Date: 6月 28th, 2011
Cate: アナログディスク再生
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私にとってアナログディスク再生とは(その12)

トーレンスのリファレンスのフローティングベースには、
2つの丸い穴がある。ひとつは中心にある軸受けをマウントするためのもの。
この中心の穴を囲む4つのスペースにはアイアン・グレインと称する鉄の細かい粒をオイルで練った上で、
ぎっしりとつめられている。

フローティングベースのもうひとつの穴はモーターのためのものである。
リファレンスのモーターは、すでに書いたように全体の偉容にしては貧弱な印象のものだ。
このモーターのための穴としては大き過ぎるのだ。多少の余裕は必要なのはわかるが、
モーターのサイズからは余裕をもたせすぎている感じがしてしまう。

モーターは、フローティングベースに、
その振動を伝えないようにするためにメインベースに立てられた3本の柱の上に、
かなり厚めのアルミハウジングに収納された上で固定される。

この部分を見ていると、ある仮説が頭に浮かんでくる。
もともとリファレンスのモーターには、EMTの930stのモーターが流用されていたのではないか、と。
930stのモーターの径がどの程度だった正確な寸法はわからないが、
記憶の上では、ちょうど930stのモーターが、すとっとおさまってしまう。

930stのモーターであればトルクも十分だし、プリーナーをレコードに押しあてても回転が止ることはないはずだ。

プレーヤーとしての使い勝手の面からはモーターのトルクは十分にあった方がいい。
けれど、930stのモーターでベルトドライヴでは、
「リファレンス」の名に値するだけの音が得られなかったのではなかろうか。
それでモーターをいくつか試していった結果、
トルクの小さな、930stのモーターからするとずっと小型のものになってしまった。

フローティングベースはもともと930st用のモーターを前提に型をつくってしまっていたので、
結果としてモーターの周りにスペースの余裕ができてしまった。
そう思えてならない。

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