Date: 11月 24th, 2012
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(デザインのこと・その5)

ステレオサウンド 48号の表紙は、EMTの930stを真上から撮っている。
これを見るたびに、プレーヤーシステムとは、930stのことをいうものだと思っていた。

930stが高い評価を得ているのも、ステレオサウンド 48号の表紙を見れば、すぐに納得がいく。
48号は1978年発行、私はまだ15歳、930stは115万円だった。

その3年後、3012-Rを購入したときでも、アナログプレーヤーに100万円を出すことはできなかった。
9万円弱の3012-Rだって、分割払いでなんとか買っていたのだから。

それでも48号の930stの姿は、強烈だった。
930stの写真はそれ以前にも何度も見ている。
でも、48号の表紙(安齊吉三郎氏の撮影)ほど、
930stの、プレーヤーシステムとしての完成度の高さを伝えてくれる写真はなかった。

実は、いまもこれを書きながら、ステレオサウンド 48号の表紙を横目で見ている。
いい写真であり、いいプレーヤーシステムだ、と改めて実感している。

930stよりも音の点で上をいくプレーヤーはいくつかある。
でも、それらはプレーヤーシステムとして930stの上にある、とはいえないプレーヤーである。

世の中にアナログプレーヤーは、それこそ無数といっていいほどある。
けれどプレーヤーシステムとほんとうに呼べるアナログプレーヤーとなると、
その数はほんとうに少ない。しかも優れたプレーヤーシステムとなると、さらに少なくなる。

3012-Rとともに使うターンテーブル選びに悩んでいたときに気づかされたのは、
私が求めているのはプレーヤーシステムであり、
そのころの私には単体のターンテーブル、トーンアームを買ってきて、
キャビネットを自分で考え作り、プレーヤーシステムとしてまとめあげるだけのものは持っていなかった、
ということである。

そしてアナログプレーヤーのデザインは、
オーディオ機器のなかでもっとも難しいのではないか、と感じていた。

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