オーディオ機器を選ぶということ(再会という選択・その2)
1970年代後半のころのマークレビンソン・ブランドのアンプは、私にとっては憧れだった。
LNP2にしてもML2にしても、ML6も含めて、いつかは手に入れる、と思っていた。
LNP2、ML2は、そう思っていたためか、聴く機会はわりとはやく訪れたし、その後も何度となく聴く機会があった。
LNP2はステレオサウンドのリファレンスコントロールアンプとして使われていたこともあって、
聴こうと思えば、ステレオサウンドの試聴室で聴くことができた。
こういう環境は恵まれている、と思うと同時に、憧れを大切にしたいのであれば、どうかな、とも思う。
憧れのLNP2は、その後続々と登場するコントロールアンプによって、少しずつ旧型のアンプへと変りつつあった。
憧れはいつしか失せていた。
LNP2を「いつかは手に入れる」という気持はなくなっていたのか、忘れてしまっていたのか……、
どちらなのかは自分でもわからないものの、LNP2に関心をもつことはながいあいだなかった。
これは、なにもLNP2に対してだけのことではない。
ML2に関しても、ML6に関しても、いつしかそうなっていたし、
マークレビンソンのアンプに関してだけのことでもない。
実を言えばJBLの4343に対しても、4345に対しても……。
こうやってひとつひとつ挙げていくときりがないほど、10代のころに強く憧れ、
いつか必ず手に入れる、と思い込めていたオーディオ機器への関心がなくなっていた。
LNP2もML2も4343も、その時代の先端を走っていたオーディオ機器であっただけに、
時が経てば、色褪せて、どうしても旧さを感じてしまうようになるのは、しかたないことかもしれない。
そんなふうに感じていた20代の私は、もうLNP2や4343を欲しい、と思うことはない、と思っていた……。
なのに、いまは「再会」をつよく意識している自分に気がつく。