使いこなしのこと(なぜ迷うのか・その1)
なぜ迷うのか。
いくつか理由は考えられるなかで、もっとも大きいのは聴き手に感情があり、
その感情が知覚(オーディオにおいては聴覚)に影響を与えるから、ではないだろうか。
この感情が聴覚を曖昧なものにするから、
オーディオ雑誌の試聴テストは信用できない、
試聴テストはすべてブラインドテストにすべき、と主張する人がいるわけだが、
私にいわせれば感情がいっさい影響しない試聴テストは、たとえブラインドテストであっても無理なことであり、
それよりも、なぜ、知覚は感情の影響を受けるのであろうか、ということを考えると、
結局、それは迷うため、である。
つまり迷うことが求められているからなのではないだろうか。
オーディオマニアであるわれわれが対峙するものは、ひじょうに大きい。
どれだけ大きいのかも、ときにはわからなくなることすらある。
感情によって知覚(聴覚)が影響を受けるということは、
対峙している、この大きなものをひとつのところからではなく、
いくつものところからみて(聴いて)、その全体像を把握する、ということなのかもしれない。
だから冷静に迷うことが、じつはオーディオには大切なこととして必要なのだと、そうおもえるようになってきた。