Archive for category audio wednesday

Date: 6月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜(いよいよ明日)

Western Electric 757Aで聴くモノーラルだけの三時間。
明日(6月5日)のaudio wednesdayのテーマである。
5月1日の会に来られた方には、もう説明は不要だろう。
もう一度、ぜひ聴きたい──、
そう思う人がほとんどというくらいに最後に鳴らした757Aの音は素晴らしかった。

みすぼらしい外観の757A、しかも一基だけだからモノーラルでしか鳴らせない。
誰もが、「このスピーカー、鳴るの?」と思っていたことだろう。

私だって、たぶん鳴ってくれるはずだけど……、という不安も少しばかりあった。

最初にかけたのはカザルス・トリオによるハイドンのピアノ三重奏曲 第25番。
1927年の、この録音が、ひっそりと、実に品よく鳴ってくれた。
次にかけたのは、カザルスとゼルキンによるベートーヴェンのチェロ・ソナタ 第一番(第一楽章)、
1953年の録音。これが実に活き活きと鳴ってくれた。二人の体温が伝わってきそうな感じでもあった。

どちらにも共通していえるのは、音楽の息づかいが濃く伝わってくることだ。

この日、757Aの音に接した人は、みな、もっと聴いていたいと思っていたはず。
私もそうだ。だから6月5日は、たっぷりと757Aを聴いてもらう。

Speaker System: Western Electric 757A
Power Amplifier: Accuphase A20V, McIntosh MC275
D/A Converter: Meridian ULTRA DAC

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

18時から音は鳴らしているけれど、
19時までの一時間は、質問、雑談の時間でもある。

音を鳴らし始めると、話す時間がほとんどなくなる。
とにかく聴いてもらいたいし、曲を途中で止めるのもできればやりたくないため、
曲の紹介を短めでやるくらいになってしまっている。

なので18時から19時までは、話のほうに少しはウェイトをおきたい。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2500円いただく(ワンドリンク付き)。
大学生以下は無料。

Date: 5月 28th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜・選曲について

「今日はカザルスはかけないんですか」
5月26日の野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会で、そういわれた。

「今日はかけないんです。でもaudio wednesdayでは必ずかけます」
とこたえた。
「行きます」と返ってきた。

私に直接いってきた人は一人だけだったが、
他にも数人の方が「カザルスはかけないんですか」といわれていた、とのこと。

6月5日のaudio wednesdayは、
ウェスターン・エレクトリックの757Aでのモノーラル録音のモノーラル再生。
カザルスももちろんかける。

そしてジャクリーヌ・デュ=プレのバッハもかける。
デュ=プレがBBCに残した録音がCDとして世に出たのは、いまから三十年以上前。

デュ=プレはどうしてバッハを録音しなかったのか──。
デュ=プレの演奏にふれたときから、ずっーとそう思い続けてきた。

だから、やっぱり残っていた(録音していた)。
そのことを喜ぶとともに、年代的にはステレオ録音でもおかしくないのに、
モノーラル録音だったことに、すこしばかりがっかりした。

デュ=プレが残したバッハは一番と二番のみ。
全曲ではないけれど、聴ける、というそのことに感謝しかない。

757Aの音を聴くまでは、なぜモノーラルなの? だったのが、
いまではモノーラルでよかったかもしれない、と思い直している。

6月5日、カザルスとデュ=プレ、ふたりのバッハをかける。

Date: 5月 10th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その8)

ウェスターン・エレクトリックの757Aについて、
まだまだ書きたいことがある。

でも、今回はこのへんにしておこう。
6月5日のaudio wednesdayでも、757Aを鳴らす。
三時間、すべて757Aの時間だ。

そこでもまた書きたいことが、いろいろと出てくるはずだから。

今回、757Aでかけた曲は、
カザルス・トリオ(ティボー、コルトー、カザルス)による
ハイドンのピアノ三重奏曲 第二十五番(第一楽章と第二楽章)、
1927年の録音と、
カザルスとゼルキンによるベートーヴェンのチェロ・ソナタ 第一番(第一楽章)、
1953年の録音である。

