Archive for category audio wednesday

Date: 5月 5th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その5)

757Aレプリカで、あれこれ聴いた後で、757Aを設置する。

野口晴哉氏のリスニングルームにある757Aを、
手前の稽古場に移動する際に気づいたことがある。

757A(オリジナル)のほうは、
東洋ウェストレックス製(と思われる)パワーアンプに接続されていた。
かなり大型の真空管アンプである。
このアンプについては、後日、じっくりと確かめてみたい。

757Aは728Bをベースに、713CドライバーとKS12027ホーンを組み合わせた2ウェイ。
ネットワークは702A。

Typical Specifications
Frequency Response: 60-15,000 cycles.
Input Impedance: 4 ohms.
Coverage Angle: 90 degrees.
Power Handling Capacity: 30 watts.
Efficiency: At a distance of 30 feet on axis the 757A will produce a level of 93 dB above 10-16 watt per square centimeter at 30 watts. This level is on a basis of a warble frequency covering a range from 500 to 2500 cycles per second.
Dimensions: 20″ high, 30 1/2″ wide, 13 3/4 deep.
Weight: 82 pounds.
Cabinet: Acoustically treated front. Remainder of cabinet gray finish which can be refinished to blend with individual installations.
(注:10-16 wattは10の-16乗 wattのこと)

757Aの用途としては、
Wired Program; Recording Studios; Program distribution; Broadcast Station monitoring
となっている。

Date: 5月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その4)

JBLの2420のカタログには、周波数特性は500Hzから20kHzとなっている。
とはいえ、実際に聴けばすぐにわかることだが、20kHzまでフラットなわけではない。
周波数特性のグラフをみると、10kHzあたりからなだらかに下降している。

このままで聴いても、うまく鳴ってくれる曲もあったが、
あれこれ聴いていると、しかもスーパートゥイーターが二つ、その場にあるわけだから、
試してみたくなる。

まずはJBLのUT405を試す。
2405の小型版といえるユニットを箱におさめ、ネットワークを搭載した製品。

UT405を接続すると、あきらかに上がのびるのは誰の耳にもあきらかなほどだけど、
うまくいっているかというと、そうではない。

短い時間ではあったが、いくつか試してみたけれど、いい結果は得られそうにない。
結局、エラックの4PI PLUS.2にかえる。
先月から置きっぱなしにしている。

最初に鳴ってきた音だけで、やっぱり4PI PLUS.2だ、ということになる。
4PI PLUS.2の置き位置を変えたり、カットオフ周波数をかえたりしながら、
といってもそれほどこまかな調整ではなく、
まずはおおまかな調整(セッティング)をやっていく。

このへんになってくるとしばらく鳴らされていなかった757Aレプリカも、
少しずつ調子を取り戻してくれるかのように鳴ってくる。

そしてある程度までいったところで、D/Aコンバーターのメリディアンの218で、
ポラリティを反転させる。
ここでの変化はかなり大きいものである。

ならば最初から反転させておけば、と思われるだろうが、
反転させた時の変化量の大きさは、この時点でやるからこそ大きいものである。

Date: 5月 4th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その3)

757Aレプリカのウーファーは何なのか。
次回行った時に確かめてくる予定だが、
ドライバーが2420ならば、2202の可能性が高い。
フルレンジユニットを採用しているのならば、2130だろうか。

そんなことを考えながら当日のセッティング。
最初に鳴ってきた音は悪くはなかったけれど、
左チャンネルの音圧レベルが低い。

ユニットになにかしらの不具合があったらどうにもできないけれど、
まずはネットワーク(外付け)をチェックする。

ずっと手を入れてなかった状態だから、とにかく接点のクリーニング。
それからケーブルの取りつけをしっかりとやり直す。

これだけのことをやったら、ユニットの不具合はなさそうだ、という音が鳴ってきた。
このネットワークには巻線抵抗のレベルコントロールがついているが、
右と左とでは同じ部品でありながら、まわした感触がけっこう違う。

