Archive for category 4343

Date: 12月 14th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と国産4ウェイ・スピーカー(その1)

4343は、ペアで140万円超えるスピーカーとして驚異的な売行きと言われる。
これだけ売れたスピーカーは、いわゆる売れ筋の価格帯のスピーカーでも、そう多くはない。

そのため、といってもいいだろう、4343の成功に触発されて,
国産メーカーからも4ウェイ・スピーカーシステムが登場しはじめた。
それらのスピーカーとの対比で4343を見ていくと、
当時の国産メーカーのスピーカー技術者が4343をどう捉えていたのかが、わかってくるというものだろう。

どういう4ウェイ・スピーカーが出ていたのか、ざっと振り返ってみる。
ソニーからは、1978年にSS-G9が登場した。4343と同じ38cm口径のウーファー、20cmのミッドバス、
8cmのミッドハイ、3.5cmのトゥイーターという構成。
ミッドハイとトゥイーターは、ソニーが新たに開発した、
ドーム型とコーン型を一体化した形状の振動板のバランスドライブ型。
クロスオーバー周波数は、300、1200、5000Hz。
外形寸法はW60×H108×D45.5cm。価格は57万6千円(ペア)だ。

さらにソニーは翌年、エスプリ・ブランドで、平面振動板の4ウェイ・システム、APM8を出す。
クロスオーバー周波数は、320、1250、4500Hz。
外形寸法はW65×H110.5×D45cm。価格は200万円(ペア)だ。

パイオニアからは、平面振動板の4ウェイ同軸ユニットを搭載したS-F1が、1980年に出ている。
クロスオーバー周波数は、500、2500、8000Hz。
外形寸法はW70×H117×D47cm。価格は170万円(ペア)だ。

Lo-Dは、1978年に、
コーン型、ドーム型ユニットの凹みに発泡樹脂を充填した平面型4ウェイのHS10000を発表している。
HS10000には、スーパートゥイーターを追加した5ウェイ・モデルも用意されていた。
使用ユニットは、30、6、3.5、1.8cm口径(0.9cm:5ウェイ仕様のスーパートゥイーター)。
クロスオーバー周波数は、630、2500、4500Hz(9000Hz:5ウェイ時)。
外形寸法はW90×H180×D60cm。価格は360万円(ペア)だ。
このスピーカーは、いわゆる2π空間使用前提の設計は、4343と共通しているし、
コンセプトからして、プロトタイプ的性格が強い。

Date: 12月 10th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と2405(その4)

早瀬(文雄)さんは、2405のことを「清潔感のある音」とよく言う。
瀬川先生の言われる「切り絵的」な描写が、早瀬さんには清潔感として聴こえてくるのだろう、と私は想っている。

4343と4343Bを聴く限りで言えば、アルニコの、ソリッドで引き締った音が、
2405の特長とうまく作用し、見事な切り絵を表現してくれるのかとも思う。
フェライトのまろやかで柔らかい感じは、2405の魅力を損なう方向に働くのか。

いまもし新品同様の4343と4343Bがあったとして、どちらを選択するかとなったら、
メインスヒーカーとして4343だけ、というのなら、フェライト仕様の4343Bにする。
他のメインスピーカーを使っていて、もう一組というのであれば、アルニコの4343を、
どちらもためらうことなく選ぶだろう。

そして仕上げは、アルニコならばサテングレイ塗装にブラックのフロントバッフルのスタジオ仕様を、
フェライトならウォールナット貼りにブルーバッフルのWX仕様にする。

スピーカーを選択するということは、そういうことではないだろうか。

Date: 12月 10th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と2405(その3)

1978年79年にかけて、ステレオサウンドから別冊として「HIGH TECHNIC SERIES」が出た。
Vol.1がマルチアンプ、Vol.2が長島先生によるMCカートリッジの詳細な解説、
Vol.3がトゥイーター、Vol.4がフルレンジの特集だった。