この後に、カザルスによるバッハの無伴奏チェロ組曲をかけるつもりだったが、
アンカーのモバイルバッテリーがちょうど残量ゼロになったため、かけずじまいになってしまった。

壁のコンセントからAC電源をとれば、音は鳴らせるのだけど、
次回の楽しみということで、カザルスのバッハは聴いていない(かけていない)。

Date: 5月 8th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その7)

ウェスターン・エレクトリックの757Aを聴き終って、思い出していたのが、
吉田秀和氏の、ゼルキンについて書かれた文章だった。
以前、別項で引用しているが、もう一度読んでほしい。
     *
 そのうち、私は、レコード会社の人からきいた、一つのエピソードを思い出した。
 もう大分前のことになるが、現代の最高のピアニストの一人、ルドルフ・ゼルキンが日本にきた時、その人の会社でレコードを作ることになった。ゼルキンはベートーヴェンのソナタを選び、会社は、そのために日本で最も優秀なエンジニアとして知られているスタッフを用意した。日本の機械が飛び切り上等なことはいうまでもない。約束の日、ゼルキンはスタジオにきて、素晴らしい演奏をした。そのあと彼は、誰でもする通り、録音室に入ってきて、みんなといっしょにテープをきいた。ところが、それをきくなり、ゼルキンは「これはだめだ。このまま市場に出すのに同意するわけにいかない」と言い出した。理由をきくと「これはまるでベートーヴェンの音になっちゃいない」という返事なので、スタッフ一同、あっけにとられてしまった。今の今まで、そんな文句をいわれた覚えがないのである。
 ことわるまでもないかも知れないが、レコードというものは、音楽家が立てた音をそっくりそのまま再現するという装置ではない。どんなに超忠実度の精密なメカニズムであろうと、何かを再現するに当って、とにかく機械を通じて行う時は、そこにある種の変貌、加工が入ってこないわけにはいかないのである。そう、写真のカメラのことを考えて頂ければ良い。カメラは被写体をあるがままにとる機械のようであって、実はそうではない。カメラのもつ性能、レンズとかその他のもろもろの仕組みを通過して、像ができてくる時、その経過の中で、被写体は一つの素材でしかなくなる。あなたの鼻や目の大きさまで変ってみえることがあったり、まして顔色や表情や、そのほかのいろんなものが、カメラを通じることにより、あるいは見えなくなったり、より強度にあらわになったりする。そのように、音楽家が楽器から出した響きも、録音の過程で、音の高い部分、中央の部分、低い部分のそれぞれについて、あるいはより強調され、ふくらませられたり、あるいはしぼられ、背後にひっこめられたり等々の操作を通過してゆく間に、変貌してゆく。
 その時、「本来の音」を素材に、そこから、「どういう美しさをもつ音」を作ってゆくかは、技師の考えにより、その腕前にかかっている。レコードの装置技師は、いわゆる音のコックさんなのだ。もちろん、それでも、いや、それだから、すぐれた技師は、発音体から得られた本来の音のもつ「美質」を裏切ることなしに、その人その人のもつ音の魅力をよく伝達できるような「音」を作るといってもいいのだろう。
 だが、ゼルキンが「これはベートーヴェンの音じゃない」といった時、日本の最も優秀な技術者たちは、その意味を汲みかねた。「何をもってベートーヴェンの音というのか?」困ったことに、それをいくら訊きただしてみても、ゼルキン先生自身、それ以上言葉でもって具体的に説明することができず、ただ「これはちがう、ベートーヴェンじゃない」としかいえない。それで、せっかくの企画も実を結ばず、幻のレコードに終ってしまった──というのである。
(「ベートーヴェンの音って?」より)
     *
5月1日にかけたカザルスとゼルキンによるベートーヴェンのチェロ・ソナタ。
「これはまるでベートーヴェンの音になっちゃいない」、
絶対に、そうはいわれなかったという自負はある。

Date: 5月 6th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その6)