ネットワークに関しては、あらたに作るつもりでいる。
喫茶茶会記でやっていたころ、一般的な並列型ネットワークから、
直列型ネットワークへと変更した。

この757Aレプリカでも、直列型を試してみたい。
外付けのネットワークを使うにしても、きちんとしたメンテナンスは必要と感じた。

つまり757Aレプリカは、ネットワークをきちんとすることで、
かなり良くなりそうな手応えはあった、といえる。

Date: 5月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜・選曲について

6月5日のaudio wednesdayは、
ウェスターン・エレクトリックの757Aを鳴らす。

一本だけしかない757Aだから、モノーラル録音をモノーラル再生ということになる。
私の選曲だから、とうぜんクラシックが多くなる。

カザルスはもちろん、ティボー、コルトーもかける。
ジネット・ヌヴーもいいし、エネスコもかけたい。
それからリパッティも、ぜひとも757Aで聴きたい。

こんな感じで聴きたい(かけたい)録音をあげていくと、
三時間では足りなくなるほどだ。

それでもどうしてもかけたい(聴きたい)のが、ビリー・ホリディだ。

岩崎先生の文章が浮んでくる。
     *
 D130が私に残してくれたものは、ジャズを聴く心の窓を開いてくれたことであった。特にそれも、歌とソロとを楽しめるようになったことだ。
 もともと、アルテック・ランシングとして44年から4年間、アルテックにあってスピーカーを設計したジェイムズ・B・ランシングは、映画音響の基本的な目的たる「会話」つまり「声」の再現性を重視したに違いないし、その特長は、目的は変わっても自ら始めた家庭用高級システムとハイファイ・スピーカーの根本に確立されていたのだろう。
 JBLの、特にD130や130Aのサウンドはバランス的にいって200Hzから900Hzにいたるなだらかな盛り上がりによって象徴され予測されるように、特に声の再現性という点では抜群で、充実していた。
 ビリー・ホリディの最初のアルバムを中心とした「レディ・ディ」はSP特有の極端なナロウ・レンジだが、その歌の間近に迫る点で、JBL以外では例え英国製品でもまったく歌にならなかったといえる。
 JBLによって、ビリー・ホリディは、私の、ただ一枚のレコードとなり得た、そして、そのあとの、自分自身の空白な一期間において、折にふれビリー・ホリディは、というより「レディ・ディ」は、私の深く果てしなく落ち込む心を、ほんのひとときでも引き戻してくれたのだった。
 AR−2は、確かに、小さい箱からは想像できないほどに低音を響かせたし、二つの10cmの高音用は輝かしく、現在のAR−2から考えられぬくらいに力強いが、歌は奥に引込んで前には出てこず、もどかしく、「レディ・ディ」のビリーは雑音にうずもれてしまった。JBLを失なってその翌々年、幸運にも山水がJBLを売り出した。
「私とJBLの物語」より
     *
 いくら音のよいといわれるスピーカーで鳴らしても、彼女の、切々とうったえるようなひたむきな恋心は、仲々出てきてはくれないのだった。一九三〇年代の中頃の、やっと不況を脱しようという米国の社会の流れの中で、精一ばい生活する人々に愛されたビリーの歌は、おそらく、その切々たる歌い方で多くの人々の心に人間性を取り戻したのだろう。
 打ちひしがれた社会のあとをおそった深い暗い不安の日々だからこそ、多くの人々が人間としての自身を取り戻そうと切実に願ったのだろう。つまりブルースはこの時に多くの人々に愛されるようになったわけだ。
 音のよい装置は、高い音から低い音までをスムーズに出さなければならないが一九三〇年代の旧い録音のこのアルバムの貧しい音では、仲々肝心の音の良さが生きてこないどころか、スクラッチノイズをあからさまに出してしまって歌を遠のける。
 スピーカーが、いわゆる優れていればいるほど、アンプが新型であればあるほど、このレコードの場合には音の良さとは結びつくことがないようであった。
「仄かに輝く思いでの一瞬」より
     *
757Aで聴きたいではないか。
岩崎先生にも聴いてもらいたい──、そうおもう。

Date: 5月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その2)

