私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その10)
マイクロのRX5000とSMEの3012-Rの組合せは、
私にとって、プレーヤーシステムのデザインについて見つめ直すいいきっかけとなった。
RX5000は音の面で評判になっていた。
瀬川先生はRX5000を二台用意して二連ドライヴも試されている。
私は、この二連ドライヴの音は聴いたことがないが、いいんだろうな、とは想像できる。
けれど音のことだけでなく、プレーヤーシステムとしてのデザインを求めていくと、
二連ドライヴは大袈裟すぎて、RX5000の視覚的メリットを損なうことにもなる。
割と気に入っていたRX5000だが、欠点がないわけではない。
調整が面倒なのは、私はそれほどの欠点とは思っていないけれど、
RX5000の欠点は、耐久性にある。
砲金製のターンテーブルプラッターの重量は16kg。
軸受けが長期間の使用には耐えられない。
それに軸受けから、直接耳に聴こえるわけではないのだが、ノイズが発生していることもわかっていた。
だからマイクロは空気の力を借りてターンテーブルプラッターを浮上させ、
軸受けへの負担をなくしたSX8000を開発している。
SX80000の基本的な形はRX5000と同じだが、
ターンテーブルプラッターの材質がステンレスに変更され、
ベースの色も黒からブルーになっている。
黒も用意されてはいたのだが、私は目にしたSX8000はすべて青だったため、
SX8000イコール青の印象が強い。
それから脚部の仕上げ、トーンアームーベースを取り付ける四隅の円柱の仕上げも、
RX5000とSX8000では異る。
SX8000ではターンテーブルプラッターと同じ仕上げで、ステンレス特有のてかりがある。
機構面での変更は大きいものの、見た目の変更はわずかこれだけにもかかわらず、
ターンテーブルを縁の下の力持ちとして位置において、
RX5000とSX8000のそれぞれの位置は違ってきていると感じる。
RX5000の石臼的な存在感が影をひそめ、
ターンテーブル自体がアナログ再生の主役である、ということを、自己主張しはじめてきた。