私にとってアナログディスク再生とは(リアパネルのこと・その1)
まだ10代の、マークレビンソンに追いつき、追いこせを目標に、
アンプの勉強をする傍らで、すぐにできることというわけで、アンプのフロントパネルのスケッチを含めて、
内部コンストラクションについてあれこれ考えていたことがある。
アンプの設計はまだできなくても内部コンストラクション、
つまり信号経路をどうするかについては紙の上ではあっても試行錯誤できる。
もう30年も前の話だから、メインとなるプログラムソースはアナログディスクであり、
それもMC型カートリッジの使用が前提としてブロックダイアグラムともども、
どうすれば微小信号を損なうことなく扱えるのかについて考えていたときに気がついたことがある。
それは日本のアンプ(プリメインアンプ、コントロールアンプともに)と
アメリカ、ヨーロッパのアンプのリアパネルの配置は反対だということである。
私が、このとき考えていたのはいかにアナログプレーヤーからの信号ケーブルを短くできるか、
そしてその信号ケーブルが、他のケーブルや電源コードから遠ざけられる、ということだった。
答(というほどのものではもないが)は、フォノ入力端子がフロントパネルからみると左端
つまりリアパネルでは右端に設けるということだ。
アナログプレーヤーでは当り前すぎることだが、トーンアームは手前からみて右側にある。
トーンアームの根元に接続される信号ケーブルは右側奥から出ている。
これは、どのアナログプレーヤーでも同じである。
だからそこから最短距離でコントロールアンプ(もしくはプリメインアンプ)のフォノ端子までもってくるには、
アナログプレーヤーの右隣にコントロールアンプ(もしくはプリメインアンプ)を置くのがいい。
そうなると必然的にリアパネルの右端にフォノ端子を設け、
カートリッジからの微小信号にもっとも悪影響をあたえる電源ケーブルはもっとも距離をとりたいから、
それに内部コンストラクション的にもフォノイコライザーアンプと電源トランスは距離をとりたいので、
電源コードはリアパネル左端にもってくることになる。
これは誰もが考えつくことだと思うし、実際にアメリカのコントロールアンプの多くはそうなっている。
イギリスのアンプもほとんどそうなっている。
マークレビンソンのLNP2もそうだし、GASのThaedraも、QUADの44もそういうリアパネルの配置だ。
なのに日本のアンプは逆にリアパネル左端にフォノ入力端子、右端に電源コードという配置だ。
つまり日本のアンプはコントロールアンプにしてもプリメインアンプにしても、
アナログプレーヤーの下(もしくは上)に設置することを前提としていることになる。