Vol.3の巻頭記事で、4343のトゥイーターを2405を含めて、
他社製のトゥイーターに交換しての試聴が行なわれている。
試聴方法は、それぞれのトゥイーターの能率も異るし、
4343の内蔵ネットワークは2405に有利に働くこともあるということで、
トゥイーター用に専用アンプを用意して行なわれていた。

試聴者は、井上先生、黒田先生、瀬川先生の3人。
私が何度も読み返したのは、ピラミッド社のリボントゥイーターT1と2405のところだ。

井上先生と黒田先生は、T1をひじょうに高く評価されこのとき聴いた中ではもちろんベストの存在だし、
当時4343をお使いだった黒田先生はT1に心を動かされていたと記憶している。

瀬川先生は、というと、T1のポテンシャルの高さは充分認めながらも、
「2405の切り絵的な表現に騙されていたい」ということを言われていた。

このことが、いまでも強い印象として残っている。

T1に置き換えたときの音像を立体的とすれば、2405の音像は平面で切り絵的。
T1にすることで、4343がより自然な音に変化することよりも、
2405が演出する世界に騙されることで、レコード音楽にワクワクドキドキしていたい、
そう私は受けとめた。

2405のフェライト仕様は、おそらくその切り絵的世界が、ずいぶんと失われているのではなかろうか。
他のトゥイーターと比較すれば、それでも切り絵的世界の音だろうが、
切り絵ならば、その切り口がスパッと見事であってほしい。
迷いながらの未熟な、甘い切り口では、そんな切り絵には騙されたくない。

騙されていたいと思うのは、それが見事なものであるからだ。

Date: 12月 10th, 2008
Cate: 4343, JBL, 井上卓也

4343と2405(その2)

4343にはアルニコ仕様とフェライト仕様の4343Bがある。
ときどきアルニコ仕様の4343のことを4343Aと書く人がいるが、4343Aというモデルは存在しない。

4350、4331、4333には改良モデルのAが存在する。
型番末尾の「A」はアルニコの頭文字ではなく、改良モデルを表している。
ついでに書いておくと、4345BWXと書く人もいる。
4345が正しい表記で、4345にはフェライト仕様しかないので、
アルニコ仕様と区別するための「B」はつかない。
またWXも仕上げの違いを表すもので、4345以降はウォールナット仕上げのみとなったため、型番にはつかない。

4343と4343Bの違いは、ウーファーの2231Aとミッドバスの2121が、
フェライト仕様の2231H、2121Hに変更されているだけだ。
ミッドハイの2420、トゥイーターの2405はどちらもアルニコ仕様である。

4343の後継機4344となると、すこし事情が違ってくる。
最初の頃は、4343Bと同じようにウーファーとミッドバスがフェライトで、
ミッドハイとトゥイーターはアルニコだったが、
どうも途中からミッドハイの2421Bがフェライトに変わっている。

2405は最後までアルニコだったと思っていたが、
どうもこれも後期のロットにはフェライト仕様の2405Hが搭載されているものがあるときく。

世の中にはアルニコ神話に近いものがある。
自分の使っているスピーカーに、アルニコ仕様とフェライト仕様があるならば、
やはりどちらが良いのか、とうぜん気になってくる。それがマニアなのだろう。

たまたま井上先生の取材の時に、そういう話になったとき、
「JBLに関しては、アルニコとフェライトは良し悪しじゃなくて、好みで選んでいいよ」
と言われたことがあった。
どうもスタジオモニターのユニットをひとつひとつ、
アルニコとフェライトに入れ換えて試聴されたうえでの、結論のようだった。

でも、つづけて「2405だけはアルニコだね。これだけはアルニコの方が良いよ」と言われた。

Date: 12月 9th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と2405(その1)

4300シリーズのトゥイーターといえば、なんといっても2405である。
この2405の位置は、4341、4343、4344で異っている。
基本的にミッドハイの2420の横なのは一緒だが、
4341は2420(というよりもホーン2307の開口部)の真横ではなくやや下にズレている。
4343は反対に上にすこしシフトしている。
4344で、やっと真横に位置している。

