オリジナルとは(その20)
1970年代はCD登場前のことだから、市場にはじつにヴァラエティに富んだカートリッジが文字通り溢れていた。
価格もローコストのものからかなり高価なものまであり、
カートリッジのブランドもいろいろな国のものがあり、発電方式も多彩だった。
それにカートリッジまわりのアクセサリーも豊富だった。
ヘッドシェルの種類も多かった。材質の違いもいろいろあったし、
同じ材質でカートリッジのコンプライアンス、自重にあわせて重量の異るものがいくつか用意されてもいた。
カートリッジをヘッドシェルに取り付けるビスもアルミの他に真鍮製もあったり、
それにカートリッジのリード線も、いったいどれだけの数が出廻っていたのだろうか。
カートリッジは、シェル一体型のモノもいくつかあったけれど、
このように、大半のカートリッジはヘッドシェルを自分で選び、リード線もときに交換することがある。
つまり同じカートリッジでも、これだけでもいくつものヴァリエーションが存在するわけだ。
さらにカートリッジはトーンアームに取り付けられる。
そのトーンアームはプレーヤーベースに取り付けられ、
プレーヤーベースにはフォノモーター(ターンテーブル)も取り付けられている。
だから、プレーヤーシステムと呼ばれる。
ヘッドシェルでもいくつも種類があったのだから、トーンアームに実に多くのヴァリエーションがあった。
ヘッドシェルは固定するためのものであり可動部分はないけれど、
トーンアームはスタティック型とダイナミック型にまず大きくわけられ、
長さも通常のサイズとロングアームがあり、軸受けの構造もパイプの材質、太さなど、
興味深い違いが存在していた。
ここでまた同じカートリッジでも、そのヴァリエーションはさらに増えてくる。
こんなふうに書いていってもキリがないから、ここから先は省略することになるが、
とにかく同じカートリッジを使っていたとしても、
使う人が違えば、そのカートリッジを機能させるための周辺の環境は同じであることは稀であり、
そうとうに違うわけだ。
しかも、そこにカートリッジの使いこなしが関係しているのである。