ワイドレンジ考(その31)
バッキンガム、ウィンザーは、中心となる同軸型ユニットが、他のタンノイのシステムのものとは違うだけでなく、
エンクロージュアのつくりも、アーデンが、エンクロージュアの剛性を、あえてそれほど高くしないことで、
適度なブーミングを意図的にねらっているとしか思えない、やや緩めといえるつくりに対して、
バッキンガム、ウィンザーのつくりは、同じメーカーの、同じ時期の製品とは思えないほど、
ロックウッドのMajorシリーズのエンクロージュアを意識したかのような、
ひじょうにしっかりとしたものに仕上っている。
パーティクルボードを主として使っているが、積層構造で、外装から、
VENEER(ツキ板)、PARTICLE BOARD(パーティクルボード)、VENEER、
BITUMEN LAYERS(アスファルト層)、PARTICLE BOARD、
BITUMEN LAYERS、ABSORBTION FORMとなっている。
外形寸法は、アーデンが幅60×高さ95×奥行き37cm、
バッキンガムは幅60×高さ117.5×奥行き45.4cmと、大きな差はないのに、
バッキンガムは95kgと、アーデン(43kg)の2倍以上の重量だ。
バッキンガムは、25cm口径の同軸型ユニットに、30cm口径のウーファーが2本、
アーデンは38cm口径の同軸型ユニットが1本と、ユニット総重量の違いはあるものの、
バッキンガムのエンクロージュアは、重くしっかりとつくられている。
おそらくタンノイの歴史の中で、バッキンガム以前で、これほど高剛性のエンクロージュアは存在しない。
タンノイは、ワイドレンジ化にあたって、単にウーファーを追加しただけでなく、
まったく新規に、細部を再検討していることが、うかがえる。