ウェスターン・エレクトリックの757Aが一本だけ、
野口晴哉氏のリスニングルームにあることは、
1976年末の「世界のステレオ」掲載の記事(写真)で知っていた。

といっても、この時点では、757Aがどういスピーカーシステムなのかも、
まったく知らなかったのだから、ただ一本だけあるんだな、と記憶に残っていた。

1982年1月からステレオサウンドで働くようになって、
ウェスターン・エレクトリックについて少しずつ知るようになってきた。
特に、サウンドボーイの編集長であったOさんは、
ウェスターン・エレクトリックのマニア、信奉者ともいえた人だったから、
Oさんの知識は半端なかった。

757Aについても断片的には知ることができた。
それに音も、とあるところで聴くことができた。
といっても、一応きいた、といえるぐらいのことであって、
757Aの実力を知ることができた、とは思っていない。

それにいまにしておもえば、あれはオリジナルだったのか、そのへんもあやしい。

野口晴哉氏のリスニングルームには、757Aを範としたスピーカーシステムがある。
757Aレプリカといえるモノだ。

エンクロージュアの形状・寸法は同じ。
ユニット構成も2ウェイなところは同じ。

ホーンはJBLの2397で、ドライバーは2420。
ウーファーは12インチ口径なのかはわかっているが、
エンクロージュアを開けていないので未確認。

クロスオーバー周波数は790Hzで、12dB/oct.となっている。

このスピーカーがオリジナルの757Aの両脇に置かれている。

Date: 5月 3rd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜を終えて(その1)

5月1日は、あいにくの雨だった。
霧雨、小雨ではなく、しっかりと朝から降っていて、
夏日があった4月下旬とはうってかわって、やや肌寒い日。

なので来られる方は少ないだろう、そう思っていた。
実際そうだったけれど、この日来られた方は、最後の一時間に満たない時間ではあったが、
ウェスターン・エレクトリックの757Aの音に驚歎されたのだから、
幸運な人たちといえる。

そのくらいに757Aの音は、いま聴いても、とだけでなく、
いまこそ聴くべき、という意味でも価値ある、とはっきりといえる。

ウェスターン・エレクトリックの音は、
同世代の人たちのなかでは早い時期から聴く機会に恵まれていた。

二十代のころから、その凄さには触れることができた。
たしかにウェスターン・エレクトリックはすごい、とそう思っている。

けれど、そう言ったところで、
すでにウェスターン・エレクトリックの製品は新品での入手は無理。
中古市場の相場もそうだし、コンディションのよいモノがどれだけあるのか、
そういったもろもろのことを考えると、
素直にウェスターン・エレクトリックはすごい、とはいえなくなる。

ウェスターン・エレクトリックで商売をしている人たちがいる。
良心的な商売をしている人もいれば、そうでない人もいるわけで、
買う側がそのへんのところをしっかりと見極めることができれば問題は生じないけれど、
現実はそうではない。

だからウェスターン・エレクトリックはすごいですよ、とは、
できればいいたくない。

それでも、757Aの音を聴いてしまうと、
やはりすごいですよ、というしかない。

Date: 5月 2nd, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜・Western Electric 757Aで聴くモノーラルだけの三時間

昨晩遅く少しだけ告知したように、
6月5日のaudio wednesday (next decade) – 第五夜では、
ウェスターン・エレクトリックの757Aを鳴らす。

第四夜の告知で書いているように757Aは一本のみだから、
モノーラル録音をモノーラル再生するだけの三時間となる。

昨晩の第四夜では、
最後の一時間に満たない時間だったけれど、757Aのオリジナルを鳴らした。

パワーアンプはアキュフェーズのA20V、D/Aコンバーターはメリディアンの218で、
おもにTIDALを音源として鳴らした。

熱心なウェスターン・エレクトリックのマニアの方からは、
そんなシステムで757Aを鳴らすなんて、けしからん──、
そんなことをいわれそうな組合せといえなくもないが、それでも昨晩、
最後に鳴らしたカザルスとゼルキンのベートーヴェンのチェロ・ソナタは、
そんなことをいっさいおもわせないほど素晴らしかった。

