Date: 2月 22nd, 2012
Cate: ジャーナリズム, 測定
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測定についての雑感(続・ある記事を読んで)

ステレオサウンド 64号には、特別寄稿として、
「現代にはびこる特性至上主義アンプの盲点をつく──これでもアンプはよくなったといえるのだろうか」という、
長島先生による7ページの、今回の測定に関する記事がある。

ステレオサウンドは52号、53号で抵抗負荷での歪率測定だけでなく、
アンプ測定用のダミースピーカー(三菱電機によるもの)を負荷としたものも測定している。
たいていのアンプ(特に国産アンプ)は、抵抗負荷時の歪率のほうが低い。
アンプによってはかなり差が出ているものがあった。
抵抗負荷時には逆レの字型の歪率のカーヴを描くのに、
ダミースピーカーが負荷となると歪率が違うだけでなくカーヴそのものも変化するものも多い。

海外アンプはというと、おもしろいことに抵抗負荷時よりもダミースピーカー負荷時の歪率ほぼ同じというモノ、
さらにダミースピーカー負荷時の歪率のほうが低い、というモノも数は少ないながらも存在していた。

サインウェーヴを入力してアンプの負荷に抵抗を接続した状態の物理特性を、一般に静特性というが、
実際にアンプがシステムに組み込まれると、入力信号はサインウェーヴではなく音楽信号に、
負荷も抵抗からスピーカーシステムへ、となる。
この状態での物理特性を動特性とすれば、
聴感とより密接に結びつくのは静特性よりも動特性であることは容易に想像できるものの、
それでは動特性をどう測定するかは難しい問題でもある。

ステレオサウンドがダミースピーカーを使ったのは、
少しでも動特性を測定するための工夫であり、
64号での負荷インピーダンスを瞬時に切り替えるというのも、そういうことである。

実際の測定はサインウェーヴの山が一番高くなった時点で負荷インピーダンスを8Ωから1Ω(もしくは4Ω)に、
トライアック(双方向性スイッチング素子)を使い瞬時に切り替える。
サインウェーヴが0Vにきたところでまた切り替え8Ωにし、今度はマイナス側の山のところでまた1Ω(4Ω)にする。
つまり半波の半分、1/4波ごとに負荷インピーダンスを自動的に瞬時に切り替えて、
パワーアンプの瞬時電力供給能力の実態を視覚化するとともに、
いくつかのアンプでは高調波歪率も測定している。

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