4344は2405の位置を変えられないが、4341、4343は右でも左でもつけ換えられる。
そのための穴が開いていて、メクラ板で塞いでいる。

2307の開口部の両脇にお味大きさの穴がふたつ開いている。
そのため、視覚的バランスをとるため、上か下にシフトしているのだろうか。

このメクラ板が音質にけっこう影響を与えている。
フロントバッフルと面一(ツライチ)になっていたらそれほどでもないのに、
凹みができるように取りつけられている。
メクラ板が鳴き、その前にちょっとしたホーンのようなものがついているだけに、
このメクラ板を鳴きをどう抑えるかが、使いこなしのポイントになってくる。

メクラ板の材質を変えてみるのもいいだろうし、バッフルと面一になるように加工するのもいいだろう。

Date: 12月 3rd, 2008
Cate: 4343, 4350, Celestion, JBL, SL6
4 msgs

4343と4350(補足)

ボイスコイル径で思い出したことがあるので補足しておく。

セレッションのSL6(SL600)は、グラハム・バンクがユニットを、
サイズにとらわれることなく一から設計したことは「サイズ考」に書いたが、
SL6のユニットも、ウーファーとトゥイーターのボイスコイル径は等しい。

推測にしかすぎないが、おそらくいくつもの口径のユニットとともに、
ボイスコイル径もいくつも試作した結果だろう。

Date: 12月 3rd, 2008
Cate: 4343, 4350, JBL
2 msgs

4343と4350(その2)

4350の大きな特長は、ダブルウーファー構成よりも、
ウーファー2231A、ミッドバス2202A、ミッドハイ2440、
これら3つのユニットのボイスコイル径が4インチで、同じだというところだ。

オーディオに興味をもちはじめたばかりの頃、2ウェイのホーン型システムが、
高域のドライバーに4インチ・ダイヤフラム、2インチ・スロートが多いのを疑問に思ったことがある。
2ウェイで、高域を伸ばすなら、4インチ・ダイヤフラムよりも2インチのほうだろう、と考えていたわけだ。
なぜ4インチなのか。その理由はしばらくしないとわからなかった。

4インチ・ダイヤフラムのコンプレッションドライバー採用のシステムは、
ほぼすべて15インチ(38cm)口径のウーファーを搭載している。

ユニットを組み合わせて、自作スピーカーを構築している人には当り前の事実だろうが、
JBLやガウスの15インチ・ウーファーのボイスコイル径は4インチとなっている。
ガウスはJBLを離れたバート・ロカンシーを中心として興されたメーカーだけに、
HF4000(ドライバー)のボイスコイル径は4インチ、
ウーファーはいくつものモデルがあるが15インチ口径のユニットのボイスコイルは同じく4インチ、
12インチ口径のウーファーも4インチになっている。

アルテックには515、416などのウーファーは3インチのボイスコイル径だが、
コンプレッションドライバーの288のボイスコイル径もまた3インチである。

ボイスコイル径を揃えることが、技術的にどういうメリットがあるのかは説明できないが、
音の上では、コーン型と、コンプレッションドライバー+ホーン型という異るユニットを
うまくまとめるノウハウなのだろう。

4343、4341のミッドバス2121のボイスコイル径は、発表されていないが、おそらく3インチのはず。
ウーファー2231Aは4インチ、ミッドハイの2420ドライバーは2インチと、すべて異る値だ。

これだけですべてが語れるわけではないことは承知しているが、
4350Aが、ぴたりとうまく鳴ったときのエネルギー感の統一感のある凄まじさ、
その音と較べると、4343が、どうしても中低域のエネルギーがやや不足気味なのは、
ボイスコイル径と無関係ではないと思う。

Date: 12月 2nd, 2008
Cate: 4343, 4350, JBL

4343と4350(その1)

