ボンジョルノのこと、ジャーマン・フィジックスのこと(その58)
マークレビンソンのLNP2のパネルデザインにオリジナリティがあるかといえば、
LNP2贔屓の私であっても、そうとはいえない。
アメリカではLNP2登場の数年前に、SAEがほぼ同じレイアウトのコントロールアンプMark Iを出していた。
日本ではオンライフ(現ダイナベクター)の管球式コントロールアンプも、ほぼ同じレイアウト。
いわゆるメーカー製のアンプではないが、伊藤先生のつくられるコントロールアンプも基本レイアウトは同じである。
コントロールアンプでVUメーターをフロントパネルの中央上段に配置して左右対称にツマミを配置、
それも同じ形状、同じ大きさのツマミということになると、
どうしても似てしまうというよりも同じになってしまう。
と書いているけれど、これらのコントロールアンプの中で、
私が最初に目にしたのはLNP2だからインパクトは強かった。
GASのThaedraは、似たデザインのコントロールアンプはすくなくとも私が知る限りでは存在していない。
白のフロントパネルに黒のツマミのパンダThaedraを最初に目にした人は、奇抜とか、
ブラックパネル仕様のThaedraにしても大胆なパネルレイアウトだと思われているだろうが、
実際に自分で使ってみると、奇抜だとか大胆だとか、そういった見た目の印象よりも、
よく練られたパネルデザインだと、すぐに理解できるはずだ。
LNP2のツマミは13個。すべて同じツマミが使われている。
Thaedraは回転式のツマミが9個、スライド式のツマミが1個、あとはプッシュ式のボタンからなり、
ボリュウム用のツマミがいちばん大きくフロントパネルの中央下段にあり、
パッと見ただけで、フロントパネルの文字を見たくとも、それが音量調整用のツマミであることは誰にでもわかる。
ボリュウムの上に水平にスライドする角形のツマミがあり、これがバランスコントロールになっている。
ボリュウムの左右にある、ボリュウムツマミよりも少し径の小さなツマミが左右独立型のトーンコントロール、
入出力、テープ関係の操作系はフロントパネル左側にツマミとプッシュボタンでまとめられている。
フロントパネル右端にはプッシュボタン(ON-OFF独立)の電源スイッチとなっている。
バランスコントロールの両端にはヘッドフォン出力端子とフォーンジャックによるテープ入出力端子がある。