Archive for category 組合せ

Date: 1月 27th, 2009
Cate: SX1000 Laboratory, Victor, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その5)

こういう設定そのものが妄想だということは言われなくてもわかっている。

それでも、もし歴代の国産スピーカーの中から、メインスピーカーを選ぶとしたら、
私は、ためらうことなく、ビクターのSX1000 Laboratoryを選ぶ。

ダイヤトーンの2S305こそ、日本的なスピーカーだと言われる人もいるだろう、
いや、ダイヤトーンでも、私はDS10000を選ぶという人、
海外ではじめて認められた国産スピーカーはヤマハのNS1000Mだから、
これを選ぶという人もいてもいい。

価値観も、オーディオへの取り組み方も、人の数だけ違う。

それでも、メインスピーカーとして、これからしばらく、そのスピーカーだけを使うことが前提なら、
スピーカーシステムとしての完成度の高さだけでなく、可能性の大きさも考慮した選択の結果が、
私にとってはSX1000 Laboratoryであり、程度のいい出物があれば、いまも欲しいとさえ思っている。

そのSX1000 Laboratoryを、いま鳴らすとしたら、どういう組合せだろうかと、あれこれ想いをめぐらしている。

Date: 1月 19th, 2009
Cate: Harbeth, HL Compact 7ES-3, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その4)

ハーベスのHL Compact 7ES-3の組合せは、その1で書いているように、
スペンドールのBCIIとラックスのLX38、ピカリングのXUV4500Qの組合せが奏でてくれた音を、
いまの時代に、いまのクォリティで再現したいという想いから、あれこれ考えていたもの。
だから、最初からアンプは、真空管式のモノに限定していた。

そういう個人的な想いを抜きにすれば、組み合わせるアンプは違ってくる。

第一候補は、というよりも、これしかないと思っているのが、ボウ・テクノロジーのWAZOO-XLだ。
最近では、オーディオ誌にまったく登場しなくなったが、
粋なプリメインアンプであることに、変わりはない。

聴いたばかりのオーディオ機器が好ましいモノであれば、
古いモノよりも、そのオーディオ機器に惹かれがちなのが人間なのだろう。
それに誌面には限りがある。古いモノが、徐々に登場しなくなるのは仕方のないこととわかっている。
いったい去年1年でどれだけの数の新製品が登場したことか。

このアンプの肌合いの良さと、小気味よいリズミカルで躍動感のある音は、
ユニゾンリサーチのP40、P70で鳴らす音よりも、いくぶん年齢的に若くなるだろう。
醸し出す香りの温度感も低くなるはずだ。

CDプレーヤーは、ヘーゲルのCDP4Aがぴったりくるだろう。
背筋がもっとしゃんと伸びて、涼しげな雰囲気が加わると想像する。

この組合せにもっとも期待しているのは、HL Compact 7ES-3から、
ハーベスのデビュー作であるMonitor HLを初めて聴いた時の新鮮な驚きと、
ふたたび出合えそうなことである。

ベテランのスピーカー・エンジニアがつくりあげた、
新鮮で瑞々しい響きのBBCモニターであったMonitor HLの印象が強かっただけに、
つづくMonitor ML、HL Compactの音に、惹かれることはなかった。

そんな私が、HL Compact 7ES-3の音には惹かれる。

ヘーゲルはノルウェー、ボウ・テクノロジーはデンマーク、
北欧の国のペアで鳴らすHL Compact 7ES-3からは、新鮮で、格別な音が聴けそうな気がする。

どちらもパネルフェイスは、大きな、ふたつのツマミが特徴的だけに、
並べて置いても、面白いだろう。

Date: 1月 18th, 2009
Cate: Harbeth, HL Compact 7ES-3, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その3)

