Date: 12月 9th, 2012
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その24)

2011年、インターナショナルオーディオショウのステラヴォックスジャパンのブースに、
一台のアナログプレーヤーがあった。
見た瞬間に、それがマイクロのSX8000IIの流れを汲み、さらに徹底させたモノであることはわかった。
このプレーヤーの名称は”Air Force One”。

Air Force Oneではあるけれど、私は勝手に心の中でSX8000IIIと名付けていた。

SX8000は1981年、SX8000IIは1984年に登場している。
SX8000IIがいつ製造中止になったのか、正確には記憶していないけれど、
2000年、2001年までは現役のプレーヤーであったはずだ。

SX8000IIが約10年ぶりに復活した、と素直にそう喜びたかった。
けれど目の前にあるAir Force Oneは、
いまどき、よくぞこれだけのモノをつくった! と素直にそういえるところをもつとともに、
なぜ、こんなふうにしてしまった……、と思わないでいられなかった。

Air Force Oneは650万円(税別)という価格がつけられている。
650万円という価格は安いとはいえない。
Air Force Oneは高価なターンテーブルである。

けれど、Air Force Oneに注がれている技術を丹念に見ていくと、
決して法外な価格設定とはいえないし、
生産台数を考えると、むしろ(安いとはいいたくないので)お買得かも……、
そう思えるくらいの内容をもつ製品だとは思う。

なので、このAir Force Oneも、
SX8000IIと同じくらいロングセラーを続けてほしい、という気持はある。
けれどAir Force Oneのデザインのことについて黙っていられない。

しかもAir Force Oneのカタログ(販売元のステラのサイトからダウンロードできる)には、
Air Force One開発の主眼に置いたのは次の内容です、という記述があり、
そこには、次の項目が掲げられている。

全ての高級オーディオ製品の目標である不要振動を完全に除去すること
無限大に近い回転精度と限りない静粛性を追求すること
外来振動を完全にシャットアウトすること(カタログには「外来振動の」となっているが「を」の間違いだろう)
全てのトーンアームの取り付けを可能とすること
使い易さと外観の美しさに最大限こだわること
プラッター(ターンテーブル)に選択可能な多様性を持たせること
静粛性に優れリップルの全く無いエアーポンプシステムを開発すること

五番目の項目に「使い易さと外観の美しさに最大限こだわる」とある。
使い易さと外観の美しさ──、
これはいいかかれば、プレーヤーシステムとしてのデザインのことである。

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