「聴こえるものの彼方へ」(黒田恭一氏のこと)
黒田先生の「聴こえるものの彼方へ」のEPUBを公開した。
「さらに聴きとるものとの対話を」と題名を変え、
ステレオサウンド 43号から64号まで連載されたものすべてのほかに、
47号、59号、62号、63号、69号、78号、87号、92号、96号、100号、110号、118号、131号、
これらに書かれた、アクースタットのスピーカーのこと、アポジーのこと、CDプレーヤーのこと、
チェロのパフォーマンスについてのこと、そしてリンのCD12のことなどについての文章も含まれている。
昨年の11月7日と今年の1月10日に瀬川先生の「本」を、
3月24日には岩崎先生の「オーディオ彷徨」を公開した。
作業としては、ひたすらキーボードで入力して、Sigilというアプリケーションで、
電子書籍(ePUB)にして、余分なタグを削除したり、校正して、ということでは、
3冊の「本」ともまったく変わりない。
それでも、黒田先生の「聴こえるものの彼方へ」の作業をしているときの心境、とでもいおうか、
そういうものが、瀬川先生、岩崎先生のときとは微妙に違っていた。
瀬川先生とは、熊本のオーディオ店でお会いすることが何度かあり、こちらのことも憶えてくださっていた。
でも、私がステレオサウンドで働くようになったときには、もうおられなかった。
岩崎先生もそうだ。岩崎先生にはお会いすることもできなかった。
瀬川先生、岩崎先生と、仕事をする機会はなかった。
黒田先生とはステレオサウンドで仕事ができた。
リスニングルームで音を聴くことでもできた。
だから作業しながら、想いだすことがいくつもあった、ということが、違っていた。