妄想組合せの楽しみ(その44)
スピーカーは基本原理が100年以上前から変っていないため、
それほど進歩していないようにいわれることもあるけれど、
進歩しているところは確実に進歩している。
進歩しているなかで顕著なのは、スピーカーシステムとしてのサイズの小型化をあげたい。
具体例をあげれば、エラックのCL310は、
私がオーディオをやりはじめたころ(1970代後半)の常識からは考えられない音を再生してくれる。
CE310のようなスピーカーは、100年前には、まったく想像できなかった大きさであり、
まったく想像できなかった性能の高さをもっている、といえよう。
大邸宅に住んでいるわけではないから、スピーカーのシステムの大きさは大きすぎるものは困る。
同じ性能、同じ音であるならば、サイズが小さくなってくれた方がいい。
けれど現実には、同じ音とまではいかない。
やはり余裕のある大きさをもつエンクロージュアのスピーカーシステム(もちろん優れたモノにかぎる)は、
低音の出方に、個人的に魅力を感じる。
無理せずに出てくる感じに、ほっとするようなところがある。
こういうスピーカーシステムの場合、駆動力の高い、モンスター級のパワーアンプをもってくる必要性はない。
それに今回組合せに選んだスピーカーはタンノイのヨークミンスターだから、
アンプに大げさなものは、とくにもってきたくない。
セパレートアンプでなくて、プリメインアンプでまとめたい。
ここで選んだのは、ユニゾンリサーチの管球式のP70である。
じつはこのアンプが登場したときから、ヨークミンスターを鳴らしてみたいと思いつづけていた。
出力管は6550のプッシュプルで、出力は70W+70W。
ヨークミンスターを鳴らすには、十分の出力といえる。
もっとも部屋がデッドで広くて、音量をかなり高く求める人には足りないかもしれないが、
ヨークミンスターがバランスよくおさまる部屋において、
このスピーカーシステムにふさわしい音量で聴くには、70Wの出力で足りない、ということはないと思う。
このP70の出力管を、KT88のいいものが入手できれば交換してみたい、などと考えている。