: 12月 20th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(SUPERではなくWONDER)

メリディアンのULTRA DACは、私のなかでの位置づけは、
EMTのアナログプレーヤー930stと同じ、といっていい。

930stの上には927Dstがある。
ULTRA DACも高価だが、世の中にはもっと高価なD/Aコンバーターはいくらでもある。

ULTRA DACを最初にみた時は、大きな、とおもったけれど、
ULTRA DACよりも規模の大きなD/Aコンバーターも、いくつでもある。

ULTRA DACよりもずっと高価で、大規模なD/Aコンバーターを927Dstクラスとすれば、
ULTRA DACはやはり930stクラスであり、
それも930stに専用インシュレーター930-900と組み合わせた状態での完成度の高さ、
そして音の誠実さは、ULTRA DACにも共通して感じるところだ。

では218は、というと、トーレンスのTD125的位置づけである。
TD125は、音のいいプレーヤーである。
後継機のTD126よりも、音は澄んでいるように感じる。

同条件で比較試聴したわけではないので、断言できないけれど、
使い勝手の良さではTD126のほうが上のところはある。
モーターのトルクの弱さは、TD125の欠点といえなくもない。
クリーナーをあてるだけで、回転スピードが遅くなるほどである。

でも、肝心の音となると、また違ってくる。
どちらを重視するかは人によって違う。
私はTD125のほうが、自分で使うのであれは好ましい、と考えている。

そのTD125をベースにEMTがまとめあげたのが、928である。

私が218に手を加えてめざしたのは、928でもあった。
928は聴いたことがない。
それでも瀬川先生の評価を信じるならば、928は930stにはかなわない。
けれど928はトーレンスのTD125ではなく、やっぱりEMTのアナログプレーヤーである。

ここは、とても重要なことだ。少なくとも私にとっては。
218にどれだけを手を加えてもULTRA DACになるわけではない。
いいかえるならば、930st的存在になったりはしない。

でも928的存在にはなる、という予感はあった。
自画自賛ではあるが、928的存在にはなった。

ULTRA DACにはならないけれど、WONDER DACと呼べるレベルには仕上げたかった。
SUPER DACではなく、WONDER DACにしたかったのは、ワンダーウーマンのファンだからだ。

パティ・ジェンキンス監督、
ガル・ガドット主演の「ワンダーウーマン」を観てなければ、
SUPER DACといっていたことだろう。

Date: 12月 12th, 2020
Cate: D44000 Paragon, JBL, 瀬川冬樹

瀬川冬樹氏とスピーカーのこと(その31)

ステレオサウンドの冬号(ベストバイの号)が書店に並んでいるのをみかけると、
59号のことを思い出してしまう。

昔は夏号がベストバイの号だった。
59号は、ベストバイに瀬川先生が登場された最後の号である。
     *
 ステレオレコードの市販された1958年以来だから、もう23年も前の製品で、たいていなら多少古めかしくなるはずだが、パラゴンに限っては、外観も音も、決して古くない。さすがはJBLの力作で、少しオーディオ道楽した人が、一度は我家に入れてみたいと考える。目の前に置いて眺めているだけで、惚れ惚れと、しかも豊かな気分になれるという、そのことだけでも素晴らしい。まして、鳴らし込んだ音の良さ、欲しいなあ。
     *
59号で、パラゴンについて書かれたものだ。
もう何度も引用している。

この文章を思い出すのだ。
特に「まして、鳴らし込んだ音の良さ、欲しいなあ。」を何度も何度も思い出しては、
反芻してしまっている。

59号の時点で、23年も前の製品だったパラゴンは、
いまでは60年以上前の製品である。

瀬川先生の「欲しいなぁ」は、つぶやきである。
そのつぶやきが、いまも私の心をしっかりととらえている。

Date: 11月 21st, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その21・追補)

その21)の最後で触れたAudirvana

今日、Audirvanaのサイトにアクセスしたら、日本語のページができていた。
すべてのページの日本語版が出来ているわけではないが、
半分くらいは日本語化されている。

日本からのアクセスが増えてきたからなのだろうか。

Date: 10月 27th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その24)

ネットギアのNighthawk Pro Gaming SX10、
それからMac mini(Late 2014)を導入して、
まず感じたことは電源コードの数の多さである。

