音を表現するということ(続・使いこなしについて話してきたこと)
オーディオマニアだったら、何度も目にしたり耳にしたりしていることだが、
オーディオは高価な機種を買い揃えるだけで、
いい音、もくしは求める(理想とする音)が簡単に手に入るものではない。
(いい音と理想とする音は、人によっては必ずしもまったく同じとはいえないところもあるが、
このことに関しては、今回はあえてふれない。)
購入したオーディオ機器は、リスニングルームとなる自分の部屋に、まず設置する。
そして音を出していく。
最初から、偶然がうまく重なってうまいとこ鳴ってくれることもある。
充分な配慮のもとにセッティングしていけば、オーディオ機器が素性の優れたものであれば、
そうひどい音はしないこともある。
それでも、そこで満足できるものではなく、たとえ最初からかなり満足のいく音が鳴ってきたとしても、
どこかをチューニングしていきたくなる。
まして、部屋の状態によっては、望んでいた音、求めていた音とはずいぶん違う音が鳴ってくることだってある。
となると、チューニングをこつこつとやっていくことになる。
最初からいい音で鳴ったとしてもそうでなかったとしても、チューニングをしていく。
中には、そんな細かいことをせずに、いきなりスピーカーシステムやアンプを買い換える人もいるだろう。
でも、オーディオマニアと呼ばれる人は、チューニングを施していく。
思いつく限り、あれこれ試していく。
自分で思いつかなくなったら、オーディオ雑誌やインターネットを参考にして、
チューニングの手法を手に入れ、それらを試していく。
オーディオの仲間がいれば、彼らの知恵を借りること(そして、貸すこと)もある。
そうやってやっていけば、ごく短期間での上下変動はあるものの、
音は少しずつ(ときにはぐんと)良くなっていくものである。
だから、オーディオは続けられていくし、続いていく。
それでも、ふと、いまの自分の音について確認作業を行ないたくなるときが訪れることもある。
チューニングをひたすらやってきて満足のいく音が出始めてきたとき、
そういうときは不思議と、チューニングの次のステップが思いつかないときでもあろう。