アルテックの604が、604Eから604-8Gになった際に、
インピーダンスが16Ωから8Ωとなった。
その理由として、トランジスターアンプにとって16Ωよりも8Ωのほうがパワー的に有利だから、
そんなことがいわれていた。

たしかにトランジスターアンプの場合、16Ω負荷よりも8Ω負荷のほうが、
パワーは二倍になる。

けれど、この理由づけは、中学生の時に読んだ時から少し疑問もあった。
真空管アンプの場合、出力トランスを備えているから、
負荷が16Ωであろうと、8Ω、4Ωであってもパワーは同じである。

なのに、真空管アンプ時代のスピーカーのインピーダンスは、
16Ω、15Ωと表示されているものが大半だった。

ウェスターン・エレクトリックの757Aも、そんな真空管アンプ時代のスピーカーである。
757Aの時代、トランジスターアンプは存在していなかった。

ならば当時の常識で捉えるならば、757Aのインピーダンスは16Ωと思ってしまう。
けれど実際は4Ωである。
8Ωでもなく4Ωである。

757Aのネットワーク702Aは、
28μFのコンデンサーと0.91mHのコイルからなる12dB/oct.のスロープ特性てある。
クロスオーバー周波数は、ほぼ1kHzである。

なぜ4Ωなのか。
コイルの値を小さくしたかったからではないのだろうか。

Date: 5月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その5)

757Aレプリカで、あれこれ聴いた後で、757Aを設置する。

野口晴哉氏のリスニングルームにある757Aを、
手前の稽古場に移動する際に気づいたことがある。

757A(オリジナル)のほうは、
東洋ウェストレックス製(と思われる)パワーアンプに接続されていた。
かなり大型の真空管アンプである。
このアンプについては、後日、じっくりと確かめてみたい。

757Aは728Bをベースに、713CドライバーとKS12027ホーンを組み合わせた2ウェイ。
ネットワークは702A。

Typical Specifications
Frequency Response: 60-15,000 cycles.
Input Impedance: 4 ohms.
Coverage Angle: 90 degrees.
Power Handling Capacity: 30 watts.
Efficiency: At a distance of 30 feet on axis the 757A will produce a level of 93 dB above 10-16 watt per square centimeter at 30 watts. This level is on a basis of a warble frequency covering a range from 500 to 2500 cycles per second.
Dimensions: 20″ high, 30 1/2″ wide, 13 3/4 deep.
Weight: 82 pounds.
Cabinet: Acoustically treated front. Remainder of cabinet gray finish which can be refinished to blend with individual installations.
(注:10-16 wattは10の-16乗 wattのこと)

757Aの用途としては、
Wired Program; Recording Studios; Program distribution; Broadcast Station monitoring
となっている。

Date: 5月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その4)

JBLの2420のカタログには、周波数特性は500Hzから20kHzとなっている。
とはいえ、実際に聴けばすぐにわかることだが、20kHzまでフラットなわけではない。
周波数特性のグラフをみると、10kHzあたりからなだらかに下降している。

このままで聴いても、うまく鳴ってくれる曲もあったが、
あれこれ聴いていると、しかもスーパートゥイーターが二つ、その場にあるわけだから、
試してみたくなる。

まずはJBLのUT405を試す。
2405の小型版といえるユニットを箱におさめ、ネットワークを搭載した製品。

UT405を接続すると、あきらかに上がのびるのは誰の耳にもあきらかなほどだけど、
うまくいっているかというと、そうではない。

短い時間ではあったが、いくつか試してみたけれど、いい結果は得られそうにない。
結局、エラックの4PI PLUS.2にかえる。
先月から置きっぱなしにしている。

最初に鳴ってきた音だけで、やっぱり4PI PLUS.2だ、ということになる。
4PI PLUS.2の置き位置を変えたり、カットオフ周波数をかえたりしながら、
といってもそれほどこまかな調整ではなく、
まずはおおまかな調整(セッティング)をやっていく。