4343(4341も含む)と4350の、いちばん大きな違いは、中低域の再現力の差だと感じている。
システム全体の構成も、もちろん大きく違う。
4350Aは4343、4341と同じウーファー(2231A)の二発使用で、バイアンプ駆動が前提。
ミッドバス帯域のユニットも、25cm口径の212から30cm口径の2202に、
ドライバーも2420から2440に、全体的にスケールが一回り大きくなっている。

4343が、ある節度を保った、破綻の少ないまとまりのよさを見せるのに対して、
4350Aは凄みのある雰囲気を持つ。

バスレフポートの数も4343は2つ、4350Aは6つ、
エンクロージュアの奥行きも4350Aは50.3cmと、4333、4341とほぼ同じ値だ。

違いはいくつもあるが、それでもいちばんの違いは、中低域だ。

4341のときからそうだが、ミッドバスを加えた4ウェイ構成にも関わらず、
中低域の豊かさが不足している。
周波数特性的に問題なくても、聴感上、エネルギー感が不足気味で、
ミッドハイの2420とウーファーの2231Aの間にはさまれて喘いでいる、そんな印象さえ受ける。

もっとも4341では、逆にこのことが魅力にもつながっており、
スリムでセンシティヴとも言える音は、好きなひとにはたまらないはずだ。

4343になり、ユニットは同じながらも、中低域の鳴りの悪さは改善されており、
4341と比べると、音全体のスケール感は大きく、安定している感がある。
それでも中低域の豊かさを感じさせてくれるかというと、
中低域専用ユニットを持っているのに……、と言いたくなる。

4350Aは、さすがにそんな印象はまったくない。
4ウェイ構成の良さが──うまく鳴ったときの音に限るが──見事に活きている。
これが、JBLが、はじめて開発した4ウェイ・スピーカーだから、おそれいる。

正確には言えば、最初のモデルは4350で、2230ウーファーを搭載している。
4350は聴いたことがないので、4350Aで話を進めていく。

Date: 11月 19th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と4341(その4)

4341と4345には台輪(ハカマ)がついている。台輪の下に何かを置いて床から持ちあげても、
底板の鳴りは基本的に変化しない。
台輪の内側にブロックをかませたら、もちろん変化するが、台輪を利用するかぎり、
底板の鳴り(天板の鳴り)はメーカーが意図したままである。

4343に限らないが、台輪がないスピーカーを床にベタ置きしたとしよう。
底板は床によって補強されたのと同じになり、底板の鳴りは大きく減る。
するとどうなる。天板の鳴りが、逆に増えてしまう。
これはダイヤトーンが測定で明らかにしている。

天板の上に石や木を乗せて振動を抑えると、
次はエンクロージュアの強度的に弱い箇所の振動が増える。

どこかでエンクロージュアにたまっているエネルギーを消費しないと、
イタチごっこになってしまうわけだ。

4343の底板の四隅に木のブロックを、できるだけ外側にもってきて、
つまり底板が何にも接触していない面積をできるだけ広くした状態の音を聴いて、
ブロックを少しずつ内側に入れていく。
つまり底板の、フリーな面積が減ることになる。低音の表情が変化していく。

トーンコントロールやイコライザーなどの電気的なコントロールとは、
また違う、低域のコントロール方法である。

4343が縦置きだけのスピーカーで、もし台輪がついていたら、
4343の評価はすこし変わっていただろう。

Date: 11月 19th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と4341(その3)

4333Aの横幅と奥行きは619×514mm、4341は600×500mmと割合近い寸法だ。

エンクロージュアのプロポーションがどう音に影響するかを正確に把握するには、
いくつものエンクロージュアを試作して試聴することを行なうことだが、
メーカーの技術者でないかぎり無理である。

だから、私の印象は、あくまでも実際の製品を聴いてきた蓄積からのものである。

バスレフ型の場合、密閉型よりもエンクロージュアの奥行きの影響が大きいように感じている。
なんとなく、こういう理由かなぁ、と思っていることはあるが、まだはっきりとしたことは言えない。

