ヴィンテージとなっていくモノ(マランツ Model 7・その3)
2023年5月の(その2)で、マランツのModel 7を続けて聴く機会があった、と書いている。
2024年もそうだった。
今年もそうなりそうだ。
去年と今年、聴くのは野口晴哉氏のModel 7である。
Model 7ほどよく知られるモデルだと、
オーディオマニアのところで聴く機会は、割とある。
じっくり聴いたことはないけれど、聴いたことはある、とか、
実物を見たことはある、という人はけっこういよう。
そういう存在でもある。
私もこれまでに何度も聴いてきている。
それでもその音は、持ち主が操作しての音だった。
去年と今年、自分でModel 7に触れながら音を出していると、
それまで気がつかなかったことがあった。
各入力間のクロストークが意外に大きいことだ。
アナログディスクを聴いている時に、ライン入力に信号が加わっていると、盛大にもれて聴こえてくる。
最近のハイエンドのコントロールアンプがどうなのかは触ったことがないので知らないが、
音質が高く評価されているアンプでも、
入力間のクロストークは意外に大きかったりする。
このことは覿面、音に影響する。
私が触ってきて確認した中で、このクロストークをほぼ完璧といえるレベルまで抑えているのは、
ソニーのTA-ER1だけである。
TA-ER1が、だからコントロールアンプとして完璧な存在なのかというと、
そうとはいえないのだが、それでもコントロールアンプに求められている性能とは、
本来どういうことで、どうあるべきかを正面から取り組んだ製品だとは言える。
そんなことよりも肝心なのは音だろう、
入力間のクロストークなんて使い手が注意していれば、
問題ないのだから──、
そんな声があるのはわかっている。
世の中には完璧なモノはないのだから、
使い手がうまく補ってやればいいのだとしても、
Model 7を触っていて、TA-ER1のことを思い出していたのは事実だ。