このへんになってくるとしばらく鳴らされていなかった757Aレプリカも、
少しずつ調子を取り戻してくれるかのように鳴ってくる。

そしてある程度までいったところで、D/Aコンバーターのメリディアンの218で、
ポラリティを反転させる。
ここでの変化はかなり大きいものである。

ならば最初から反転させておけば、と思われるだろうが、
反転させた時の変化量の大きさは、この時点でやるからこそ大きいものである。

Date: 5月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その3)

757Aレプリカのウーファーは何なのか。
次回行った時に確かめてくる予定だが、
ドライバーが2420ならば、2202の可能性が高い。
フルレンジユニットを採用しているのならば、2130だろうか。

そんなことを考えながら当日のセッティング。
最初に鳴ってきた音は悪くはなかったけれど、
左チャンネルの音圧レベルが低い。

ユニットになにかしらの不具合があったらどうにもできないけれど、
まずはネットワーク(外付け)をチェックする。

ずっと手を入れてなかった状態だから、とにかく接点のクリーニング。
それからケーブルの取りつけをしっかりとやり直す。

これだけのことをやったら、ユニットの不具合はなさそうだ、という音が鳴ってきた。
このネットワークには巻線抵抗のレベルコントロールがついているが、
右と左とでは同じ部品でありながら、まわした感触がけっこう違う。

ネットワークに関しては、あらたに作るつもりでいる。
喫茶茶会記でやっていたころ、一般的な並列型ネットワークから、
直列型ネットワークへと変更した。

この757Aレプリカでも、直列型を試してみたい。
外付けのネットワークを使うにしても、きちんとしたメンテナンスは必要と感じた。

つまり757Aレプリカは、ネットワークをきちんとすることで、
かなり良くなりそうな手応えはあった、といえる。

Date: 5月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜・選曲について

6月5日のaudio wednesdayは、
ウェスターン・エレクトリックの757Aを鳴らす。

一本だけしかない757Aだから、モノーラル録音をモノーラル再生ということになる。
私の選曲だから、とうぜんクラシックが多くなる。

カザルスはもちろん、ティボー、コルトーもかける。
ジネット・ヌヴーもいいし、エネスコもかけたい。
それからリパッティも、ぜひとも757Aで聴きたい。

こんな感じで聴きたい(かけたい)録音をあげていくと、
三時間では足りなくなるほどだ。

それでもどうしてもかけたい(聴きたい)のが、ビリー・ホリディだ。

岩崎先生の文章が浮んでくる。
     *
 D130が私に残してくれたものは、ジャズを聴く心の窓を開いてくれたことであった。特にそれも、歌とソロとを楽しめるようになったことだ。
 もともと、アルテック・ランシングとして44年から4年間、アルテックにあってスピーカーを設計したジェイムズ・B・ランシングは、映画音響の基本的な目的たる「会話」つまり「声」の再現性を重視したに違いないし、その特長は、目的は変わっても自ら始めた家庭用高級システムとハイファイ・スピーカーの根本に確立されていたのだろう。
 JBLの、特にD130や130Aのサウンドはバランス的にいって200Hzから900Hzにいたるなだらかな盛り上がりによって象徴され予測されるように、特に声の再現性という点では抜群で、充実していた。
 ビリー・ホリディの最初のアルバムを中心とした「レディ・ディ」はSP特有の極端なナロウ・レンジだが、その歌の間近に迫る点で、JBL以外では例え英国製品でもまったく歌にならなかったといえる。
 JBLによって、ビリー・ホリディは、私の、ただ一枚のレコードとなり得た、そして、そのあとの、自分自身の空白な一期間において、折にふれビリー・ホリディは、というより「レディ・ディ」は、私の深く果てしなく落ち込む心を、ほんのひとときでも引き戻してくれたのだった。
 AR−2は、確かに、小さい箱からは想像できないほどに低音を響かせたし、二つの10cmの高音用は輝かしく、現在のAR−2から考えられぬくらいに力強いが、歌は奥に引込んで前には出てこず、もどかしく、「レディ・ディ」のビリーは雑音にうずもれてしまった。JBLを失なってその翌々年、幸運にも山水がJBLを売り出した。
「私とJBLの物語」より
     *
 いくら音のよいといわれるスピーカーで鳴らしても、彼女の、切々とうったえるようなひたむきな恋心は、仲々出てきてはくれないのだった。一九三〇年代の中頃の、やっと不況を脱しようという米国の社会の流れの中で、精一ばい生活する人々に愛されたビリーの歌は、おそらく、その切々たる歌い方で多くの人々の心に人間性を取り戻したのだろう。
 打ちひしがれた社会のあとをおそった深い暗い不安の日々だからこそ、多くの人々が人間としての自身を取り戻そうと切実に願ったのだろう。つまりブルースはこの時に多くの人々に愛されるようになったわけだ。
 音のよい装置は、高い音から低い音までをスムーズに出さなければならないが一九三〇年代の旧い録音のこのアルバムの貧しい音では、仲々肝心の音の良さが生きてこないどころか、スクラッチノイズをあからさまに出してしまって歌を遠のける。
 スピーカーが、いわゆる優れていればいるほど、アンプが新型であればあるほど、このレコードの場合には音の良さとは結びつくことがないようであった。
「仄かに輝く思いでの一瞬」より
     *
757Aで聴きたいではないか。
岩崎先生にも聴いてもらいたい──、そうおもう。