その音を聴いてしまったら、もう一度、じっくりと聴きたくなるものだ。
そしてそれだけでなく、218をメリディアンのULTRA DACにしてみたら──、
それからアンプを真空管のモノにしてみたら──、
そんなことも思っていた。

第五夜までには、マッキントッシュのMC275がメンテナンスから戻ってくるとのこと。
テクニカルブレーンの黒澤直澄氏によってのメンテナンスである。
マランツのModel 7も、同じく黒澤氏の手によって戻ってくる。

あくまでもテーマは、モノーラル録音をモノーラル再生することだが、
アンプの比較試聴も行う予定でいる。

Date: 5月 1st, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第五夜

audio wednesday (next decade) – 第五夜は、6月5日である。
時間、場所はこれまでと同じ。

スピーカーは今回と同じく757A(レプリカ)を鳴らそうと考えている。
これまで会の途中で、チューニングしていくことはしなかったけれど、
第五夜では、いくつかのことを試して、どのように音が変化していくのかを、
来られた方々の耳で確認してもらうつもりでいる──。

実をいうと、757Aの音を聴くまでは、そう思っていた。
けれど第五夜では、757Aをモノーラルで鳴らす。
757Aだけを鳴らす三時間となる。

そしてD/Aコンバーターは、メリディアンのULTRA DACだ。

Date: 4月 30th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜(いよいよ明日)

明日(5月1日)のaudio wednesdayでは、
ウェスターン・エレクトリックの757Aのオリジナルと、そのレプリカを鳴らす。

オリジナルの757Aは一本のみなので、モノーラルになる。
ただしコンディション次第では鳴らさない可能性も出てくる。

757Aは1947年ごろに登場している。
野口晴哉氏のリスニングルームにある757Aが、いつ製造されたのかはわからない。
1950年ごろとしても、七十年以上経過しているわけだし、
野口晴哉氏が亡くなられてからでも、五十年近い。

明日の夜には、はっきりとする。

757Aは大型なシステムではない。
2月、3月、4月に鳴らしたスピーカーは大型だったけれど、
今回は中型といった規模だから、システム全体もそれに合せたものにする。

どんな音が鳴ってくるのか。

開始時間は19時。終了時間は22時。
開場は18時から。

18時から音は鳴らしているけれど、
19時までの一時間は、質問、雑談の時間でもある。

音を鳴らし始めると、話す時間がほとんどなくなる。
とにかく聴いてもらいたいし、曲を途中で止めるのもできればやりたくないため、
曲の紹介を短めでやるくらいになってしまっている。

なので18時から19時までは、話のほうに少しはウェイトをおきたい。

会場の住所は、東京都狛江市元和泉2-14-3。
最寄り駅は小田急線の狛江駅。

参加費として2500円いただく(ワンドリンク付き)。
大学生以下は無料。

Date: 4月 26th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜・選曲について

4月の第三夜では、アポジー Duetta Signatureで、
菅野先生の録音“THE DIALOGUE”をかけた。

audio wednesdayではTIDALのおかげで、
さまざまな曲をかけることができる。
会の最後には、カザルスの無伴奏チェロ組曲をかけることだけは決めていても、
それ以外の曲に関しては、その日の音次第というところが強い。

それでも一曲は前回でかけた曲を鳴らすようにはしている。
音の違い、それもスピーカーのによってどう変っていくのかを感じてもらいたいからだ。

5月1日の会では、“THE DIALOGUE”を、その一曲としてかける。

別項「2017年の最後に」で、こんなことを書いている。

ジャズ喫茶という場での「THE DIALOGUE」、
特にこの組合せでの音は、かかってこい、という気持のあらわれでもある。

誰に対しての「かかってこい」かというと、聴いている人たちに対して、である。

このころ、喫茶茶会記ではアルテックを中心としたシステムだった。
今回はJBLのユニットを中心としたシステム。

だから、ここでは「かかってこい」という気持があらわれるかもしれない。

Date: 4月 19th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜・Western Electric 757A(オリジナルとレプリカ・その3)

