Mark Levinsonというブランドの特異性(その34)
1977年、当時のマークレビンソンの輸入元であった
R.F.エンタープライゼスが輸入していたMLAシリーズのレコードは,次のとおり。
MAL1 :バッハ/6つのシュブラー・コラールほか
マートル・リジョー(オルガン)
MAL2 :ラヴェル/高雅にして感傷的な円舞曲
ハイドン/ピアノ・ソナタ第49番
ロイス・シャピロ(ピアノ)
MAL3 :ヴィヴァルディ=バッハ、ウェーリング、ヒンデミット、ドビュッシー、アイヴスほか
ニュー・ヘヴン金管五重奏団(2枚組)
MAL5 :バッハ/フーガの技法(4枚組、45回転盤)
チャールズ・クリグハイム(オルガン)
価格は1枚7000円、4枚組のフーガの技法は28000円だった。
レコーダーにはスチューダーA80とのこと。
おそらくA80のトランスポートのみ使用し、エレクトロニクス部をつくり換えた、後のML5だと思われる。
マイクロフォンは、マークレビンソン・ブランドの製品のほかに、
一時期、ショップスのマイクロフォン用ヘッドアンプをつくっていたこともあるので、
ショップスか、B&Kの測定用のものだろう。
おそらくワンポイント録音だと思われる。
ノイズリダクション、リミッター、イコライザーの類はいっさい使っていない。
凝り性のレヴィンソンは、当時のアメリカの整盤技術に不満を持っていたため、
フィリップスやグラモフォンのレコードのプレスを行なっていたフランスのCD-S社に依頼している。
しかもそのためにフランスまで、録音したA80そのものをマスターテープとともに運んで、
カッティングとプレスを行なっている。
CD-SにもA80はあったと思われる。それでもA80をわざわざ運んでいるということは、
やはりエレクトロニクスを自社製のものに置き換えたA80なのだろう。