CDプレーヤーは、最初一体型を使っていた。
一時期セパレート型も使ったけれど、また一体型に戻った。

一体型ならば、CDプレーヤーの一本だけで電源コードはすむ。
セパレート型でも二本でいい。

なのに、いまは何本いるのか。
CDプレーヤーと218で、最低でも二本。
それにiFi AudioのiPurifier SPDIF用のACアダプターがある。

ここに今月、Nighthawk Pro Gaming SX10とMac miniが加わって、さらに二本増えた。

D/DコンバーターはFX-AUDIOのFX-D03J+を使っているので、
いまのところバスパワーで動作させているけれど、
D/Dコンバーターも、Matrix AudioのX-SPDIF 2を考えている。

そうすると、また一本、電源コードが加わることになる。
電源コードをあれこれ替えるのが好きな人にとっては、嬉しいことなのだろうが、
私のように電源コードはできるだけ少ない方がいいと思っている者にとっては、
なんだかなぁ……、ということになる。

私が、iPhoneと218を組み合わせることに熱心なのは、
このことが関係している。

iPhoneには電源コードは要らない。
FX-D03J+の電源は、iPhoneから供給される。
iPurifier SPDIF用の電源には、
この時は、以前書いているようにアンカーの省電力対応のモバイルバッテリーを使う。

Date: 10月 27th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その23)

ヤフオク!で落札したMac mini(Late 2014)は、
三つあるグレードのまんなかのモデルだ。

六年前のMacで、しかも、その時点で最高性能というわけでもないのだから、
いまの水準からすれば、ロースペックということになる。

それに付属品は、電源コードだけ。しかも純正品ではない、ということもあってだろう、
意外と安く落札できた。
31,500円だった。

実をいうと、最初はIOデータのSoundgenicを考えていた。
2TBの安価なモデルは、いま三万円をわずかに切る価格になっている。

この手の製品としては入門機になる。
これで、ものすごい音を出そうと考えたのではなくて、
入門機の実力は、いったいどのくらいなのか、ということに関心があった。

音質的に、どうしても不満があるのならば、
手を加えればいいや、ぐらいに考えて購入寸前までいったときに、
そういえば、いまMacの中古は、どのぐらいするのだろうか、と思った。

そう思ったら、iPhoneですぐに調べられる。
Soundgenicの2TBモデルと同じくらいの価格で買えそうなMacがある。

Mac miniも買えそうで、2014年モデルも、
探し方次第では、Soundgenicと同じくらいで買えそうだとわかった。

それからだった。ヤフオク!で検索して、これだったら、と思えるMac miniを落札した。

さきほど届いた。
さっそく開梱して、Nighthawk Pro Gaming SX10のとなりに並べてみた。
大きさもいい感じだ。

Soundgenicも、大きさとしてはたいして変らないけれど、
全体の質感が、Mac miniと比較すると(比較するものではないのはわかっている)……。

Soundgenicは新品、Mac mini(Late 2014)は中古なのだから、
同列には比較できないのはわかっていても、
現実として、どちらも同じくらいの価格で手に入れられるわけだから、
購入する側としては、選択肢としてみてしまうのは、どうしようもない。

アプリケーションはまだだが、これでハードウェアは、いちおう揃った。
メリディアンの218が125,000円(税抜き)、
Nighthawk Pro Gaming SX10、Mac mini(Late 2014)をあわせて、20万円を切る。

どこまで遊べるか、楽しめるか。

Date: 10月 27th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その22)

メリディアンの218の入力について、
メリディアンのサイトには、下記のように公開されている。
     *
AUDIO INPUTS
One 2-channel digital coaxial S/PDIF input. 44.1kHz to 192kHz sampling and up to 24-bit
One 2-channel Meridian Speakerlink input. 44.1kHz to 192kHz sampling and up to 24-bit
One 2-channel digital optical TOSLINK input. 44.1kHz to 96kHz sampling and up to 24-bit
One 2-channel analogue input
One network input (Ethernet) for connection to a Roon system or an alternative control interface
     *
デジタル入力として使用できるのは、
SPDIFの同軸入力とトスリンク(光)とネットワーク端子ということになる。

スペック的には、トスリンクは96kHzまでなので、
同軸ケーブルによるSPDIF(こちらは196kHzまで)を使うことになる。

ネットワーク入力は、Roon専用といっていい。
RoonはRAAT(Roon Advanced Audio Transport)という独自の形式になっているためだ。

