瀬川冬樹氏のこと(その50)
フェログラフはイギリスのオーディオメーカーで、日本に紹介されたのは、スピーカーシステムのS1と、
オープンリールデッキのStudio 8(本格的なコンソール型で、価格は1980000円)ぐらいだけだろうか。
S1は、価格的にはスペンドールのBCIIと同クラスのスピーカーシステムで、
ユニット構成は、ウーファーにKEFの楕円型ユニットB139、スコーカーは12cm口径のプラスチックコーン型、
トゥイーターはドーム型で、クロスオーバー周波数は、400Hzと3.5kHz。
縦にラインのはいったサランネットと、白く塗装された一本脚のスタンドが外観上の特徴となっている。
S1の音について、瀬川先生は、「ステレオのすべて ’73」では、
低音のうんと低いところがふくらみ、そのため、他のスピーカーと並べて聴くと、
S1だけ低音が別に出てくる。だぶついているという受け取り方もあるくらい、と述べられている。
さらに中域については、うまく押えられている、と言われ、
それに対し菅野先生は、押えられているというよりも足りない、と指摘され、
具体例として、ソニー・ロリンズのテナーサックスが、アルトになるという感じがある、
図太い音楽があきらかに痩せてしまう、と。
その点は瀬川先生も認められている。
高いほうもややしゃくれ上った、いわゆるドンシャリの高級なやつというふうに、
S1の全体のイメージを表現されている。
そんなS1の、中域の薄さを補う意味で、ダイナコとオルトフォンを選択されている。
つまりS1の組合せにおいて、低音のふくらみに関して、どうにかしようとは考えておられないことがわかる。
おそらく傅さんだけでなく、クラシック好きのひとでも、
S1とダイナコの組合せの低音を「ゆるい」と感じられる方がいても不思議ではない。
REPLY))
貴重なお話をいつもありがとう御座います。
当時は誰もが、瀬川先生の文章を通じて、JBLやマークレビンソンに
心を奪われていた時代でしたね。私も貴殿の文章を読ませていただいて、
色々な事を思い出し、又考えさせられている物の一人です。
確か記載されている「ステレオのすべて73」で瀬川先生は、JBL4320
をラックスの真空管アンプで鳴らしておられたですよね。
本当に今気づいたのですが、私が2年前から鳴らしているJBL4350
の中高域用アンプが、今ラックスのA3600なんです。
先生がJBLのモニタースピーカーをラックスの真空管アンプで鳴らされる事は、
当時ほとんどなかったので、すっかりこの記事の事は忘れていました。
こんな事を思い出せたのも貴殿のおかげです。
私は当時から瀬川先生の大ファンなので、いつもワクワクしながら読ませて いただいてます。
応援していますので、今後も宜しくお願いします。
REPLY))
大西 秀樹さま
コメント、ありがとうございます。
拙文をお読みくださった方が、いま瀬川先生のことを思い出してくださるのは、
書いている者にとって嬉しいことであります。
友人のKさんも、私が書いたものを読み、
昔の、瀬川先生との想い出を思い出しては、ときどき連絡をくれます。
4320に、ラックスの管球式パワーアンプを組み合わせられたのは、
もうすこし前の号ではないでしょうか。
私の手もとには’73年号のみしかありませんので、確認はできませんが。