オーディオ機器を選ぶということ(聴かない、という選択・その7)
スピーカーシステムの欠陥として考えられることといえば、どんなことであろうか。
周波数レンジが狭い──、というのは欠陥ではなく欠点である。
耐入力があまりない──、これも欠陥とはいわない、欠点である。
能率が低い──、どの程度低いかによるけれど、
それこそ1kWのパワーアンプをもってきても蚊の鳴くような音しか出せない極端に能率の低いものならば、
さすがに欠陥といえなくもないけれど、かなり低いものであっても欠陥ではなく欠点ということになる。
……こんなふうに見ていって、
アナログプレーヤーの規定の回転数を出せない、といったレベルでの欠陥は、
スピーカーシステムの場合、考えられるのは帯域の一部がごそっと抜け落ちている、とか、
スピーカーの歪が音として変換されるレベルよりも大きい、
こんなことが考えられるが、そんなスピーカーシステムは市場にはない。
その意味では欠陥スピーカーシステムなど、市場には存在しない、ともいえる。
そんな、誰の耳にもはっきりとわかる欠陥をもつオーディオ機器は、
スピーカーだけでなく、アナログプレーヤーでもアンプでも、
これだけ広い世の中だから、日本に輸入されていないモノのなかに、ひとつやふたつぐらいはあるかもしれない。
仮にあったとしても、それらはすぐに市場から消えてゆくことだろう。
すくなくとも、ある一定期間、市場に残っていて日本に輸入されるオーディオ機器には、
欠点をもつモノはあっても、欠陥といえるモノはない──、たしかにそういえる。
だから、私は、「欠陥」スピーカー、と書いてきているのだ。