ハーベスのHL Compact 7ES-3に組み合せるアンプは、ユニゾンリサーチのP40かP70と、
私の心の中では決っている。

今日まで悩んできたのは、CDプレーヤーに、何を持ってくるかである。

妄想組合せとはいえ、価格のバランスを極端に無視したものは選びたくない。
それから実際に設置したときの見た目のバランス、雰囲気も疎かにはできない。
現行製品の中から選ぶのは、当然のことだ。

EMTの986とかリンのCDプレーヤーなどが候補として頭に浮かんだが、ピンとこない、私の中でしっくりとこない。

実は、第一候補は別にあった。コードのCODAとQBD76のペアなのだが、価格的にバランスしない。

なぜだか、QBD76がぴったりだという確信があって、これだけははずしたくない。
CODAを、他のモノと取り換えるとしたら……、ひとつあった、ワディアの170 iTransportがあった。
iPodと170 iTransportにすれば、組合せのトータル価格をぐんと抑えられる。

心の中で、なにかがぴたっと収まった気がして、すっきりしている。
それに、この組合せ、かなりいいのではないか、と自負している。

Date: 9月 21st, 2008
Cate: Harbeth, HL Compact 7ES-3, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その2)

デレク・ヒューズ設計の、HL Compact 7ES-3にぴったりのアンプが、
どんな感じに仕上がるのか、勝手に妄想するのも楽しいけれど、
現実の組合せを妄想するのは、もっと楽しい。

HL Compact 7ES-3を中心とした組合せを考えるとなると、
個人的に意識するのは、スペンドールBCII、ラックスLX38、ピカリングXUV4500/Qの音である。

この組合せの特質を、HL Compact 7ES-3の組合せにも求めたい。

友人のAさんは、販売店で聴いた、
ラックスのAクラスのプリメインアンプとの組合せの音に、まいってしまった、と話してくれた。
こういう話をきくと、ラックスの真空管式のプリメインアンプもいいだろうな、と思いながらも、
第一に試してみたいのは、ユニゾンリサーチのP70かP40である。

EL34のシングルアンプのS2の、余計なものを感じさせない音に魅力を感じるだけに、
ユニゾンリサーチ久しぶりのプッシュプルアンプの音は、いちばん興味のある音でもある。

別にS2でもいいような気もするが、パワーがすこし足りないだろうし、
音、というよりも響きの豊かさを求めるとき、すこし物足りなさを感じるだろう……。
それにP70、P40のガラスのフロントパネルを見ていると、
ラックスの過去の真空管アンプSQ5Bを思い出すのも、個人的に気にいっているところ。

Date: 9月 21st, 2008
Cate: BBCモニター, Harbeth, HL Compact 7ES-3, 組合せ

妄想組合せの楽しみ(その1)

BBCモニター系列の音には、つよく惹かれるものがある。

瀬川先生は、BBCモニターの音を、
グッドリプロダクションサウンド(快適な、心地よい音)と言われていた。
同じモニタースピーカーでも、ある種の厳しさをもつJBLの4300シリーズとは異る。

スペンドールのBCII、ロジャースのLS3/5AやLS5/8(できればチャートウェルのPM450)、
もしくはPM510、ハーベスのモニターHLなどは、
程度のいいモノがあれば、 いまでもなんとか手に入れたい気持ちが、どこかにある。 

LS3/5AとPM510、それからLS5/1(Aがつかない初期のモデル)は、使っていた、鳴らしていた時期もある。 

もちろん、過去のスピーカーではなく、現行製品のなかから選べればいいのだが、
ロジャースもスペンドールも昔の面影はそうとう薄れてしまったし、
ハーベスも、告白すれば、創立者のハーウッドがリタイアし
アラン・ショウの時代になってからの一連のスピーカーには、まったく魅力を感じなかった。

だから、もう良質のBBCモニターの音は、聴けない、とここ10年ほど思っていたところに、
ハーベスのHL Compact 7ES-3が登場した。 

ハーベスには魅力を感じない、という先入観たっぷりの耳にも、
HL Compact 7ES-3の音は素晴らしく魅力的だった。
すこし大げさに表現すれば、やっと21世紀のBBCモニターの音が聴けた、と感じた。

