あるスピーカーの述懐(その46)
いまでは非常に高額なスピーカーシステムが、あたりまえのように存在している。
振動板の材質、製造方法、フレームのつくり、マグネットなど、
細部にわたって意を尽くし贅を尽くした──、
そんなふうなことを謳っていたりする。
けれど磁界に関しては、どうなのか。
JBLはアルニコマグネットからフェライトマグネットに移行した時に、
対称磁界(Symmetrical Field Geometry、SFGと略されていた)を謳っていた。
JBLと同時期にアルテックもタンノイもフェライトに移行したが、
対称磁界について触れたのはJBLだけだった。
対称磁界と非対称磁界。
実際のところ、どれだけ音に影響するのか、比較試聴したことはないが、
少なからぬ影響はあるものと考えられる。
駆動のいちばんの源は、ここなのだから。
なのに現代のハイエンドのスピーカーメーカーで、
対称磁界を謳っているところはどれだけあるだろうか。
すべてのユニットの構造図を見たわけではないが、
いくつかのメーカーのユニットの構造図をみるかぎりは、対称磁界のユニットはなかった。
それでいいのだろうか。