Date: 10月 2nd, 2012
Cate: 日本の音
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日本のオーディオ、日本の音(その9)

マークレビンソンのML2には、そのパワーアップ版ともいえるNo.20がある。
No.20の開発は、マーク・レヴィンソンの手から完全に離れているパワーアンプで、
ML2がA級25Wの出力だったのに対し、A級100Wを実現している。

ソニーのTA-NR10も、A級100Wの、ML2、No.20同様モノーラル仕様であり、
パワーアンプとしての規模は同等ともいえよう。

ML2とNo.20の音は、同じマークレビンソン・ブランドであっても、
ML2、そしてマーク・レヴィンソンとジョン・カールがいた時代の同ブランドのアンプに惚れ込んだ者にとっては、
そうとうに異るアンプともいえるのだが、
ML2とNo.20の筐体構成・構造はほぼ同じといえるし、
この筐体構成が、ML2(No.20)とTA-NR10との大きな相違点であり、
私が2S305でグールドのゴールドベルグ変奏曲を聴くための組合せとして、
ソニーのTA-NR10を選ぶ理由に直結している。

仮にML2(No.20)とTA-NR10がまったく同じ回路構成で、しかも同じコンデンサーや抵抗を使っていたとしても、
マークレビンソンのA級100WとソニーのA級100Wとでは、音色において差が生じる。
そのくらい、このふたつのアンプの筐体構成・構造は違う。

こまかくひとつひとつ挙げていくときりがないので、
大きな点をひとつだけ書くとすると、やはりヒートシンクについて、である。

どちらもアンプもA級アンプが発する熱を、自然空冷で対処している。
そのためヒートシンクは、同じ出力のAB級、B級アンプと比較すると大型化してしまう。

さらに出力段のトランジスターの使用数も増える傾向にあるし、
それにアイドリング電流がかなり高めに設定されている。

このことは、井上先生が幾度となく書かれていたことでもあるが、
パワートランジスターは振動発生源であり、ヒートシンクはその形状からして音叉的存在である。
さらに井上先生は、
「アンプの筐体構造はスピーカーのエンクロージュアと同等の楽器的要素をもつことを認識すべきだ」
ともいわれている。

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