それでも、バスレフ型はある程度の奥行きがあったほうが、好ましい低音が得やすい。そう感じている。

4343だが、低音が出ないわけではない。2π空間でなくても、低音を出すことはできる。
ただ、そうすんなり行かないことがケースが多い。

4343を設置する際、大抵の人が床と4343の底板の間に何かをかませるだろう。
木のブロックだったり、コンクリートのブロックだりをかませて、すこし床から持ちあげる。

ここで注意したのは、ブロックの材質の音が影響することもだが、
それ以上に、どういうふうにかませるか、である。

底板の鳴りは天板の鳴りと関係していて、天板の鳴りは音場感に影響する。
しかも天板が、聴取位置から見えなくても、だ。

Date: 11月 19th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と4341(その2)

4343は2π空間前提のスピーカーだから、ときとして低域が不足しがちなのか。

ブックシェルフ型スピーカーという言葉が生れたとき、
この手のサイズのスピーカーは、文字通り本棚の中に設置し、
スピーカーの周囲を本で埋めることでバッフルを拡大するのと同じ効果をねらい、
低域の量感をカバーしていた。

あらためて説明するまでもなく、壁に埋め込めば、低域の鳴り方は大きく変化する。
これも言うまでもないことだが、壁に埋め込まないまでも、左右、後ろの壁だけでなく、
さらに床に近づけることで、低域の周波数レスポンスは改善される。

理論的には部屋のコーナー、つまり左右の壁、床の3つの面が交差するところにスピーカーを置けば、
無響室での特性よりも18dB程度上昇することになる。
もっともこれは理想の壁、床の場合で、実際には6から12dBくらいだと言われている。

だから4343を壁に埋め込まずに使うと低域が不足すると、決めつけるのは間違っている。

4333Aはどうだろうか。

4333Aの外形寸法はW619×H778×D514mmで、4343よりもやや小さい。
人によっては、特にジャズが好きなひとは、4343の低域よりも4333Aのほうがずっといい、と言う。
バスレフポートのチューニングも違うだろうが、やはりエンクロージュアの奥行きが、
深く関わっているように思えて仕方がない。

Date: 11月 19th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343と4341(その1)

4343は2π空間を前提に設計されていると書いた。その前身の4341はどうだろうか。

資料はないから断言できないが、4341の外観から判断すれば、
4π空間(フリースタンディング)での使用前提と言えないが、
少なくとも2π空間は考えられていないはずだ。

理由はエンクロージュア底部に台輪(ハカマ)がつけられているからだ。
壁に埋め込むことを想定していたら、こんなものはつけないはずだ。4345もハカマ付きだ。

4343と4344のエンクロージュアの外形寸法は全く同じだが、4343と4341は異る。
4341のほうが背が低く、奥行きがある。横幅もわずかだが狭い。
4341:W600×H950×D500mm
4343:W635×H1050×D435mm

4343は奥行きが足りないような気がする。そこが低音の鳴らし難さと関係しているのではないか。

4341、4343、4333A、4350A、すべてウーファーは2231Aである。
このなかで、低音不足になることが多いと言われるのは4343。
4333の奥行きは514mm、4350は508mm。

4343だけ、他のエンクロージュアと比べて約7cm薄い。

低域の鳴り方は、同じウーファー、同じ内容積のエンクロージュアでも、
とうぜんだがプロポーションによって違ってくる。

Date: 11月 18th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343とコンシューマーモデル(その3)

4343時代のころ、オンキヨーから、スピーカーの位相チェッカーが出ていた。
細長い形状で、パルスをスピーカーに入力して、先端のマイクロフォンで音をとらえ、
インジケーターの緑がついたら正相、赤がついたら逆相というものだった。
いまでも同じ機能のものは、他社から発売されているらしい。

