Date: 5月 27th, 2011
Cate: ワイドレンジ
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ワイドレンジ考(その62)

アルテックを代表するスピーカーシステムは、基本的に2ウェイだった。
プログラムソースがワイドレンジになっていっても、その姿勢はくずすことなく、
それは2ウェイに固執している、ともいいたくなる一面もあった。

そのアルテックが、コンプレッションドライバーの802-8Dのフェイズプラグを、従来の同心円状の形状から、
オレンジを輪切りにしたように、スリットが放射状に並ぶタンジェリン状のものに変更した802-8Gを出してきた。
これが1977年ごろのことだ。

タンジェリン状のフェイズプラグはアルテックによる新開発の技術のように思えたが、
実のところ、1936、37年ごろにランシング・マニュファクチュアリングによって発表されている。
と書くとランシングが考えだした、と受けとられがちだし、実際にそう記述された記事もあるが、
実際にはランシング・マニュファクチュアリングのシャインだったジョン・ブラックバーンによるもの。
1939年に特許を取得している原案では、放射状にはいるスリットの数は20本、
しかも周縁部ではスリットの隙間が広くなっている。

この時期、ランシング・マニュファクチュアリングから登場したドライバーの285に採用されたものの、
同心円状のフェイズプラグのみが採用されていった。

長い間眠り続けていた技術にアルテックが光をあて採用した、ということだ。
アルテックのタンジェリン状のフェイズプラグのスリットの数は11本で、スリット幅は周縁部も中心部は同じ。

285のフェイズプラグは写真で見るかぎり金属製のようだが、
アルテックは樹脂製にし、タンジェリンの名前を強調するかのようにオレンジ色としている。

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