瀬川冬樹氏のこと(その49)
この項の(その35)を読まれた傅さんから、すぐにメールをいただいている。
傅さんが、マークレビンソンのML7Lの購入のために手放されたオーディオ機器がリストアップされていた。
そのなかにフェログラフのS1があった。
「例のスピーカーですね」というコメントがついていた。
その下には、ダイナコの管球式のモノーラルパワーアンプのMark IIIがあり、
「これはS1との組合せを瀬川先生が推薦されていましたが、ポップスでは低音が緩かったです」
と書き加えられていた。
フェログラフのS1にダイナコのMark IIIとは、意外な感じがして、
何に掲載されていたんだろうか……、と思っていたら、
実は、この組合せも、「ステレオのすべて ’73」で紹介されていたものだった。
コントロールアンプには、やはり管球式のラックスのCL35/IIを使われている。
プレーヤーは、トーレンスにオルトフォンの組合せだ。
参考までに書いておく。
フェログラフ S1(135000円×2)
ラックス CL35/II(98000円)
ダイナコ Mark III(56000円×2)
トーレンス TD125(88000円)
オルトフォン SPU-GT/E(27500円)
オルトフォン RS212(26000円)
傅さんも、これに近い組合せで、鳴らされていたわけだ。
「ステレオのすべて ’73」は、25年ほど前にいただいた本、
それをいまになって、きちんと読み、知りたいと思っていたことが、そこに書いてある。
まさに「灯台下暗し」だし、当時は、いただいた本が、いまこんなにも役立つことになろうとは、
当然だけど、まったく想像できなかった。
伊藤喜多男先生からいただいた本だから、ずっととっておいていたわけだ。
自分で購入したものだったら、かなり以前に処分していただろう。
そう思うと、本一冊のことではあるが、縁の不思議さを感じている。