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Date: 7月 17th, 2014
Cate: サイズ

サイズ考(大口径ウーファーのこと・その4)

HIGH-TECHNIC SERIES-1の表紙のHL88には375なり2440が取りつけられていない。
これも疑問だった。
しかもHL88は、あの独特の音響レンズが正面を向いてではなく、上を向くように置かれている。
ならば375なり2440を取りつけるべきではないか、と感じていた。

HIGH-TECHNIC SERIES-1を手にしたとき、私はまだ375の実物も、HL88の実物に目にしたことがなかった。
カタログの寸法値を眺めて、なんとなく、このくらいの大きさだろうな……と思っていた。

HL88のサイズは、音響レンズの直径が34.3cm、奥行きが40cmとなっている。
東京に来て、HL88、それに375の実物を見て、こんなに大きいのか、と思った。
寸法値だけを見て頭のなかでの想像よりもずっと大きかった。

HL88のホーン開口部は15インチ口径のウーファーとほぼ同じだし、
奥行きに関しても375もしくは2440を取りつけると50cmを超える長さになる。

いまハークネスの上に、2441+2397をのせている。
のせているから2441の大きさを毎日見ることになる。
2397サイズのホーンでも、2441の方が大きく感じられる。
でかいドライバーだ、と思うし、2441+2397の存在によって、
D130が少し小さく感じられるようにもなってきている。

このモノとしてのサイズ感からいえば、
2インチ・スロートのドライバーに対して15インチ口径のウーファーが一本というのは、
これ以上ウーファーのサイズは小さくできない、というぎりぎりの線だと感じてしまう。

Date: 7月 10th, 2014
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(JBL D130・その8)

組合せは決った。
いったいどういう音がしてくるのか、
いま中古でここで挙げたコンポーネントを手に入れたとしても、うまいこと鳴ってくれる保証はない。

スピーカーにしろアンプにしろ、どんなモノであれ、長い年月を経ていれば、
どんなに大切に使っていたとしても性能的には劣化している。
そう思いたくなくとも、これは絶対不可避である。

井上先生が以前書かれていた。
     *
現実に状態の良いシステムを実際に鳴らしてみたとしても、かつて備えていた本来の状態をベースに聴かせた音の再現は完全には不可能であり、例えば、1モデルに1ヵ月の時間を費やしてメインテナンスをしたとしても、絶対年令は、リカバリー不能であろう。逆説的ではあるが、イメージ的に心にわずかばかり残っている、残像を大切に扱い、思い浮かべた印象を文字として表現したほうが、むしろリアルであろうか、とも考えている。
(ステレオサウンド別冊「音の世紀」より)
     *
その通りだと思う。
「イメージ的に心にわずかばかり残っている、残像」、
これを持っているか持っていないのか──。

JBLのD130を平面バッフルに取りつけて、
できるだけ価格を抑えた組合せは、いったいどんな音を聴かせるのか、よりも、
この組合せで、どのレコードを聴きたいのか。

私が聴きたいと思っているのは、ジャズではなく、
デッカのカートリッジを選んでいるようにクラシックであり、
ストラヴィンスキーによるストラヴィンスキーの「春の祭典」をまっさきに鳴らしてみたい。

Date: 7月 10th, 2014
Cate: 組合せ

妄想組合せの楽しみ(JBL D130・その7)

平面バッフル用の板を買っても、予算を30万円とするならまだ余裕がある。
その残った予算でチューナーを買うのもいいと思う。

私もそうだった。
最初予算いっぱいを使ってスピーカーとアンプとアナログプレーヤーでいこう、と考えていた。
そうすることで、少しでもいい音が出せる可能性があると判断したからである。

けれどチューナーは買った。
オーディオ店の人が、安いものでいいからチューナーは買っておいた方がいい、と強くすすめられたためである。
それでも要らない、と思っていたけど、プリメインアンプとペアとなるチューナーにした。

チューナーは要らない、としたのは、私がその頃住んでいた熊本では、民放のFM局はまだなかったこともある。
NHK-FMしか聴けないチューナーに、
カートリッジのいいモノ(エラックのSTS455EとかデッカのMark Vなど)が買える金額を払うのが、
もったいないように感じた。

そういう私が、チューナーを買っておいてよかった、と思っている。
チューナーがあったからこそ、私はケイト・ブッシュを聴く機会があったからだ。

もしチューナーを買っておかなければ、ケイト・ブッシュの見た目だけで判断してしまっていて、
関心をもつことはたぶんなかった、と思うからだ。

ここではアンプと同じテクニクスのチューナーから、ST-C01(35000円)を選ぶ。
SU-V6とペアになるチューナーではないけれど、コンサイスコンポ用のチューナーとして開発されたもので、
W29.7×H4.9×D25.5cmと薄型でコンパクトにまとめられている。

Date: 9月 7th, 2008
Cate: JBL

マテリアル2ウェイ

JBLのD130、LE8Tのようにセンターキャップがアルミのものを、
一般的にはメカニカル2ウェイのフルレンジと呼ぶ。 
でも、ほんとうにメカニカル2ウェイなのか。 

アルテックのフルレンジユニット420−8Bのように、
コーン紙の中間あたりにコンプライアンスをもたせたコルゲーションを設け、そこを境に高域と低域を分割する。
しかもコーン紙の頂角も高域のコーン(内側)は浅くて、
ウーファー(外側)のコーンの頂角は深いという工夫がこらされおり、
こういう設計思想によるものなら、メカニカル2ウェイと納得できる。 

けれどセンターキャップだけアルミ(金属製)で、
メカニカル2ウェイといえる動作をしているのか。 
420-8Bのセンターキャップとコーン紙のつなぎ目と同じように、コンプライアンスをもたせていれば、わかる。 

D130は38cm口径、センターキャップは10cm、
材質も紙とアルミ(内部音速もかなり違う)だけに、
センターキャップにアルミを採用した良さは、音を聴いても、出ていると感じる。 
大口径のフルレンジ(振動板は紙のもの)は、
真正面で聴けば、それなりに高域は出ているように感じるが、
軸をずらすと、高域が明らかに落ちている印象になったように記憶している。 

だからといってメカニカル2ウェイとは呼びたくない。マテリアル2ウェイと呼びたい。