Date: 8月 4th, 2011
Cate: 使いこなし
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使いこなしのこと(誰かに調整してもらったら……)

私が幸運だったのは、ステレオサウンドの試聴室において、
井上先生の使いこなしを直に見て聴いて体験できたことにある。
井上先生だけではない、菅野先生、山中先生、長島先生がどう音を調整されていくのかも体験できた。

だからといって、使いこなしを教えてもらったわけでは決してない、
言わせてもらえれば、学んできた、のである。
教えてもらう、と、学ぶ、の意味するところは大きく違う。

オーディオ機器の調整、使いこなしは系が複雑に、規模が大きくなるほど一筋縄では行かなくなる。
仕事から戻ってきて、わずかな時間しかオーディオにさけない、という状況では、
誰かの力を借りたくなる。

借りるのはいい、と思う。だが頼ってはいけない。

信頼できる誰かに調整してもらった結果、
それまででていた音からは想像できない域に達しそうな可能性のある音が出たとする。
あとは、これを維持できれば、と多くの人が思うだろう。
でも、それでは維持もできないし、当然、そこから先にはその人の力では進めない。

ステレオサウンドの試聴室で、井上先生によっていい音が出る。
けれど試聴室だから、セッティングがそのまま維持されるわけではない。
早いときに、いい音が出て、1、2枚ディスクを聴いたら、次の試聴にうつることもある。

試聴室のリファレンス・スピーカーだったJBLの4344がうまく鳴って同じこと。
次の試聴が入れば、せっかくうまく鳴っていた状態はすべて崩される。
そして、また一からやり直す。
あのとき鳴っていた音を、もう一度再現しようとする。
これをくり返してきたからこそ、私は、学んだ、と言い切ることができる。

誰かに調整してもらい、いい音が出たら、
心情としてしばらくはその音を味わいたい。
だから数日間、じっくりとことん味わえばいい。
味わったら、ケーブルを外し、スピーカーシステムの置き場所も、アンプやCDプレーヤーなども、
ラックからすべて取り出して、いちどまっさらに状態にする。
そして自分の手で、もういちどすべてのオーディオ機器をセッティングする。

これをやれなければ、いつまでたっても、何度誰かに調整してもらっても、学ぶことはできない。
このことを肝に銘じてほしい、と思う。

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