Date: 6月 19th, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)
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ロングランであるために(その2)

「永遠の価値」とまでいってしまうと、それはもう無理なことではあるけれど、
永く価値あるモノ、価値の変らないモノはあるのだろうか──。
あるとしたら、いったいどういうモノなのか、どういう条件を満たしているモノなのか、
こんなことをステレオサウンドにはいったばかりの頃、先輩編集者のNさんと何度か話したことを思い出す。

彼は瀬川先生のEMT・927Dstを譲ってもらい使っていた。
私もそのころから927Dstが欲しかったけれど手が出せる価格では、もうなくなっていた。
それにいきなり927Dstというのも、
たとえお金があったとしても、段階を踏むこともまた大切であるという考えからみると、手を出すべきではない。
それで930stのトーレンス版101 Limitedを、なんとか購入したわけだが、
このふたつのEMTのプレーヤーは、その価値がこれから先も変らないのか、のも話題になった。

1980年代前半、すでにEMTはダイレクトドライヴの950や948を出していた。
927Dstも930stも製造中止になっていた(はず)。

927も930も原型はかなり古くからある。
しかもほとんど昔から変っていない。
イコライザーアンプが真空管のモノーラルからステレオ仕様になり、トランジスター化されたり、
トーンアームがオルトフォン製からEMT製に変ったりはしているものの、
大きく見た場合、旧態依然のプレーヤーともいえる。

世の中のプレーヤーは大半はダイレクトドライヴであり、クォーツロックまで搭載されていた。
EMTと同じ西ドイツのデュアルも、EMT同様、それまではリムドライヴを一貫して採用してきていたけれど、
ダイレクトドライヴ式のプレーヤーに切り換えていた。
ベルトドライヴはかろうじていくつか現役の製品があっても、
リムドライヴは過去の方式となっていた。

そんな時代に大金を払って、旧型のリムドライヴのプレーヤーを購入したのは、
もちろんEMTのプレーヤーでなければ聴くことができない音の良さ、持ち味に惚れてのことである。
とはいうものの、決してそれだけではなかった。

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