ワイドレンジ考(その60)
15インチ口径の604-8Gを中心にして、
ウーファーとトゥイーターをつけ加えて4ウェイにする、という考えは浮ばなかった。
せめて30cmの同軸型ユニットが当時もラインナップされていたら、
アルテックのユニットを使った4ウェイ・スピーカーについてあれこれ想像しただろうが、
15インチ(38cm)の同軸型ユニットを、もし使うとすれば、
ウーファーは38cm口径のウーファーをダブルにするとか、18インチ(46cm)をもってくるとか、になるが、
当時アルテックには46cm口径はなかったし、
604-8Gがあって、その他に38cmウーファーが2発あるというシステムは、
JBLの4350よりも規模が大きくなりすぎて、はたしてそこまでして4ウェイにする必要はあるのだろうか、
という疑問も湧いてきて、アルテックの604を中心とした4ウェイ構想は、私のなかでは消えていった。
たとえそれが想像だけのものとしても、604を中心ユニットとする4ウェイは、
システムとしてまとめるのが難しいのでは? というのは、オーディオに関心を持ちはじめたばかりの私でも思う。
ところが1980年にアルテックから6041が登場した。
604-8Hを中心とした4ウェイのスピーカーシステムである。
正直、驚いた。
タンノイはバッキンガムの開発にあたって、従来のスピーカーユニットを使って、ではなく、
同軸型ユニットもウーファーも新たに設計し作っているのに対し、
アルテックは既存のスピーカーユニットを組み合わせて、それも力づくで組み合わせたという印象がのこる、
そんなまとめ方で、6041を出してきた。
6041のトゥイーターは新開発のものだと当時はアナウンスされていたが、実のところ日本製だった。
当時アルテックには3000Hというトゥイーターはあったが、604-8Hと組み合わせて、
いい結果が得られそうな設計のものではなかった。