Mark Levinsonというブランドの特異性(その35)
マーク・レヴィンソンは、アンプづくりだけでなく、レコードづくりのほうにも積極的に関わっていく。
MLAシリーズのレコードの発売後、MLA(Mark Levinson Acoustic Recording)社として、
録音部門を独立させている。
ステレオサウンドの45号のインタビューでは、スチューダーのA80のトランスポートを20台入手すると語っている。
これに自社製のエレクトロニクスをのせ、20台のマスターレコーダーをつくり、
録音時に同時に使い、いちどに20本のマスターテープを作るというものだ。
もちろん、20本のマスターテープは、特別価格で販売される(実際に発売されたのかはわからない)。
もし売り出していたとしたら、1本いくらしたのだろうか。
レコード制作に関しても、ハーフスピード・カッティングに優れた面を見いだしていたようで、
そのための器材の開発も行なっている、と語っている。
ただしインタビュー時点では、まだハーフスピード・カッティングは行なっていない。
レヴィンソンがハーフスピード・カッティングに目をつけた理由は、
カッティングヘッドそのもののスルーレートにあり、
これがカッティングに関して根本的な制約になっている考えからである。