私的イコライザー考(妄想篇・その2)
グラフィックイコライザーは櫛形フィルターの集合体である。
1/3オクターヴ33素子のグラフィックイコライザーは、
33の中心周波数をもつバンドパスフィルターの集合体といえる。
バンドパスフィルターを搭載したオーディオ機器には、
グラフィックイコライザーの他にデヴァイディングネットワーク(チャンネルデヴァイダー)がある。
正確に記せば、2ウェイのデヴァイディングネットワークはハイパスとローパス、
ふたつのフィルターの組合せであってバンドパスフィルターはないのだが、
3ウェイ以上となるとバンドパスフィルターが加わる。
そんなふうにグラフィックイコライザーをみれば、
デヴァイディングネットワークの帯域を分割を、2〜4といった数ではなくて、
極端に増やした33にしたものと捉えることもできなくはない。
強引にそうだと考えて、
それぞれのバンドから出力端子があれば、
1/3オクターヴ(33素子)のグラフィックイコライザーは、
33ウェイのデヴァイディングネットワークへとなっていく。
こんなモノに実用性は、はっきりいってない。
でも、こんな妄想を考えたのは、
グラフィックイコライザーのそれぞれの帯域のスライドボリュウムを動かした時の音の変化を、
どう聴き取るのか、からの発想である。
つまり33素子のグラフィックイコライザーならば、
33ものスピーカーユニットを搭載したスピーカーシステムを用意する。
そしてひとつひとつのユニットに専用パワーアンプも用意して、
33台のパワーアンプは、それぞれグラフィックイコライザーのそれぞれのバンドの出力端子に接続する。
グラフィックイコライザーが、ここではデヴァイディングネットワークを兼ねることになるので、
スピーカー側にLCネットワークは必要としない。
ただ33台のパワーアンプが必要となり、
30年前に、こんなばかげた妄想をしていたときには、
これがネックとなり実現困難な実験となっていた。
けれど現在はなかなか優秀なDクラスのパワーアンプが登場してきた。
Dクラス・アンプであれば、33台のパワーアンプを用意することも、
30年前と比較すれば、ずっとそれは容易なことといえる。