なので、私もRoonとの組合せで218を使うことを考えているわけなのだが、
でもその前に──、と思うのが、Audirvanaである。
AudioとNirvanaの造語であるAudirvanaは、オーディルヴァナと呼ぶのだろう。

他にも、いくつかのアプリケーションがある。
Windows用でよく知られているfoobar2000も、Mac用が出てきたし、
JRMC(JRiver Media Center)、Amarraなどがある。

すべてを試そうとは思っていない。
RoonとAudirvanaに絞って使っていくつもりである。

比較して、どちらを選んだからといって、
すべての点において、それが優れているということにならない。

アプリケーション(ソフトウェア)なので、こまめにアップデートされていく。
現時点では、どちらがいい、というようなことはいえても、
それが一年後、二年後、その先においても、そうだとはいえない。

とにかく使いやすい(とっつきやすい)と感じたアプリケーションから使い始めればいい。
Audirvanaは30日間、Roonは14日間の試用期間がある。

Date: 10月 26th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218はWONDER DACをめざす(その21)

(その18)で書いているように、
ネットギアのNighthawk Pro Gaming SX10を購入した。

せっかく買ったモノだから、これを機にMacでの音楽再生環境を整えようと思った。
メリディアンの218とNighthawk Pro Gaming SX10があるのだから、
あれこれ試して楽しめる。

以前書いているように、2017年1月5日に、それまで使ってきたiMacが故障した。
このブログを書くには、iMacよりも、
親指シフトキーボードを接続しているPowerBook G4のほうが快適だから、
そんな事情もあって、そのままにしたままだった。

ブログを書くためだけだったら、これでもいいけれど、
そろそろ新しいMacを買おう、と。
といっても新品のMacを買うほどの余裕は、いまないので、
ヤフオク!で、Mac mini(Late 2014)の程度のいいのが出品されていて、
価格も手頃だったので、落札した。

今年の春に登場したMacBook Airには、かなり心が動いて、
買う寸前までいっていた。
それでも保留にしたのは、Thunderboltだけというコネクターの仕様である。

別売のアダプターを用意する必要がある。
オーディオに使うのであれば、そのアダプターのクォリティはどうなのか、
そのことが気になってくる。

どうしようかな、と迷っているうちに、コロナ禍で予定が狂ってしまった。
来年(早ければ年内中)に、ARMプロセッサーのMacが登場するから、
それを待ってから考えよう、と切り替えた。

なのに、Mac miniを買ってしまった。
218とNighthawk Pro Gaming SX10、
この二つを並べてみて、このくらいの大きさで、
価格的にもバランスがとれるモノ(Mac)で、システムを構築してみたい、と思ったからだ。

ここ二三日は、Mac miniをどう使おうかばかりを、あれこれ考えていた。
アプリケーションは、まずAudirvanaを使うつもりだ。

Date: 10月 25th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(その29)

40年以上前のステレオサウンドは、測定をわりとよく行っていた。
そのころのスピーカーの測定項目には、
ピンクノイズとアナライザーによる残響室での周波数特性があった。

ステレオサウンドでは、これをトータル・エネルギー・レスポンスとして掲載していた。
これが実に興味深い。
当時もそうだったが、いまみてもそうである。

測定の方法とデータの読み方にもあるのだが、
残響室での測定のため波長の長い低音に関しては、
拡散音場がえられなくなるため、200Hz以下の特性は、あくまでも参考程度とある。

それでも200Hz以上の特性をみて、試聴記をみると、
帯域バランスと、このトータル・エネルギー・レスポンスはかなり一致している。

正弦波で測定する、無響室での周波数特性は、
良好な特性を示しているスピーカーシステムであっても、
試聴した印象ではそうでないことが、その当時はけっこうあった。

試聴記の印象からイメージする周波数特性と一致するのは、
トータル・エネルギー・レスポンスであった。

ステレオサウンド別冊HIGH-TECHNIC SERIES 4では、
フルレンジユニットの測定が行われている。

タンノイのHPDシリーズの測定データも、もちろん載っている。
37機種のフルレンジユニットのなかで、
トータル・エネルギー・レスポンスがもっとも優秀なのは、タンノイである。

Date: 10月 18th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY, バスレフ(bass reflex)

TANNOY Cornetta(バスレフ型エンクロージュア・その2)

