ワイドレンジ考(その63)
従来の同心円状のフェイズプラグの802-8Dと
タンジェリン状のフェイズプラグの802-8Gの周波数特性のグラフを見較べると、
7、8kHzあたりからなだらかに高域のレスポンスが下降する802-8G、
15kHzをこえたあたりで小さなディップがあるものの、ほぼ20kHz近くまで延びている802-8Gと、
はっきりと、その差(改善の度合)が表われている。
802-8Dと8Gの違いはフェイズプラグだけでなく、磁気回路も若干変更されている、とのこと
さらにModel 19では、2ウェイながら、高域と中域を独立して調整できるレベルコントロールがついたこともあり、
それまでナローな印象、それゆえの音の特徴をつくってきたアルテックのスピーカーシステムのイメージから、
Model 19はすこしばかり離れたところにいる。
このタンジェリン状のフェイズプラグが604シリーズに採用されたのは、
マルチセルラホーンからマンタレーホーンに変更した604-8Hからだと、実のところ、つい先日まで思っていた。
でも調べてみると、604-8Gの後期モデルには、すでにタンジェリン状のフェイズプラグが採用されている。
この後期の604-8Gはいちど聴いてみたいが、タンジェリン状のフェイズプラグは、いいところばかりではない。
形状からくるものとして、同心円状のものとくらべてダイアフラムに空気負荷がかかりにくくなる。
そのためA7では、802-8Dでは800Hzだったクロスオーバー周波数を、802-8Gでは1.2kHzにあげている。
604-8Gは、もともと1.5kHzとクロスオーバー周波数は高いところにあるためか、特に変更はされていない。