Date: 5月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その2)

ウェスターン・エレクトリックの757Aが一本だけ、
野口晴哉氏のリスニングルームにあることは、
1976年末の「世界のステレオ」掲載の記事(写真)で知っていた。

といっても、この時点では、757Aがどういスピーカーシステムなのかも、
まったく知らなかったのだから、ただ一本だけあるんだな、と記憶に残っていた。

1982年1月からステレオサウンドで働くようになって、
ウェスターン・エレクトリックについて少しずつ知るようになってきた。
特に、サウンドボーイの編集長であったOさんは、
ウェスターン・エレクトリックのマニア、信奉者ともいえた人だったから、
Oさんの知識は半端なかった。

757Aについても断片的には知ることができた。
それに音も、とあるところで聴くことができた。
といっても、一応きいた、といえるぐらいのことであって、
757Aの実力を知ることができた、とは思っていない。

それにいまにしておもえば、あれはオリジナルだったのか、そのへんもあやしい。

野口晴哉氏のリスニングルームには、757Aを範としたスピーカーシステムがある。
757Aレプリカといえるモノだ。

エンクロージュアの形状・寸法は同じ。
ユニット構成も2ウェイなところは同じ。

ホーンはJBLの2397で、ドライバーは2420。
ウーファーは12インチ口径なのかはわかっているが、
エンクロージュアを開けていないので未確認。

クロスオーバー周波数は790Hzで、12dB/oct.となっている。

このスピーカーがオリジナルの757Aの両脇に置かれている。

Date: 5月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その1)

5月1日は、あいにくの雨だった。
霧雨、小雨ではなく、しっかりと朝から降っていて、
夏日があった4月下旬とはうってかわって、やや肌寒い日。

なので来られる方は少ないだろう、そう思っていた。
実際そうだったけれど、この日来られた方は、最後の一時間に満たない時間ではあったが、
ウェスターン・エレクトリックの757Aの音に驚歎されたのだから、
幸運な人たちといえる。

そのくらいに757Aの音は、いま聴いても、とだけでなく、
いまこそ聴くべき、という意味でも価値ある、とはっきりといえる。

ウェスターン・エレクトリックの音は、
同世代の人たちのなかでは早い時期から聴く機会に恵まれていた。

二十代のころから、その凄さには触れることができた。
たしかにウェスターン・エレクトリックはすごい、とそう思っている。

けれど、そう言ったところで、
すでにウェスターン・エレクトリックの製品は新品での入手は無理。
中古市場の相場もそうだし、コンディションのよいモノがどれだけあるのか、
そういったもろもろのことを考えると、
素直にウェスターン・エレクトリックはすごい、とはいえなくなる。

