サイボーグ009(「オーディオ」考)
いま書店に並んでいる雑誌penの9月1日号は、「サイボーグ009完全読本」となっている。
サイボーグ009は、石ノ森章太郎氏の代表作のひとつ。
今秋映画も公開される。
サイボーグ009という作品そのものについて語ろう、というつもりではない。
penの、この特集のなかに
「改造人間の紡ぐ言葉に、思わず心が震える。」とタイトルがつけられたページがある。
そのなかに「未来都市編」からの引用で、
004(アルベルト・ハインリヒ)と009(島村ジョー)の対話からなる5コマのシーンが掲載されている。
このふたりの会話だ。
004:
……機械(メカニズム)がしばしば人間をうらぎることは──
……機械(メカニズム)を身体(からだ)に埋めこまれている
──身体(からだ)の半分以上が機械(メカニズム)の……
オレたちが一番よく知っている!?
009:
だけど004(ハインツ)──
その──〝うらぎる〟といういいかたは矛盾してるんじゃないか?
……機械(メカニズム)を人間あつかいしていることになる……!
004:
──そう
その矛盾だ!
──いまいましいことに身体(からだ)の中の機械(メカニズム)たちが……
オレの思い以上に働いてくれている時……
……なんてすばらしいヤツラなんだと──
思わず〝人間的〟に感情移入して讃美したくなる!
009:
……うん!
004:
……だが、それでもやはり
──人間的にあつかうのは……
……まちがっているし──
危険なんだ!
004と009がいう機械とは、彼らの身体の中に埋めこまれたメカニズムのことである。
だが、この機械は、そのままオーディオに置き換えても成り立つ。
そう考えた時、オーディオマニアの身体にオーディオというメカニズムが埋めこまれているわけではない。
けれど、コンサートで生の音楽を聴くことよりも、
オーディオというメカニズムを通して音楽を聴くことに時間も情熱も費やしている、ということは、
オーディオは外在化した身体の機械(メカニズム)──、
そう受け止めることができることに気がつき、
飛躍しすぎといわれようが004のことばが、ぐっと重みをまして感じられる。
penの次号は9月1日に発売になるので、
9月1日号に興味をもたれた方は、購入はお早めに。