Archive for category 型番

Date: 5月 12th, 2013
Cate: 型番

型番について(その6)

1970年代のエレクトボイスのスピーカーシステムは、
プロ用としてのSentry(セントリー)、コンシューマーとしてのInterface(インターフェース)があった。

SentryシリーズもInterfaceシリーズも、外観が黒っぽかった。
Interfaceシリーズにはフロアー型のInterface:Dはそうでもないけれど、
最初にステレオサウンドに掲載されていた写真で見たInterfaceシリーズの印象が強く、
どうしても私の頭の中には、エレクトロボイスのスピーカー=黒っぽい外観、というイメージが消え去らない。

そんなこともあって、なんとなくではあるけれど、クラシックを聴くためのスピーカーとは思えなかった。
つまり、あまり強い関心を、1970年代のエレクトロボイスのスピーカーシステムに持つことはなかった。

そうなると不思議なもので、オーディオ店やその他の場所でも見かけることもなくなる。
Sentryシリーズは1980年代にも続いていたし、Sentry500が登場している。

Sentry500も黒っぽい外観を特徴とするスピーカーシステムで、
やはりクラシックをしっとりと聴くスピーカーとは感じなかったけれど、
ホーンの素材をプラスチックから木に変え、
それに応じて外観のイメージを一新したSentry500SFVは、自分のモノにしたいとは思わなかったけれど、
聴いていて気持ちのいい音のするスピーカーシステムであった。

でもInterfaceシリーズは、ついに聴く機会がなかった。
でも、いまおもうと”Interface”という型番は、
エレクトロボイスがどういう意図で名づけたのかは知らないけれど、
スピーカーというものをエレクトロボイスがどう考えていたのかを顕していて、実にいい型番である。

interfaceには、境界面という意味もある。

Date: 4月 18th, 2013
Cate: 型番

型番について(その5)

オーディオ機器の大半の型番はアルファベットと数字の組合せであり、
アルファベットに関しては何かの略(頭文字をとったもの)であることが多い。

だから昔から型番のアルファベットの部分については、あれこれ想像していた。
たいては、これだな、と思える理由が見つかるのだが、
長いことわからなかった型番(アルファベット)もある。

そのひとつがセレッションのUL6という小型のスピーカーシステムである。

UL6が登場するまでのセレッション・スピーカーのラインナップはDittonシリーズだった。
トールボーイのフロアー型Ditton66を筆頭に、いくつかのモデルが存在し、
セレッションらしい音を響かせていた。

そこにUL6が登場する。
この当時、ULとつくセレッションのスピーカーシステムはこれだけだった。
ということは、Dittonシリーズとはあきらかに目指す音の方向性が異ることを表している、とみるべきだろう。

UL6はずっと以前に一度だけ聴く機会があった。
Dittonシリーズとの直接の比較試聴ではなかったけれど、
このスピーカーにセレッションがUL6という型番を与えたことがわかるくらいに、
Dittonとは違う、新しさのあるセレッションの音だった。

それにしてもUL6の「UL」とはどういう意味があるのか、頭文字としたら、いったいなんなのだろうか。
最初は、LはloudspeakerのLかと思った。
だとするとUはなんなのか。
これが思い浮ばなかった。
これが中学生のときだった。

それからいろいろ勉強して、真空管アンプのことも勉強して、
ここにもULという略語が登場することを知った。
ultra linearの頭文字である。
この時、UL6とUltra Linear 6なのか、と思ったものの、確証はなかった。

けれど、やはりUltra Linear 6だったことが、つい最近わかった。
となるとUL6同様、新しいセレッションの音の代表となった、
UL6の数年後に登場したSL6の型番の意味は、なんなのだろうか。

Date: 5月 26th, 2009
Cate: 型番

型番について(その4)

A50からはじまったアキュフェーズのA級パワーアンプは、A50Vに改良され、
その次に出力が50Wから60Wにアップされ、型番はA60になった。
今年、出力は60WのままだがA60の改良モデルとして、A60VではなくA65として登場した。

A50に末尾にVがついたときから思っていたことがある。
このアンプの出力が、できればA級で75Wになってくれたら、型番はA75だろう。
そして改良モデルが出たら、そのときの型番はA80ではなく
(これだったらスチューダーのオープンリールデッキと同じになってしまうから)、
A75Vにしてほしい、そんな音とはまったく関係ないことを、実は思っていたのだ。

A75Vという型番を見て、あるパワーアンプを思い出す人が、どれだけいるだろうか。
1970年代のおわりに、エレクトロリサーチというアメリカのブランドから、A75V1という、
型番が示すとおり75Wの出力、それもA級のステレオ仕様のパワーアンプがあった。
設計者は、ジョン・アイバーソン(John Iverson)だった。
A75がオリジナルモデルで、その改良モデルがA75V1だったと記憶している。

ステレオサウンドの新製品紹介で取りあげられているのが印象的で、ずっと記憶に残っている。
フロントパネルには温度計がついていた。業務用機器を思わせるところがある。
やや武骨ながら精悍な感じで、井上先生と山中先生の音の印象も、読んでいると、そうとうにいい感じに思えて、
当時、ぜひ聴いてみたいパワーアンプのひとつだったにもかかわらず、
結局、実物をいちども見ることはなかった。

山中先生に、どんなアンプだったのか訊いたことがある。
「なかなかいいアンプだったよ」と答えが返ってきた。
そんなことをきいてしまうと、よけいに聴きたくなるが、頭の中で思い描くしかない。