ウェスターン・エレクトリックで商売をしている人たちがいる。
良心的な商売をしている人もいれば、そうでない人もいるわけで、
買う側がそのへんのところをしっかりと見極めることができれば問題は生じないけれど、
現実はそうではない。

だからウェスターン・エレクトリックはすごいですよ、とは、
できればいいたくない。

それでも、757Aの音を聴いてしまうと、
やはりすごいですよ、というしかない。

Date: 5月 2nd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜・Western Electric 757Aで聴くモノーラルだけの三時間

昨晩遅く少しだけ告知したように、
6月5日のaudio wednesday (next decade) – 第五夜では、
ウェスターン・エレクトリックの757Aを鳴らす。

第四夜の告知で書いているように757Aは一本のみだから、
モノーラル録音をモノーラル再生するだけの三時間となる。

昨晩の第四夜では、
最後の一時間に満たない時間だったけれど、757Aのオリジナルを鳴らした。

パワーアンプはアキュフェーズのA20V、D/Aコンバーターはメリディアンの218で、
おもにTIDALを音源として鳴らした。

熱心なウェスターン・エレクトリックのマニアの方からは、
そんなシステムで757Aを鳴らすなんて、けしからん──、
そんなことをいわれそうな組合せといえなくもないが、それでも昨晩、
最後に鳴らしたカザルスとゼルキンのベートーヴェンのチェロ・ソナタは、
そんなことをいっさいおもわせないほど素晴らしかった。

その音を聴いてしまったら、もう一度、じっくりと聴きたくなるものだ。
そしてそれだけでなく、218をメリディアンのULTRA DACにしてみたら──、
それからアンプを真空管のモノにしてみたら──、
そんなことも思っていた。

第五夜までには、マッキントッシュのMC275がメンテナンスから戻ってくるとのこと。
テクニカルブレーンの黒澤直澄氏によってのメンテナンスである。
マランツのModel 7も、同じく黒澤氏の手によって戻ってくる。

あくまでもテーマは、モノーラル録音をモノーラル再生することだが、
アンプの比較試聴も行う予定でいる。

Date: 5月 1st, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜

audio wednesday (next decade) – 第五夜は、6月5日である。
時間、場所はこれまでと同じ。

スピーカーは今回と同じく757A(レプリカ)を鳴らそうと考えている。
これまで会の途中で、チューニングしていくことはしなかったけれど、
第五夜では、いくつかのことを試して、どのように音が変化していくのかを、
来られた方々の耳で確認してもらうつもりでいる──。

実をいうと、757Aの音を聴くまでは、そう思っていた。
けれど第五夜では、757Aをモノーラルで鳴らす。
757Aだけを鳴らす三時間となる。

そしてD/Aコンバーターは、メリディアンのULTRA DACだ。

Date: 4月 30th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜(いよいよ明日)

明日(5月1日)のaudio wednesdayでは、
ウェスターン・エレクトリックの757Aのオリジナルと、そのレプリカを鳴らす。

オリジナルの757Aは一本のみなので、モノーラルになる。
ただしコンディション次第では鳴らさない可能性も出てくる。

757Aは1947年ごろに登場している。
野口晴哉氏のリスニングルームにある757Aが、いつ製造されたのかはわからない。
1950年ごろとしても、七十年以上経過しているわけだし、
野口晴哉氏が亡くなられてからでも、五十年近い。

明日の夜には、はっきりとする。

757Aは大型なシステムではない。
2月、3月、4月に鳴らしたスピーカーは大型だったけれど、
今回は中型といった規模だから、システム全体もそれに合せたものにする。

どんな音が鳴ってくるのか。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

18時から音は鳴らしているけれど、
19時までの一時間は、質問、雑談の時間でもある。

音を鳴らし始めると、話す時間がほとんどなくなる。
とにかく聴いてもらいたいし、曲を途中で止めるのもできればやりたくないため、
曲の紹介を短めでやるくらいになってしまっている。

なので18時から19時までは、話のほうに少しはウェイトをおきたい。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2500円いただく(ワンドリンク付き)。
大学生以下は無料。