1979年にステレオサウンドから出たHIGH-TECHNIC SERIES 4、
「魅力のフルレンジスピーカーその選び方使い方」に、
瀬川先生の「フルレンジスピーカーユニットを生かすスピーカーシステム構成法」がある。

いくつかの項があって、その一つに「位相反転型の教科書に反抗する」というのがある。
     *
 位相反転型は、いまも書いたように、古くから多くの参考書、教科書で、難しい方式といわれてきた。だがそれは、あまりにもこのタイプの古い観念にとらわれすぎた考え方だ。こんにちでは、スピーカーユニットの作り方や特性が、それらの教科書の書かれた時代からみて大きく変っている。だいいち、メーカー製でこんにち定評のある位相反転型のスピーカーシステムの中に、旧来の教科書どおりに作られているものなど、探さなくてはならないほどいまや数少ない。位相反転型の実物は、大きく転換しているのだ。
 さて、ここで位相反転型エンクロージュアの特性を、多少乱暴だが概念的に大づかみにとらえていただくために、図1から6までをご覧頂く。あくまでも概念図だから、ユニットの設計が大きく異なったりすればこのような特性にはならないこともあるが、一応の目やすにはなる。
 古くからの教科書では、エンクロージュア、ポート、ダクトにはクリティカルな寸法があり、ユニットの特性に正しく合わせなくては、特性が劣化する、とされていた。そして、右の三要素がそれぞれ小さい方にズレると低音の再生限界が高くなりピークができて、低音のボンボンといういわゆる「バスレフの音」になる。また、三要素が大きい方にズレると、f0附近で特性に凹みができて、低音館が不足する……といわれていた。
 意図的に低音の共振を強調して作られた有名な例に、JBLのL26がある。明らかに低音にピークが出ているが、この音を「バスレフ音」とけなした人はあまり知らない。むしろ、とくにポップス系における低音のよく弾む明るい音は、多くの人から支持されている。
 反対に、エンクロージュアを思い切って大きくしたという例は、商品化が難しいために製品での例は知らないが、前に述べたオンキョー・オーディオセンターでの実験で、おもしろいデータが出ているのでご紹介する。
 図7は、同社のFRX20ユニットをもとに、内容積がそれぞれ65リッター、85リッターおよび150リッターという三種類の箱を作り、それを密閉箱から次第にダクト(ポート)を長さを増していったときの特性の変化で、前出の図1や3、4に示した傾向はほぼ同様に出ている。
 これを実際に、約50名のアマチュア立会いでヒアリングテストしたところ、箱を最大にすると共にポートを最も長くして、旧来のバスレフの理論からは最適同調点を最もはずしたポイントが、聴感上では音に深味と幅が増してスケール感が豊かで、とうてい20センチのシングルコーンとは思えないという結果が得られた。
 ヒアリングテストをする以前、無響室内での測定データをみた段階では、測定をしてくださったエンジニア側からは、図7(C)の点線などは、ミスチューニングで好ましくない、という意見がついてきた。しかし、これはあくまでも無響室内での特性で、実際のリスニングルーム内に設置したときは、すべてのエンクロージュアは、壁や床の影響で、概して低音が上昇することを忘れてはいけない(例=図8)。この例にように、エンクローシュア自体では共振のできることを意図的に避けることが、聴感上の低音を自然にするひとつの手段ではないかと思う。とくに、バスレフの二つの共振の山のうち、高い方をできるだけおさえ、低い方を可聴周波限界近くまでさげるという考え方が、わたしくの実験では(この例にかぎらず)概して好ましかった。
 ともかく、バスレフは難しく考えなくてよい。それよりも、むしろ積極的にミスチューニングしよう(本当は、いったい何がミスなんだ? と聞きかえしたいのだが)。
 参考までに、G・A・ブリッグスが名著「ラウドスピーカー」の巻末に載せていたバスレフのポートと共振周波数の一覧表をご紹介しておく(図9)。この本はもともと、一般の計算などにが手の愛好家向けの本だから、なるべつ簡単に説明しようという意図があるにしても、日本の教科書のようにユニットのQだのmだのに一切ふれていないところが何ともあっけらかんとしていておもしろい。そして現実にこれで十分に役に立ち、音の良い箱ができ上るのである。
     *
図について簡単に説明しておくと、
図1は、位相反転型エンクロージュアの箱の容積の大小
図2は、位相反転型エンクロージュアの開口の大きさを変えた場合の傾向
図3は、位相反転型エンクロージュアのダクトの長さの変化と特性器傾向
図4は、位相反転型エンクロージュアのインピーダンス特性
図5は、ドロンコーンの質量の大小と特性の傾向
図6は、吸音材の量と低域特性
図7は、エンクロージュア容積と低域特性の関係
である。
図1から6までは、スピーカーの教科書にも載っていることが多い。
図7は、実測データのグラフである。