全生新舎の野口晋哉さんの新企画。
アルテックのA5C(マンタレーホーン)をメインスピーカーとする音楽鑑賞会、
“Listening Practice Friday”に行ってきた。

始まるまでの時間、
757Aのエンクロージュアと、そのレプリカのエンクロージュアを叩いてみた。
その音が近いことに、ちょっと驚く。

もちろんまったく同じというわけではないが、けっこう近い。
近いから同じ音、そっくりの音が鳴ってくる──、とは思わないし、
言わないけれど、期待は芽ばえてくる。

レプリカのユニット構成、
ウーファーは不明だが、JBLの2420+2397という中高域からすると、
なんとなくジャズを主に聴くためのシステムかのようにも思えなくもないが、
野口晴哉氏はクラシックが主で、ジャズはほとんど聴かれなかったとも聴いているから、
ジャズのためのシステムではなく、757Aの再現を目指してのシステムなのだろう。

2月、3月、4月のaudio wednesdayでは、
スピーカーシステムがコンデンサー型とリボン型ということで、
部屋を縦長で使っての音出しだったが、
今回は1月と同じように部屋を横長で使う予定でいる。

Date: 4月 18th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜・Western Electric 757A(オリジナルとレプリカ・その2)

ウェスターン・エレクトリックの757A。

なぜ757Aが二台(ステレオペア)でないのか。
野口晴哉氏の時代、このスピーカーシステムを二台手に入れるのは、かなり困難だったはず。
1980年代に入ると、ウェスターン・エレクトリックを扱う業者も増え、
アメリカの倉庫や映画館などを捜してまわる人たちも出てきて、
お金さえ積めば二台手に入れることも可能になったことがある。

757Aのペアの音を聴いたことがあるのかときかれれば、一応ある、というふうに答えている。
あるところで聴いてはいる。
でも、757Aの真価をそこで聴いたとはまったく思っていない。

鳴っているのを聴いた、そのレベルであった。
757Aよりも、他のスピーカーユニット、たとえば594A、555を聴く機会のほうが多かった。

野口晴哉氏は、757Aをペアで揃えたかった──、
私は勝手にそう思っている。
でも叶わなかった。

だから757Aのレプリカを作られたのだろう。

野口晴哉氏の真意を知る人は、もう誰もいない。
その音を聴いて探っていくしかない。
探っていきたい。
探っていける音を出していきたい。

Date: 4月 17th, 2024
Cate: audio wednesday

audio wednesday (next decade) – 第四夜・Western Electric 757A(オリジナルとレプリカ・その1)

ウェンターン・エレクトリックの2ウェイのスピーカーシステム、757A。
野口晴哉氏のリスニングルームに、一基ある。

その両脇には、JBLのユニットを用いてのレプリカといえる2ウェイのスピーカーシステム。
ホーンは2397、ドライバーは2420。
ウーファーが何かはエンクロージュアを開けてみないと確認できないので、
いまのところ型番は不明。

ネットワークはウーファー用にはオイルコンデンサー、
2420用にはフィルムコンデンサーがあてられていて、
コイルの取りつけ方法は、ウェスターン・エレクトリック的でもある。

5月1日のaudio wednesdayでは、このスピーカーシステムを鳴らす。
昨年5月28日に開催された野口晴哉記念音楽室レコード鑑賞会。
前半はウェスターン・エレクトリックの594Aを中心とした大型のシステムで、
後半は、このJBLの2ウェイ・システムが鳴っていた。

今回は、この2ウェイにスーパートゥイーターを加えて鳴らす予定だ。
エラックの4PI PLUS.2だけでなく、JBLのUT405もある。
どちらにするかは当日の音で判断する。

audio wednesdayでは、必ず最後にカザルスの無伴奏チェロ組曲をかける。
今回も、もちろんかける。
ただしJBLの2ウェイ+スーパートゥイーターではなく、
757Aのコンディション次第では、こちらで鳴らしたい。

