Date: 9月 6th, 2012
Cate: 「ネットワーク」, 言葉
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オーディオと「ネットワーク」(情報量・その2)

AとBのふたつがあり、
その差がほんのわずかであれば、どちらの量が多いかの判断では、
差がわからない、はっきりとしないということもある。
わずかな差に対して敏感な人もいれば、それほどでもない人もいる。

けれどあきらかな差があれば、敏感な人もそうでない人でも、
どちらかの量が多いということはすぐに判断できるのが普通である、と思っていた。

音に関する表現でも、量を表しているものはいくつかある。
最近では、多くの人が使うようになって「聴感上のS/N比」がある。
S/N比そのものが、信号とノイズの量の比であるわけだから、
物理的なS/N比のように90dBとか81dBといった数字でこそ表示できないものの、
ふたつのオーディオ機器、ふたつの音があり、比較試聴したうえでの聴感上のS/N比は、
はっきりと差が出ることも多い。

聴感上のS/N比のほかには、音場感に関する表現がある。
左右の広がりぐあい、奥への展開のぐあい、など、
ふたつのオーディオ機器、ふたつの音を比較して、どちらが左右の広がりが広いのか、
奥行き方向の再現性が深い、といったこともはっきりと差が出ることも多い。
もちろん音場感については、それだけですべてが語れるわけでもないものの、
音場感は、量に関係する要素がある。

けれど、このふたつ──、
聴感上のS/N比と音場感に関することでも、ときどき首を傾げたくなることがある。
なぜ、このオーディオ機器、この音を聴感上のS/N比が高い、といえるのだろうか、と思うことは少なくない。

量についてのものであっても「聴感上」とつくからそこには主観的なこともはいってくる、
だから聴く人によって、聴感上のS/N比の高い低いは異る、という人がいるかもしれないが、
私はそうは思わない。

聴感上のS/N比は、私の知る限り、井上先生が最初に使われているが、
井上先生が定義した「聴感上のS/N比」とはかなり違う「聴感上のS/N比」がいくつも現れてきているようだ。

「聴感上のS/N比」は、本来、そういう曖昧な性質のものではなかった。
それがいつしか、本来の定義、意味などをシロウトもせずに、
なんとなく感覚的に、安易に使われることが増えてきている言葉のひとつである、と思う。

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