Date: 5月 27th, 2012
Cate: D130, JBL
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D130とアンプのこと(その7)

定電流出力のパワーアンプは定電圧出力のパワーアンプが、
負荷インピーダンスの変化に関係なく一定の電圧を供給するのに対して、
負荷インピーダンスが変化してもつねに一定の電流を供給する。

オームの法則では電流の二乗に負荷インピーダンスをかけた値が電力だから、
負荷インピーダンスが高い周波数では、定電流出力のパワーアンプを使った場合には出力が増すことになる。
この出力の、負荷インピーダンスに対する変化は、定電圧出力と定電流出力とでは正反対になるわけだ。

もちろん、どの周波数においても、8Ωならつねに8Ωというスピーカー(純抵抗ごときスピーカー)ならば、
定電圧出力パワーアンプでも定電流出力のパワーアンプでも、出力においては差は生じないことになるが、
現実のスピーカーシステムはf0ではインピーダンスが上昇するし、
中高域においてもインピーダンスが多少なりとも変動するものが大半であることはいうまでもない。

スピーカーの駆動において、定電流出力がいいのか、定電圧出力がいいのかは、
日本でも1970年代ごろのラジオ技術でかなり論議された、と聞いている。
いまでもラジオ技術では定電流駆動についての実験記事が載ることがある。

実は私も、定電圧出力か定電流出力かについては、
オーディオに興味を持ちはじめたころ、疑問に思った時期がある。

電圧と電流とでは、電力に結びつくのは電流である。
スピーカーを駆動するにはパワーが必要である。
とくに低能率のスピーカーにおいてはより大きなパワーを必要とする。
ということは電流をいかに供給できるか、ということであって、
それならば定電流出力のほうが、実は本質的ではないか、と考えたわけだ。

もちろんオームの法則はすでに知っていたからf0においてインピーダンスが上昇すれば、
f0における出力は、仮に40Ωになれば5倍の出力になるわけで、
スピーカーの周波数特性はインピーダンス・カーヴそのままになることは想像できたし、
定電圧出力を前提にスピーカーシステムはまとめられていることも知ってはいた。

にもかかわらず、それでも……と思うところもあった。

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