Date: 6月 3rd, 2012
Cate: ロングラン(ロングライフ)
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ロングランであるために(その1)

オーディオ機器のなかにも、ロングラン製品と呼ばれるものがある。
ロングセラー製品、ロングライフ製品と呼ばれることもある。

ステレオサウンドでも、以前「ロングラン・コンポーネントの秘密をさぐる」という連載が数回続いた。
1回目の47号のデンオンDL103シリーズ、ダイヤトーン2S305、ラックス38シリーズから始まり、
2回目の48号ではJBLのパラゴン、オルトフォンのSPUシリーズ、QUADのESL、
3回目の49号ではグレースのF8シリーズ、フィデリティ・リサーチのFR1シリーズがとりあげられた。

すぐに気がつくのはカートリッジが半数を占めていること。
47、48、49号とも1978年の発行の号だからCDは登場していないとはいえ、
スピーカーシステムよりもカートリッジがわずかとはいえ多く、
しかもカートリッジのすべてはシリーズ展開されているという共通点がある。

ステレオサウンドの、この企画はロングランというタイトルからもわかるように、
あくまでも現行製品という条件がある。

ロングランとは”a long run”であり、演劇、映画などの長期公演のことである。
だからロングラン・コンポーネントはいいかえるとロングセラー・コンポーネントということでもある。
長く市場で売られ続けている製品として、
ステレオサウンドの「ロングラン・コンポーネントの秘密をさぐる」である。

ステレオサウンドの「ロングラン・コンポーネントの秘密をさぐる」は残念なことに3回で終ってしまった。
個人的にはもっと続いてほしい企画だった。
まだまだロングラン・コンポーネントと呼べるものはいくつもあった。
例えばSMEのトーンアームがそうだし、EMTの930st、927Dstがある。
アンプはどうしても改良のスピードが、カートリッジやスピーカーといった変換器よりも速いために、
なかなかロングラン(ロングセラー)と呼べるものは少ないけれど、
1978年の時点では、少しロングセラーと呼ぶには足りなかったのかもしれないが、
マークレビンソンのLNP2は十分ロングラン(ロングセラー)アンプである。

スピーカーは、スピーカーシステムとしてよりも、スピーカーユニットにロングラン(ロングセラー)は多い。
カートリッジがアナログプレーヤーシステムの一部分としてあるのと同じように、
スピーカーユニットもスピーカーシステムの一部分としてロングラン(ロングセラー)は実に数多くある。
アルテックの604シリーズ、JBLのD130、375、075など。
タンノイのデュアルコンセントリックユニットもそうだ。
日本のモノではダイヤトーンのP610が、すぐ浮ぶ。
スピーカーユニットについては、ここでひとつひとつ名前を挙げていくと、かなりの数になる。

オルトフォンのSPUシリーズはいまも健在だし、デンオンのDL103シリーズも残っているものの、
いまではロングラン(ロングセラー)コンポーネントは少なくなってしまった。
スピーカーユニットの多くは消えてしまった。
スピーカーシステムのロングランとなると、タンノイのウェストミンスター。
あとは何があるだろう……と考え込まなければならない。
考えれば、いくつか出てくる。
でも、なんとなくではあるが、昔のロングラン・スピーカーシステムよりも影が薄い気がしなくもない……。

そういえばオーディオ雑誌でも、ロングラン、ロングセラーという言葉をあまりみかけなくなった。

けれど使い手側にとってロングランとなると、ここに別の意味あいが加わってくる。
その使い手にとって現行製品という意味でのロングランになり、
かなり以前に製造中止になってしまったモノでも、
ずっと使い続けられていくのであればロングラン・コンポーネントになる。

ここではロングセラーという意味はないけれど、ロングライフという意味はある。
ロングラン(ロングライフ)のモノとはいったいどういうものか。
どういう条件を満たしているのか、を考えると、そこにはデザインが重要な要素を持っていることに気づく。

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