バッハの無伴奏チェロ組曲だけでなく、
ルドルフ・ゼルキンとのベートーヴェンのチェロ・ソナタもかけてみたい。

このベートーヴェンのチェロ・ソナタもモノーラルだが、
マイクロフォンにはウェスターン・エレクトリック製が使われている。
録音における音の入り口、
再生における音の出口、
どちらもウェスターン・エレクトリックということになる。

757Aを鳴らしてみれば、
野口晴哉氏の、このスピーカーへのおもいがなにかしらつかめるかもしれない。

Date: 4月 14th, 2024
Cate: audio wednesday

30年ぶりの「THE DIALOGUE」(その18)

アポジーのDuetta Signatureで、“THE DIALOGUE”はうまく鳴ったのか。

喫茶茶会記で、アルテックのユニットを中心としたシステムでは、
少しばかり恐怖を感じるくらいの音量で鳴らしていた。

Duetta Signatureでは、そんな音量は無理であろう。
もしかしたら、かなり近いところまで音量を上げられるのかもしれないし、
当日鳴らした音量よりも、もう少し上げられたという手応えはあったが、
なにしろDuetta SignatureはHくんの私物だから、
そこまでの無理(冒険)はできない。

喫茶茶会記でも、最初から、というわけではなかった。
毎回鳴らすごとに音量を上げていく、という鳴らし方をしていた。

とはいえ、当日のDuetta Signatureは、“THE DIALOGUE”を見事に鳴らしていた。
ここまで鳴ってくれるのか、と感心するくらいに、である。

“THE DIALOGUE”がうまく鳴った時の躍動感からすれば、
ややスタティックに感じはするものの、だからといって、躍動的でないわけではない。
充分に躍動感が伝わってくる。

ベースの質感もいいし、ドラムスを構成するそれぞれのパーカッションの質感も、
多彩で、聴いていて気持いいほどだ。

“THE DIALOGUE”はCD層の再生だ。
SACDではあったけれど、
アキュフェーズのDP100とメリディアンの818 v3の組合せでは、
SACDの再生はできないからだ。

SACD(もしくはDSD)再生だったら──、
喫茶茶会記のアルテックのシステムで聴いた印象では、
CD層に比べてSACD層での再生は、低音が半オクターヴほど下にのびる印象があるからだ。

Date: 4月 8th, 2024
Cate: audio wednesday

30年ぶりの「THE DIALOGUE」(その17)

その1)は、2017年5月に書いている。
この時点で、ほぼ三十年ぶりの“THE DIALOGUE”だったわけで、
それから七年経って、4月3日のaudio wednesdayでひさしぶりにかけた。

喫茶茶会記ではほぼ毎回鳴らしていたけれど、
“THE DIALOGUE”はヘッドフォンで聴いても、そのおもしろさは十全には味わえない。
やはりスピーカーで聴いてこそなのだが、
この「スピーカーで聴いてこそ」も、十分な音量が鳴らせて、という条件がついてくる。

喫茶茶会記でのaudio wednesdayが終ってから、一度も“THE DIALOGUE”をスピーカーでは聴いていない。
“THE DIALOGUE”をひさしぶりに聴きたい──、というよりも鳴らしたいという欲求が高まってくる。

とはいえ、いまの私の環境では“THE DIALOGUE”を満足できる音量では鳴らせない。

1月の会では、スピーカーがメリディアンのDSP3200で、TIDALのみで鳴らした。
残念なことにTIDALに、いまのところ“THE DIALOGUE”はない。

2月、3月はサウンドラボのコンデンサー型スピーカー。
SACDを持っていきはしたが鳴らさなかった。
鳴らそうとは思わなかったからだ。

4月はアポジー。
ここでも鳴らすつもりはなかったし、
そういえば、と思い出したのは、ステレオサウンドの試聴室でも、
アポジーで“THE DIALOGUE”を聴いたことはなかった。

私もアポジーで、“THE DIALOGUE”を聴きたいとは、その時はまったく思わなかったなのに、
今回は“THE DIALOGUE”をかけた。

けっこううまく鳴ってくれるという予感があったからだ。