調べてみると、いまBBCモニターと呼べるのは、ハーベスのスピーカーであり、
2003年1月からスペンドールのデレク・ヒューズ(創立者スペンサー・ヒューズの息子)が、
ハーベスに参画しているし、昔のBBCモニターの開発に携わっていたスタッフも協力している。
だから、勝手にワクワクしている(笑)。 

デレク・ヒューズは、スペンドール時代に、プリメインアンプのD40を設計している。
D40は、ボリューム、セレクターとバランサーの3つのツマミだけというそっけない顔つき、
サイズも小型で、スペンドール・ブランドでなければ、まったく期待しないつくりだが、
BCIIと組み合せたときの音は、見事。BCIIの中域の弱さをおぎなって、しかも品位を失わない。

デレク・ヒューズがふたたびアンプを設計してくれないかと願っている。
もちろんHL Compact 7ES-3専用の、小型で粋なプリメインアンプを。

Date: 9月 16th, 2008
Cate: 瀬川冬樹, 組合せ

ある組合せ

スペンドールのBCII、ラックスのLX38、ピカリングのXUV/4500Q、 
この組合せは、私にとって、いまでも特別なものである。 

熊本のオーディオ店のイベントに定期的に来られていた瀬川先生。 
ある時、イベントが終了して、まだすこし時間に余裕があったので、
瀬川先生が「今日ここにあるオーディオ機器で、聴いてみたい組合せや機種はありますか」
と言われたので、真っ先に手を上げてお願いしたのが、上記の組合せである。 

このとき、スピーカーは他にJBLの4341があったし、
アンプもマークレビンソンのLNP2やSAEの2500、
カートリッジもピカリングの他に10機種ほど用意されていた。 

BCIIは、別のイベントの時に聴いたことがあった。 
XUV/4500Qは、その日のイベントで聴いたばかり。 
LX38の音は、(たしか)耳にしたことはなかった。
十分にその素性を掴んでいるモノはひとつもなかった。
けれども、これら3つの組合せが、パッと頭にひらめいた。

もっと高価な組合せもお願いできたけれども、
どうしても聴きたかったのは、この組合せで、
BCIIの音に惹かれていただけに、もっともっといい音でBCIIを聴きたい、と思って、である。 

「BCIIにラックスのLX38で、カートリッジはXUV/4500Qでお願いします」と言ったところ、
瀬川先生が「これはひじょうにおもしろい組合せだ。ぼくも聴いてみたい組合せ」と言われ、
わくわくされている感じを受けた。 

そして鳴ってきた音は、いまでも憶えている。 

一曲鳴らし終わった後に、「いやー、これはほんとうにいい音だ。玄人の組合せだ!!」と言われ、
ちょうど最前列の真ん中の席が空いていたので、そこに座られ、
瀬川先生のお好きなレコードを、もう1枚かけられて、
そのときの楽しそうに聴かれていた表情と、「玄人の組合せ」という褒め言葉が、
二重にうれしかった。 

なにせ当時高校2年生(16歳)だった私は、
特に「玄人」という言葉が、うれしくてうれしくて、
ひそかに「才能あるんだな、オレ」と自惚れていた。 

「BCIIとLX38ですこし甘くなりがちになるところを、XUV/4500Qでピリッとさせる。
見事な組合せだ。BCIIとLX38がこんなに合うとは思わなかった」とも言われた。 

その約半年後に、ステレオサウンドの別冊として出たコンポーネントの組合せの本に、
カートリッジは異っていたけど、菅野先生も、BCIIとLX38を組み合わされている。

スペンドール、ラックス、ピカリングは、
私にとって、いわゆる黄金の組合せ、もしくは三位一体の組合せ、である。