Date: 10月 19th, 2011
Cate: 「ネットワーク」
Tags:

オーディオと「ネットワーク」(その13)

マルチマイクロフォンによる録音のなかでも、
楽器にマイクロフォンを近づけるオンマイクになればなるほど、分岐とフィルターという面が強くなってくる。

オンマイクに関しては否定的な人もおられるが、
オンマイクのおかげで収録できるようになった音があることも事実である。
たとえば歌手が、耳もとでそっとささやいてくれるような吐息のような歌はオンマイクならではのものであり、
録音の表現を広げている面がある、ともいえる。

こういう極端なオンマイクでは、対象とする楽器、歌手が発する音のみを拾おうとする。
できるだけ他の楽器の音は収録しないようにしているわけだから、
これはフィルターの、いわばスロープ特性を急峻にしているのに近いともいえなくもない。

歌手の歌を収録するには1本のマイクロフォンで事足りるけれど、
これがドラムスとなると、1本のマイクロフォンで十分とはいえない。

ドラムスは、基本的にはバスドラム、スネア、タム、バス(フロアー)タム、シンバル、
ハイハットといったユニットから構成されている。
演奏者によっては、シンバルやタムの数が増えていく。

つまりベースやチェロやヴァイオリンといった楽器が単一のものなのに対して、
ドラムスという複数形の名称が表しているように、大きさも音を発する材質も違う楽器の組合せであるだけに、
うまく録音することの難しい楽器のひとつだといわれている。

しかもドラムスは、それぞれの楽器ユニットの向きが異る、という面ももつ。
バスドラムは正面を向いているが、それ以外のユニットは基本的には上向きだが、
これらも真上を向いているわけではなく、それぞれ微妙に異る角度で設置されている。

こういう楽器であるドラムスを録音しようとしたとき、
最少単位のマイクロフォン(つまりワンポイント)でやろうという人はいないはず。

Leave a Reply

 Name

 Mail

 Home

[Name and Mail is required. Mail won't be published.]