Date: 3月 6th, 2009
Cate: 井上卓也, 使いこなし
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使いこなしのこと(その1)

オーディオにおいて、使いこなしは重要だと、ずっと以前から言われつづけているにも関わらず、
読者側から見て、系統立てて説明し、あらゆる状況に対して応用がきくヒントを与えてくれる記事を、
音の出ない、写真と文字だけの誌面で伝えることは、頭で想像している以上に難しさがある。

私がステレオサウンドで担当した使いこなしの記事のひとつは、ふたりの読者が参加された井上先生によるものだ。
あのときは、まだ22歳だったから、1985年。この取材で、舘さん(早瀬さん)と出会い、
私がステレオサウンドを辞めたあとも、変らぬ態度で接してくれて、
今年の夏で、まる24年のつきあいになる。

去年だったか、インターネットでのオーディオの掲示板で、ステレオサウンドの記事のなかで、
印象に残っているのはどれか、という内容のもので、
この井上先生の使いこなしの記事をあげておられる方がいた。
さらにmixiでも、この記事を、いまも読み返し参考にしているという文章に出合った。

担当編集者としては嬉しい限りではあるが、1985年の記事である……、という思いもある。

いま読み返しても、おもしろいだろう(手もとにその号がないので読み返せないが)。
けれど、こんなことを言ってもどうにもならないが、
いまならば、同じ取材からでも、違う誌面展開で記事をつくる自信はある。

あのころは、使いこなしという言葉の中に、セッティング、チューニング、エージングが含まれ、
それぞれは違い、しかし、その境界は曖昧であることに気がついていなかったからだ。

このことをきっちりと私が認識していたならば……、と思うのだが、いまさら、である。

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