これで4344を極性をチェックしたことがある。
結果は、ウーファーは逆相。ミッドバス、ミッドハイ、トゥイーターは緑が点灯し正相だった。
ネットワークだけの回路図ではなく、4344の回路図をみればわかるが、
ウーファーのプラス端子はネットワークのプラスにつながっている。
つまりユニットが逆相だから、ネットワークを通しても逆相である。
ところが、上3つのユニットは、ネットワークのプラスとユニットのマイナスがつながっている。
反転しているわけだ。だから、当然、トータルでは正相になる。

4343は逆相だったと記憶している。

2π空間での使用が前提の4343は逆相、
4π空間(いわゆるフリースタンディング)使用の4344は、ウーファーは逆相だが、
トータルでみれば正相といってもいいだろう。

このことから推測すると、おそらくL250もシステムとしては正相だと考えてもいいだろう。

この極性の変化は、デジタル時代を迎えるにあたってのJBLの変化なのだろう。
逸早くデジタル時代を見据えていたのだろう。
だからこそL250とともにデジタル・マスターレコーダーを運んできた、と私は考えるのだが……。

Date: 11月 18th, 2008
Cate: 4343, JBL

4343とコンシューマーモデル(その2)

JBLのスピーカーユニットは、以前は、いわゆる逆相だった。
スピーカー端子のプラス(赤色)に、電池の+(プラス)をつなぐと、
通常は振動板が前に動くのだが、JBLは反対に後ろに動く。
これがJBLの音の秘密のひとつとも言えるが、音場感を重視した再生を目指すなら、
正相状態で使ったほうが有利である。

フルレンジスピーカーをお持ちなら、一度スピーカーのプラス・マイナスを逆にして聴いてみるといい。
逆相にして鳴らすと、音像型と表現したくなるような感じになることが多い。

ネットワークを使用したマルチウェイの場合、スピーカー端子のところで、
プラス・マイナスを反転させるのは、あまりおすすめしない。
なぜならネットワークはアンバランス構成であり、パワーアンプも大半のものがアンバランス出力だからで、
基本的にパワーアンプのアースとネットワークのアースを接続すべきであるからだ。
マルチウェイのスピーカーで反転した音を聴きたいのであれば、
スピーカーユニットの端子のところで反転したほうがいい。

ただし、これでも厳密に言えば、コイルの巻き方の向きの問題があるので、
他の要素を全く変えずに極性のみ反転させるのは、
バランス接続のアンプを使い、そのバランスケーブルのところで反転させるのが望ましい。

ここまでこだわらなくても、試しにスピーカー端子のところで反転した音を聴いて、
その状態の音が気にいったのであれば、スピーカーユニットの端子で反転させてみるのもいいだろう。

ネットワークがバランス構成のものも、数はひじょうに少ないがいくつかある。
それならば、スピーカー端子のところで反転してもかまわない。

Date: 11月 18th, 2008
Cate: 4343, JBL
2 msgs

4343とコンシューマーモデル(その1)

4333のコンシューマーモデルがL300、4331のそれはL200(B)、
4343はL400が出ると言われていたけど、結局は登場しなかった。

これらスタジオモニター・シリーズとコンシューマーモデルの、いちばんの違いは再生空間である。

4343も、4333、4331は2π(パイ)空間での使用を前提に設計されている。
おもに低域の再生においてである。

最近ではあまり言われなくなったが、2π空間とは、スピーカーまわりの自由な空間の広さで、
2πが表すように、スピーカー前面の空間──水平方向180度、垂直方向180度、2つの180度空間である。
つまり4343、4333、4331は壁に埋め込んで使うことを前提している。壁バッフルを利用するわけだ。

L300、L200(B)、それにL250もそんな使い方は想定されていない。
4π空間──スピーカー前面だけでな後面も、水平、垂直の180度空間──での使用が前提である。
とくにL250はそうである。

そして4343のお姉さんにあたる4344も、じつは4π空間前提で設計されているスピーカーである。