Date: 9月 23rd, 2012
Cate: ナロウレンジ
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ナロウレンジ考(その11)

ソプラノ歌手の描き分けがうまく行えないスピーカーシステムが、現実にはある。
安い価格帯のスピーカーシステムにもあるし、
オーディオに関心のない人からするとバカげた値札のついたスピーカーシステムの中にも少ないながらも存在する。

別にソプラノ歌手に限らなくてもいい。
他の楽器についてでもいい。
楽器には楽器特有の音色があって、楽器の銘柄が変れば音色は違ってくるし、
同じ銘柄の楽器でも奏者によって音色は変化していく。

誰が歌っているのか、誰が吹いているのか、誰が弾いているのか、
このことが音だけで明確に聴きとれるためには、音色の再現性の高さがスピーカーには要求される。

その音色の再現性のためにはどういうことが必要なのか……。

物理的なことがいくつか頭に浮ぶ。
考えれば考えるほど、ワイドレンジであることが音色の再現性には重要というところに行き着く。
ワイドレンジとひと言でいっても、ただ単にサインウェーヴでの測定上の周波数特性、
それも振幅特性のみを延ばしただけのスピーカーシステムであっては、
ワイドレンジとは言い難い、ということは、別項の「ワイドレンジ項」でも書いている。

応答性、過渡毒性ということに関しても、ワイドレンジである方が優位である。
なのに、時として、何度書いているように、よくできた中口径のフルレンジユニットのほうが、
ソプラノ歌手の声の鳴らし分けを、その何十倍、何百倍もするスピーカーシステムよりも的確なことがあるのは、
物理的な過渡特性、応答性の優秀さのほかに、
いわば感覚的な応答性のよさがあるような気がしてならない。

過渡特性、応答性のもうひとつの側面──、
といっていいのかどうか迷うところもあるのだが、リズムへの対応力、再現性といったものを感じる。

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