Date: 10月 16th, 2020
Cate: Autograph, TANNOY, バスレフ(bass reflex)

TANNOY Cornetta(バスレフ型エンクロージュア・その1)

コーネッタはバスレフ型エンクロージュアである。
コーネッタの記事を読めば、
コーネッタは、バスレフ型としてはミスチューニングと思われる方もいるだろう。

ティール&スモール(Thiele & Small)理論でシミュレートして設計すれば、
もっと小型のエンクロージュア・サイズになるはずだ。

コーネッタの試作のために、レクタンギュラー型のエンクロージュアがある。
W53.0×H68.0×D45.0cmのエンクロージュアである。

このエンクロージュアのポート長は165mmである。
ステレオサウンド 38号に周波数特性が載っている。
典型的なバスレフ型の特性である。
約45Hzあたりまでほぼフラットで、それ以下ではレスポンスか急激に低下する。
インピーダンスカーヴも、約45Hzにピークがあり、約40Ωとなっている。

このレクタンギュラー型エンクロージュアをへースに、
井上先生はコーナー型エンクロージュアの設計にとりかかられている。

コーナーにスピーカーを設置することで、低域のレスポンスは、
無響室の特性よりも、理論的には最大で18dB程度上昇する。

あくまでも、この数値は理論値であって、
現実の壁と床は、この理論値が要求する理想状態からは、ほど遠いため、
現実の上昇は、8〜12dB程度だといわれている。

この数値にしても、かなりしっかりした壁と床があってのものであり、
どちらかが、もしくは両方ともがそうでない造りであれば、低域上昇はもっと低くなる。
それでも無響室よりも、確実に低域のレスポンスは数dBは上昇する。

そのためコーナー型としての設計では、この上昇分を考慮して、
低域に向ってなだらかに下降するレスポンスが求められる。

たとえば1980年ごろに輸入されていたアリソンのスピーカーがある。
トールボーイのコーナー型だった。

このアリソンの広告には、
一般的なスピーカーの無響室での周波数特性とコーナーに設置したときのそれ、
さらにアリソンのスピーカーの、上記の条件で周波数特性、
計四つの周波数特性グラフが載っていた。

Date: 10月 14th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(music wednesdayでの音・その6)

喫茶茶会記のアルテックならば、そんなことを心配する必要はない。
能率にしても、コーネッタよりも7dBか8dBほど高い。
音量に関しては余裕で鳴らしきってくれる。

それでもコーネッタで鳴らしてよかった、と思うのは、
聴き手としての冒険だけでなく、鳴らし手としての冒険が、
10月7日の夜にはあったからだ。

アルテックを鳴らしても、鳴らし手としての冒険はあっただろうが、
アルテックは喫茶茶会記のスピーカーであって、
コーネッタは私のスピーカーであるということも違う。

それ以上にスピーカーとしての性格が、これほど違うのだから、
鳴らし手としての冒険の意味は違ってくる。

この違いを、こまかく説明しようかなとおもったが、
言葉を尽くしても、こればかりは自分で鳴らしてみないと理解してもらえないような気がする。
それに私の独りよがりな冒険なのかもしれないから、
舌足らずなのはわかっているが、ばっさりと省く。

とにかく10月7日は、野上さんと赤塚さんの選曲で、私は私だけの冒険ができた。
二人には感謝している。

赤塚さんは、
「細胞が生れ変わるようなスゴい音体験だった!!」という感想を、facebookに寄せてくれた。

Date: 10月 13th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(music wednesdayでの音・その5)

コーネッタとケイト・ブッシュの相性(その6)」で書いているように、
9月のaudio wednesdayの時に、HPD295Aのマグネットカバーを外している。

今回外していてよかった、と実感したのは、音質面のことよりも、
音量に関することだ。

10月のaudio wednesdayでは、鳴らす曲ほぼすべて、けっこうな音量だった。
鳴らしている本人が、この音量で、
これだけ危なげない音を、タンノイが鳴らすのか、と感心してしまうくらいの音量だった。

