Date: 9月 1st, 2011
Cate: オリジナル
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オリジナルとは(その18)

テープデッキに詳しい方には不要な説明だが、
なぜ昔のテープデッキには録音アンプは搭載されているのに、再生アンプがなかった理由のひとつは、
録音にはバイアスを電流が必要になることがあげられる。

録音ヘッドには音声信号だけが録音アンプから流されているわけではない。
音声信号を録音ヘッドによって磁気変化に変換され、それによりテープが磁化されるわけだが、
そのままではテープ表面の磁性体がうまく磁化されないからである。

これを解決するために録音時に音声信号とは別の、
テープを磁化させるために必要な強さをもつ交流を録音ヘッドに加えている。
これがバイアス電流と呼ばれているもので、その周波数は、テープデッキによって異る。
ローコストのデッキでは50〜70kHz程度、
プロ用のデッキともなれば100kHzをこえ、高いものでは200kHzのものもある。
このバイアス電流の周波数が低ければ、たとえば20kHzあたりだと可聴帯域にはいってしまい、
音声信号と干渉するため、できるだけ高い周波数が理想的ということになるが、
録音ヘッドの性能との兼ね合いもあり、どこまで高くできるものでもない。

バイアス電流は、その周波数とともに強さも、録音性能に関係してくる。
周波数が高くて、バイアス電流が多ければ、それですむというものではない。
録音に使うテープの種類、それにオープンリールデッキではテープスピードなども考慮して最適値が決められる。

このバイアス電流が必要なため、テープデッキには録音アンプは内蔵されてきたわけだ。
そして録音には、このバイアスだけでなくイコライザーもテープによって調整することになっている。

だが、この録音時のイコライザーカーヴには、
アナログディスク再生のRIAAカーヴのような規格があるわけではない。
テープデッキのイコライザーカーヴに関しては、国際的に規格として決められているの再生時だけである。
だから、プリメインアンプ、コントロールアンプ側にテープ再生のイコライザーが搭載されていたわけだ。

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