いまのペースでいくと、あと3年後だろうか、アキュフェーズのアンプの出力が75Wか70Wになり、
その改良モデルとして、型番がA75かA75Vになるのは。

型番が似てきたからといって、それが何? と言われれば、返す言葉はないけれど、
それでも同じ型番になってくれたらなぁ、と思ってしまう。

Date: 10月 30th, 2008
Cate: 型番

型番について(その3)

ソニーの平面型スピーカー、APMシリーズは、Accurate Pistonic Motionの頭文字をとっている。
コーン型振動板の分割振動を嫌い、
できるだけ正確なピストニックモーションを実現するための平面振動板の採用だったわけだ。

LINNの代表モデル、LP12は、
ご想像の通り、LPをかけるプレーヤーで、その直径が12インチだからである。
CDプレーヤーのCD12の「12」は、CDの直径が12cmだから。

47研究所の「47」は、主宰者の木村準二さんの名前からとられている。
木村→き・むら→黄・紫で、抵抗のカラーコードで、黄色と紫は4と7を示すからである。

Date: 10月 28th, 2008
Cate: 型番

型番について(その2)

マッキントッシュのパワーアンプの型番の意味するところは、
モノーラル機かステレオ機か、と、出力の大きさである。

真空管アンプのころ、MC275、MC240のモノーラル仕様のMC75、MC40が存在からわかるように、
MCの後につづく数字の最初が「2」であればステレオ仕様であり、そのあとの数字が出力を示す。
「2」がない場合はモノーラルで、MCの後すぐの数字が出力である。
これはトランジスター化されても基本的には続いている。

過去の製品を含めると同じ出力のアンプも存在すると、
型番の末尾に出力とは関係のない数字がつくこともあったし、
出力250W+250Wだが、MC252という型番も出てきた。

モノーラルで「2」がつくのは、超弩級のMC2kWである。
これは出力が2000Wなので、このように例外的な型番となったのだろう。
とはいえ「2」のあとに数字ではなくkWと続くので、それほど例外とも言えない。
あと真空管アンプのMC3500は、350Wのモノーラル仕様なのに、「0」がひとつ多かったりする。

だから原則的にマッキントッシュのパワーアンプの型番のつけ方に大きな変化はないと思っていた。

けれど、MC2301は違った。
型番から判断すると、300W+300Wのステレオ仕様なのに実際は300Wのモノーラルである。
メーターがひとつだから、モノーラルということは実物、写真を見ればすぐにわかることとはいえ、
なぜ、このアンプだけ型番のつけ方が異るのか、ちょっと気になる。

Date: 10月 26th, 2008
Cate: 型番

型番について(その1)

ラックスのLX38の前身は、SQ38FD/IIで、その前はSQ38FD、SQ38F、SQ38D、SQ38と遡る。

SQ38の「38」は、初代モデルが発売された年、昭和38年からきている。
2代目の型番末尾のDは、deluxe の頭文字である。
つまり初代SQ38の改良モデルは、SQ38 Deluxeというわけだ。
SQ38Dは昭和39年発売で、出力は10W×2で、当時の価格で58,500円している。

つぎの改良モデルは、昭和43年に登場したSQ38F。
Fはfinal の頭文字。このとき出力管が、NECが開発した50CA10に変わり、出力も30W×2となり、
SQ38FD/IIの原型といえる仕様となっている。

これで最後からと思ったら、昭和45年にまた改良モデル。またDがついている。
SQ38FDは、SQ38Final Deluxeの略だ。さらにその改良モデルということで、IIをつけている。

型番のアルファベットや数字には、わりと意味のあるものが多い。

マークレビンソンのLNP2は、Low Noise Pre-Amplifierの略であり、
あまり知られていないが、LNP1というモデルもある。
ML2、ML3のMLは、Mark Levinsonの頭文字だし、JC1、JC2はJohn Curlの頭文字だ。
HQDシステムは、使用スピーカーのブランドの頭文字、H(Hartley)Q(QUAD)D(Decca)である。
マークレビンソンから出ていた高品質レコード、UHQRは、Ultra High Quality Recordの略。

その他思いついたものから書いていくが、
ヤマハのスピーカーの型番の頭につくNSは、Natural Soundの略。
同じヤマハのパワーアンプのB-I、B-2のBは、Basic Amplifierからきている。

Date: 9月 8th, 2008
Cate: 型番

すこし気になっていること

些細なことだが、オーディオ雑誌やネットの記事を読んでいて気になっていることが、すこしある。
まずは、デジタルドメインからSITを使ったパワーアンプ、B-1aのこと。
オーディオ雑誌の紹介記事のなかには、必ずヤマハのパワーアンプのことが書かれている。 
ヤマハのB-1と表記されている。

正しい表記は、B-Iである。コントロールアンプはC-I。 
姉妹モデルとして出たのが、C-2、B-2だったため、
C-1、B-1と勘違いしてもしかたないと思うが、当時のカタログや広告で確認してみてほしい。 
C-I、B-Iとローマ数字になっているのを。 

もうひとつは、チョークコイルのこと。チョークと書いても通じるのに、
わざわざチョークトランスと表記される人がいる。
いったいいつからチョークコイルがトランスに化けたのだろうか。

コイルとトランスの違いを、まったく理解していない人が犯した、もっともおかしな表記の代表といいたくなる。