おそらくHPD295Aの前のモデル、IIILZだったら、これだけの音量で鳴らすのは無理があったろう。
HPD295Aを搭載していても、小型ブックシェルフのイートンでも、ここまでは鳴らなかったはずだ。

私のところからは、今回はマッキントッシュのパワーメーターが見えなかったが、
見えていた人によると、かなり振れていた、とのこと。

そうだろう。
HPD295Aは、能率が低い。
それでもいまどきのスピーカーとしては、高能率ということになるようだが、
私の世代の感覚では、低能率のスピーカーであり、
どれだけのパワーが必要なのかは、これまで三回鳴らしているので、おおよそはわかる。

しかも、これまでの三回よりも平均音圧は高かったのだから、
そうとうにパワーが入っていたはずだ。

だからこそ、マグネットカバーを外していてよかった。
カバーをつけた状態では、磁気回路の熱がこもるばかりである。
そうなってしまうと、ボイスコイルの温度はさらに上昇することになり、
上昇すれば、それに比例してボイスコイルの直流抵抗が増えていく。

そうなると、よけいにロスが増えてしまい、
どんなにパワーを入力しても、音圧が上昇しにくくなる、という現象がおこる。

四時間、かなりの音量で鳴らしていたのだから、
マグネットカバーがついていたら、途中で音が弛れてきたことだろう。

Date: 10月 11th, 2020
Cate: Cornetta, TANNOY

TANNOY Cornetta(music wednesdayでの音・その4)

コーネッタは、ずっと以前に聴いている。
それだけでなくタンノイのスピーカーは、かなりの数聴いている。
タンノイに関するいろんな文章も読んでいる。

そうやって、タンノイのスピーカーというものに対するイメージが、
なんとなくではあっても私の中にあった。

ほとんどのオーディオマニアがそうであろう、と思う。
そのイメージは人それぞれであるから、
共通するところもあれば、そうでないところもある。

そういうイメージがあるからこそ、最初に鳴らす曲を選ぶ(選べる)わけだ。
そして、その時鳴ってきた音から、次にかける曲を選んでいく。

「コーネッタとケイト・ブッシュの相性」で書いているように、
コーネッタがそれほどうまくケイト・ブッシュが鳴ってくれるとは期待していなかった。
けれど鳴らしてみると、そうではなかった。

それどころか発見があった。
とはいえ思い切って、最初からケイト・ブッシュを鳴らしたわけではない。
コーネッタから鳴ってくる音を慎重に聴きながらのケイト・ブッシュだった。

音が鳴ってくると、すっかり忘れてしまうことであっても、
曲を選ぶ際には、さまざまな知識が頭を擡げてくることがある。

選曲の段階で、完全に頭をカラッポにすることは、いまはまだできないでいる。
けれど、今回のmusic wednesdayでは、私の選曲は一曲もない。

すべて、野上さんと赤塚さんの選曲である。
野上さんと赤塚さんが、私と同じようなオーディオマニアであれば、
その選曲は読めるところもある。

けれど違う。特に赤塚さんは違う。
コーネッタがどういうスピーカーなのか、タンノイがどうなのかは、
赤塚さんの頭のなかにはなかったはずだ。

それでも、最初に「EDMとか、大丈夫ですか」といわれた。
選曲に遠慮はなくしてほしかったので、大丈夫と答えた。

Date: 10月 11th, 2020
Cate: 218, MERIDIAN

218(version 9)+α=WONDER DAC(その15)

メリディアンの218はプリント基板一枚に、
ほぼすべてのパーツが取り付けられている。

コネクターもそうである。
このコネクターは、さらにリアパネルにタッピングビスで固定されている。
プリント基板はシャーシーの底板にビス三本で固定されている。

これらのビスはすべて鉄製である。
これらのビスをステンレス製に交換する。

そんなことで、どれだけ音が変化するのか、といえば、
手を加えてきた218では、決して小さくない。

まったく手を加えていない218で、ビスだけを交換しても、その違いは小さいだろう。
けれど、version 9まであれこれやってきて、それからのビス交換である。

あっ、と驚くほどの違いではないが、
だからといって、元の鉄製のビスに戻そうとは思わない。