D130とアンプのこと(その23)
4つのマトリクスがある、
けれど実際にわれわれが耳にできるもののほぼすべてはピストニックモーションのスピーカーの定電圧駆動になる。
ごく一部のベンディングウェーヴのスピーカーの定電圧駆動が、ほんのわずか存在するぐらいである。
いま定電流駆動による音を聴こうとしたら、パワーアンプを自作するしかない。
どこかのメーカーが定電流出力のパワーアンプを製品化することは、まずありえない。
もし私がアンプメーカーを主宰していたとしても、
定電流出力アンプに大きなメリットを感じていても、現実の製品としてパワーアンプを開発することになったら、
それは定電圧出力のパワーアンプということになる。
なぜ、定電流出力のパワーアンプにしないかといえば、
いま現在市販されているスピーカーシステムのほとんとはマルチウェイ化されている。
フルレンジだけのシステムも少数ながら存在しているけれど、マルチウェイのシステムばかりであり、
これらのシステムには当然のことながら内部にLC型デヴァイディングネットワークをもつ。
しかもこのネットワークの大半は、並列型によって構成されている。
定電流出力のパワーアンプにとって、
この並列型ネットワークがスピーカーユニットとのあいだに介在することがネックとなるからだ。
ネルソン・パスによる自作派のためのサイト”PASS DIY“をみていくと、
定電流出力にふれてあるPDFがある。
“Current Source Amplifiers and Sensitive Full Range Drivers“、
“Current Source Crossover Filters“、
このふたつのPDFは定電流駆動に関心のある方はいちど読んでほしい、と思う。
タイトルからもすぐわかるように、マルチウェイのスピーカーの定電流駆動に関しては、
“Current Source Crossover Filters”にもあるように、
LC型デヴァイディングネットワークは直列型でなければならない。