Digital Integration(その9)
qualityを、クオリティではなく、クォリティと、
enclosureを、エンクロージャではなく、エンクロージュアと書くのは、
ステレオサウンドの表記になれているから、である。
だから、ステレオサウンドが、オーディオとコンピューターの融合を、うまくあらわすことばを提案してくれれば、
それに従うことに抵抗はないのだけれど、「デジタルファイル・ミュージック」に関しては、
安直につけられた印象があるし、ことばとして正確なのか、とも思うところがある。
コンピューターが扱うファイルは、まずデジタルである。
だからわざわざデジタルファイルという必要はない、ということ。
それからファイルは、データがひとつのかたまりとしてまとまっているものを指し示す言葉のはずだ。
ハードディスクに記憶されているデータの集合体はファイルであるが、
配信されるものを、リアルタイムで再生しているとき、そのデータは、ファイルと呼べるものだろうか。
いちど全データをハードディスクにダウンロードして再生するのであれば、ファイルの再生であるが、
ライヴで生中継されているデータは、ファイルとは呼べない。
データミュージックというのなら、(いい表現かどうかは別として)わかる。
けれど、デジタルファイル・ミュージックには、抵抗感がある。